アカリウム深層 新種発見 ソン・ナーワケRχ
アカリウム深層で、新種発見。未知の深海の生き物を1体見つけました。
みなさん初めまして。ソトと言います。
私は、「赤髪のあかり」さんのフィギュアを作るというミッションを無事終え、休暇も兼ねてアカリウム調査船に乗り込みました。
なぜそんな船にと思われるかもしれません。
ですが「地図に載っていない海域を見つけた」という情報を聞きつけたならば、行かないわけにはいかないじゃないですか。
私の中の功名心がうずいたのです。
これはきっと大きな発見につながるぞと。
自慢じゃないですが、そういう嗅覚が働くのです、私は。
そしてその勘が間違っていなかったことはまもなく証明されました。
その海域で、ありえない形状の巨大建造物を発見したのです。
な、なんだこれは…!?
同船していた初老の研究者がつぶやきました。
「す…数千年前から、こんなものが存在していたなんて、そんなことはありえない!」
近くにいた別の研究者がこわばった顔つきで言いました。
「宇宙船だよ。そうとしか考えられない」
確かに、こんな深海の高水圧下に、これまで見たこともないようなこんな形状のものが存在するとしたら、地球外生命体が人類が誕生する以前にやってきていたと考えるのが道理かもしれない…私もそう思いました。
これは、想像以上の大発見になるかもしれない。
私は胸の高鳴りを抑えることができませんでした。
その興奮は、この船に乗船していた全員が共有していたはずです。
誰が言うともなく、建造物の中を確認しようということになりました。
アカリウム調査船は、その巨大建造物の崩壊した開口部から中に侵入を開始しました。
ライトが照らし出す光景は、確かに地球とは別の文明によるものとしか思えないものでした。
間違いない。
やはり、地球外生命体は存在したんだ。
それも我々人類が誕生するはるか以前から存在し、この星に来ていたのだ。
そしてその建造物の最深部に我々は到達しました。
「うそだ!そんなことはありえない!」
気づくと私は叫んでいました。
だって、そうじゃありませんか。
そこにあったのは、つい先日、私が完成させたばかりのフィギュアと全く同じ形状の物体だったのですから。
ど…どういうことだ!?
なぜこれがこんなところにある?
しかもこんな水圧の中で形状を保ってるだと。
次の瞬間、周りにいた研究者たちが奇声を上げてバタバタと倒れ始めました。
な…なんだ!?
何が起こってるんだ!?
と、その時です。
「オマエガ クルノヲ マッテイタゾ」
そんな声が頭の中に鳴り響きました。
私ははっとして、調査船のライトが照らす先に目を向けました。
フィギュアの…いや、私が作ったフィギュアと同じ形状の物体の…目が何とも不吉な赤い光を放っています。
「お…お前は、何者だ!?」
私は大声で叫んだつもりでしたが、実際に出たのはかすれたような力のない声でした。
「ナガカッタ…マッタク オマエラトキタラ シンカノスピードガ オソスギル」
その声は私の頭の中であざけるように言いました。
「ヤツラニ コノナカニ フウインサレテカラ ズットコノトキガクルノヲ マッテイタ」
やつら?
封印?
いったい何のことだ?
「ヨウヤク ココカラ ソトニデラレル」
その声が頭の中で響いたと思ったら、そのフィギュア状の物体の胴体が縦に裂け、その中から現れたのは、
ギョロりとした不気味な3つの目

そして…
勢いよく飛び出したそれは、調査船の外壁などいとも簡単にすり抜け、私の口の中に飛び込んできたのです。
ぐあはっ!
そいつに体を乗っ取られながら、私は薄れゆく意識の中で、そいつが私の声でこう言っているのを耳にしました。
「さあ、やつらへの逆襲を始めるとしようか」

『海底2万マイル2026』
エピソード0
完

生物に寄生して操る。
長らく「ヤツラ」と呼ぶ敵対勢力に封印されていたらしい。
