
幕間。
一番風呂は偉大だと思う。浴槽が隅々まで磨かれているかどうか、ひと目でわかる。
我が家の風呂掃除担当は弟のすばるだが、さぼって浴槽を洗わないでお湯を溜めるなんてことをすれば、前の日の垢がべっとり残っている。
お風呂と布団でその日の疲れを溶かすことにしている私としては、そんなサボり方をされるとたまったもんじゃない。
それなら自分で掃除をすればいいのでは、なんてことは思わないでおこう。
さっとかけ湯をして、ぴかぴかに磨かれた浴槽を満たす熱めのお湯に、足先から水面を割って入る。冷えた身体をじりじりと痺れさせる熱は、やがて内側の細胞まで同じ温度に変えていく。
肌にまとわりつくたくさんの小さな泡。それに気が付いたあとの私の行動は、いつも決まっている。
肌の上にそっと手のひらを這わせて、しゅわしゅわと弾けながら消えていく泡を眺めるのだ。
泡の中身が何かも知らないけれど、昔からこれをすると心が落ち着いて行く気がした。
洗面器の中、敷いたフェイスタオルの上で携帯が震えた。