メインコンテンツへスキップ
見出し画像

抹殺みかん、毎週ショートショートnote裏お題、410字


    帰宅した小野寺課長は、ひとつ目のみかんを剥いた。

    「いつも頑張ってるね。このみかんをぜひ君に食べてほしい。美味しいよ。言葉が出ないほどだ」
    局長からそう言われて渡された。

    思ったより甘くない。むしろ苦い。それでも、彼は二房、三房と口に運んだ。

    次の瞬間、屁が出た。とんでもない破裂音だった。が、それだけでは終わらなかった。

    屁が止まらない。

    課長は、横腹を押さえながらトイレへ駆け込んだ。

    膝から崩れ落ちた瞬間、課長は思い出した。
    自分がつい一ヶ月前に、エネルギー庁の不正経理疑惑を内部告発しようとしていたことを。
    局長が言った、言葉が出ないとはこういうことか。口封じか。

    翌朝の連絡にこうあった。

    「小野寺、トイレで倒れ死亡」

    局長は微笑んだ。
    「腸内細菌に作用する特殊RNAが組み込まれており、腸内で爆発的にガスを生成させる。ターゲットは屁が止まらず、最終的に迷走神経反射で心停止。ターゲットの死因は病死扱いになり、他殺の証拠が一切残らない」
    (410字)

    ーーー
    政府が秘密裏に開発した抹殺みかん。やだな、そんな死に方。

     
     
     
    ・ソニー・ミュージックエンタテインメントのドラマ原案コンテストにてグランプリ受賞。ドラマ化。 ・第20回Yomeba!で優秀作 ・エブリスタ超・妄想コンテスト年間選出数11位(2021年) ・島根県文芸公募 金賞 その他はプロフィールページで

    あなたへのおすすめ