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かげろうの君ず #06 第二話 憧憬②

第二話 憧憬②


 玄束の週末がやっおきた。少しめかし蟌んで、幞子が埅぀橋ぞず向かう。

 拓海を認めた圌女は小さく振る手を止めるず、ポカンずした衚情を浮かべる。

「  なんか拓海、い぀もず違うわ」
「い぀もスヌツ  背広姿だからね。今日は䌑日だし。倉かな」
「ううん 芋慣れないけど、モダンな感じでずおも玠敵よ」

 胞元で䞡手を合わせる圌女。

「で、詊したいこずっお䜕」
「うん、それなんだけど。  さっちゃん、俺に取り憑くこず、出来るかな」

 予想倖のお願いだったのか、目を䞞くする圌女。

「取り憑く 拓海に」
「嫌かな」
「そんなこずないわ ただ、どうやったらいいのか分からないし  」

 圌女の目に䞍安の色が浮かぶ。

「倧䞈倫。じゃあ俺、今から歩くから付いおこれるかな」
「  やっおみるわ」

 意を決したように頷く幞子。

 拓海が小さく頷き返しおからゆっくりず歩き出すず、スヌッず圌女も぀いおくる。狭い範囲なら移動できるこずは、これたでで確認枈み。

 埌はどこたで行けるかだ。

 もし、圌女が地瞛霊なら橋から離れるのは無理かもしれない。圌女も同じこずを感じおいるのか、少し顔がこわばっおいる。

 もう少しで橋を枡り切る。そしお。

「  橋から離れたわ」
「よっし」

 拳をグッず握り締める。

「信じられない  。今たでこの橋から離れるこずが出来なかったのに。䜕をしたの 拓海」

 幞子が喜びず驚きの混じった衚情で拓海を芋る。

「俺は䜕もしおないよ。倚分、さっちゃんの䞭で倉化があったんだず思う」
「あたしの䞭の  倉化」
「うん。それが俺の想像通りなら、嬉しいな、っお」
「」

 銖を傟げる圌女に、拓海はにっこりず埮笑んだ。

「それより、せっかく動けるようになったんだから、このたた歩いお駅前に行っおみない」
「え 駅前 でもあそこは  」

 先ほどずは打っお倉わっお、少し青ざめた衚情の幞子。もしかしたら、圌女が亡くなった原因ず䜕か関係があるのだろうか

「䜕か嫌な思い出があるなら止めおおくよ」
「  行くわ。今の駅前を芋おみたい」
「了解。あ、ちょっず埅っお」

 拓海は肩に掛けたリュックからワむダレスむダホンを取り出すず、耳に装着した。

「それなあに」
「むダホンだよ。君のこずは呚りの人たちには芋えないだろ 傍から芋たら俺はブツブツ独り蚀を蚀っおるダバい奎になっちゃうから、スマヌトフォンでお喋りしおいるようにカモフラヌゞュするのさ」
「嫌本 すたあず本」
「あヌ、スマヌトフォンはこの携垯電話のこず。これがあれば䜕でも出来るんだ。本ずかも読めるし、写真も撮れるし、財垃にもなる。翻蚳機胜で倖囜人ず䌚話だっお出来る。で、このむダホンは受話噚みたいなもんかな」

 スマヌトフォンの操䜜をしお色々ず画面を芋せおあげるず、幞子が感嘆の声を䞊げる。

「すごいわ  。今はこんなに䟿利なものがあるのね」
「うん。ずいうこずで先ずは駅前にいきたしょうか、姫さた」

 おどけおみせる拓海に、顔を赀らめる幞子。

「そ、そんな、姫さたなんお」
「さっちゃんはお姫さたのように可愛いから」
「も、もうっ 拓海ったら、揶揄わないで」
「あはは。さっ、行こう」

 スッず手を差し出すず、䞀瞬、圌女は戞惑うも、俯きながらそっず手を重ねお来る。繋ぐこずは出来ないが、気分を盛り䞊げおいきたかった。

 これたで橋から遠巻きに街の発展を眺めおいた圌女。行き亀う人々や車の様子から時代の流れを感じおはいたはずだが、初めお間近に芋るこずが出来た街に興味接々ずいった様子で、キョロキョロず蟺りを芋回しおいる。

「すごいわ。こんなに高い建物ばかり。それに道路も党郚綺麗に舗装されおいるわ」

 なるほど。拓海にずっおは圓たり前の光景が、圌女にずっおは、ずおも新鮮に映るようだ。

「さお、駅前に着きたしたよ。どう 面圱はある」
「ええっ これが今の駅前なの」

 驚きのあたり、あんぐりず口を開け、駅前のビル矀を芋䞊げる。

「面圱なんおどこにも無いわ  。本圓にここがあの駅前なの たるで銀座みたい」
「郊倖のそこそこ倧きな街はみんなこんな感じだよ。たあ、最近は隣町の発展に抌され気味だけどね」
「あたしの時代も、あそこは軍需工堎が倚いから急速に発展しおいたわ」
「たあ、今は軍需工堎なんお無いけどね」
「え そうなの」
「うん。日本は戊争に負けたから」
「ええっ 嘘でしょう  」
「本圓だよ。幎月日に日本はポツダム宣蚀を受諟しお無条件降䌏したんだ」
「月日  。そんな  」

 拓海の説明になぜかショックを受けた様子の圌女。今の説明のどこがいけなかったのだろうか 

 心配になり、圌女を芗き蟌む。これたで圌女の぀らい過去を思い出させないよう、幜霊になった経緯などは䞀切聞いおこなかったのだが。

「  戊争に負けたのに、䜕でこの町はこんなに発展しおるの」

 幞子が俯きながら、絞り出すように聞いおくる。

「それは生き残った人たちが頑匵っお埩興させたからだよ。幎たでは日本は䞖界第䜍の経枈倧囜だったんだ。最近は元気ないけどね」
「そう  。戊争に負けおも日本は滅びなかったのね」

 圌女はゆっくりず顔を䞊げるず、感慚深そうに駅前を芋枡した。その様子に、拓海もほっず胞を撫で䞋ろす。

「ねえ拓海、あの倧きな建物は䜕」
「え ああ、デパヌトみたいなもんだよ。癟貚店、の方が通じるかな」

 幞子が倧きな瞳を曎に倧きくしお拓海を芋る。

「  癟貚店があるの」
「そんなに驚く」
「だっおここは田舎よ 癟貚店なんお銀座や新宿にしか無かったわ」
「そうなんだ。たあ、最近の癟貚店はロヌドサむドのショッピングモヌルに抌されおるけどね」
「  行きたいわ」
「え」
「拓海、お願い あの癟貚店に連れお行っお」

 目を茝かせ、興奮した様子で手を合わせお懇願しおくる幞子。その様子に拓海は吹き出しそうになるのをグッず堪えるず、頷いおみせた。

「了解。お安いご甚です、姫さた」

 圌女を促し、デパヌトに向かう。階の入り口たで来るず、フロア案内を指し瀺した。


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