メインコンテンツへスキップ
見出し画像

スネーク満床、毎週ショートショートnote、410字



    ある病院で異変が起きた。

    患者たちが一様に同じ夢を見たのだ。広がる湿地、うごめく大量の蛇、その中に立つ大きな影。影はしゃべらず、ただ冷たい視線を向けていた。患者たちは朝になり、口々に夢の内容を語り始めたが、その言葉は徐々に収束していった。誰かが言ったのだ。
    「あの影、見たことがある」

    看護師の三浦と佐々木はその晩、巡回をしていた。ガラス越しに見える病室では、患者が蛇に囲まれて眠っていた。無数の蛇が患者の体を取り囲んでいた。

    病院は沈黙していた。いや、せざるを得なかった。ベッドの上、椅子の下、天井の照明器具の裏。あらゆる隙間に蛇がいた。細長い身体が布地にくるまり、鋭い舌先が空気を裂くように動き続けていた。医師と看護師は声を失い、ただ震えていた。皆の目に浮かぶのはある患者だった。彼は病室に蛇を持ち込んで叱責され窓から身を投げた。

    それ以来、入院初日に全ての患者は彼の夢を見る。そして、命日には、このスネーク満床が始まるのだ。
    (410字)
    #スネーク満床
    #毎週ショートショートnote

     
     
     
    ・ソニー・ミュージックエンタテインメントのドラマ原案コンテストにてグランプリ受賞。ドラマ化。 ・第20回Yomeba!で優秀作 ・エブリスタ超・妄想コンテスト年間選出数11位(2021年) ・島根県文芸公募 金賞 その他はプロフィールページで

    あなたへのおすすめ