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雪の降る街で 第十䞉章 「終幕」 ④

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    ※この䜜品はフィクションです。実圚の人物団䜓事件出来事ずは䞀切関係ございたせん。


    第十䞉章 「終幕」 ④


    「悪趣味な野郎だ。神にでもなった぀もりかよ」

     むンカムから流れおくる「歓喜の歌」に敏生が吐き捚おる。

     クリスマスに倕陜ず共に壮倧なベヌトヌノェンの䞖界に酔いしれたのは、僅かふた月ほど前のこず。

     二人を恍惚の䜙韻で包み、倜を培しお愛し合わせた曲が今、この地を終末に向かわせようずしおいる。

    「むデア、このたた高床千フィヌトを維持」
    「ガむア  、本圓にやるんだよね」

     機のF35Bの胎䜓䞋に吊るされたバンカヌバスタヌ・GBU-28。

     搭茉重量ペむロヌドは問題無かったが、あたりにも倧きいため機䜓内郚には栌玍できず、ステルス性は犠牲にせざるを埗なかった。

     既にアむビスタワヌ以倖はほが制圧され、敵の防空網も無力化されおいるはずだが、楜芳は蚱されない。

     敵は、皀代の倩才軍略家。

     敏生は静かに頷くず、前方を睚み぀けた。

    「ああ。終わらせるんだ、俺達の手で。この囜の、未来の為に」


     Ihr stÃŒrzt nieder, Millionen? Ahnest du den Schöpfer, Welt?
    ひざたずくか、民衆よ 創造䞻を感じおいるか、䞖界よ

     Such' ihn ÃŒber'm Sternenzelt! Über Sternen muß er wohnen.
    倩空にいる創造䞻を芋よ 星の向こうに創造䞻は必ずいるのだ


    「ったく、䜕やっおんだよ 時間が」

     䜕床も腕時蚈を芋おは舌打ちする盞原。至急の退避呜什を受けおいたが、二人を芋捚おる蚳にはいかない。

     いざずなれば自分が身を挺しお二人を守る぀もりでいたが、栞兵噚が盞手では話にならない。

     考えあぐねおいるず、玄関のドアが開き、挞く光䞀が飛び出しおきた。 

    「コり ここだ 藍ちゃん」
    「倧䞈倫 気絶しおるだけです」
    「よし 貞せ 早くしないず海自の戊闘機が爆撃に来る」
    「マゞっすか」

     盞原は光䞀から藍を受け取るず、ヘルメットを被せおあらかじめ開けおいた砲手垭に抌し蟌み、自らも車長垭に乗り蟌んだ。

    「いいぞ バックで出せ コり」

     ゚ンゞンは盞原が既に掛けおいた。

     䞀〇匏戊車は前進も埌進も最高時速キロ。
     
     それなら爆撃に察しお匷固な正面装甲を向け、バックで撀退した方が生存性は高たる。

     光䞀は盞原の指瀺に力匷く頷くず、アクセルグリップを握った。

    〝コりちゃんに知っおもらいたかったんだもん。あたしの故郷〟

     ふず、脳裏に響く菜々の声。

     だから玄束しただろ 春になったらあの桜を芋に行こうっお

    「いけえええええぇ」

     絶察に生きお垰っおやる 菜々

     䞉人の乗る䞀〇匏戊車はバックのたた猛然ず走り出した。


     Seid umschlungen, Millionen!
    抱き合おう、民衆よ
     Diesen Kuß der ganzen Welt!
    このキスを䞖界に


    「よし、信濃川で高床二癟フィヌトたで降䞋。気を぀けろ、むデア」
    「了解」

     二機は五十嵐浜から新期垂䞊空に進入するず、越埌線を目印に北東ぞ針路を取った。

     その先にあるのは仲朚戞が立お籠もる、アむビスタワヌ。

     信濃川が芋えるず、敏生ず倕陜は二癟フィヌトの超䜎空たで䞀気に高床を萜ずした。

     本来、バンカヌバスタヌは高高床から投䞋し、萜䞋の運動゚ネルギヌを利甚しお分厚いコンクリヌトをぶち砎り、地䞭深くの軍事斜蚭を砎壊する兵噚だが、今回の目暙は爆撃など想定すらしおいない䞀般的な超高局ビル。

     䜕よりも求められるのは、銖謀者たちを確実に仕留めお栞の起爆を阻止するこず。

     ゆえに、危険ではあったが経隓䞍足を補う意味でも䜎空からの爆撃を遞択せざるを埗なかった。

     Tochter aus Elysium
    倩空の楜園にいる乙女よ

     衝撃波で川面かわもが激しく波立぀。

     察空砲火は来なかった。

     厩萜した県庁や䜓育通、デパヌト。立ち昇る数倚の黒煙。

     これが戊犍の跡。平穏な日垞が流れおいた堎所の、倉わり果おた姿に倕陜が唇を噛む。

     きっず前を行く敏生も同じ想いに違いない。

    「投䞋準備」

     迫る目暙の超高局ビル。

     敏生の指瀺で倕陜がリリヌスボタンに手を掛けたそのずき。

     そんな――――――
     
    「敏生 ただあの陞自の戊車が」
    「ダメだ 間に合わん」
    「くっ  」

     そうだ。あの䞀䞡のために躊躇えば、䜕十䞇人もの眪の無い垂民に被害が及んでしたう。

     Freude! schöner Götterfunken!
    歓喜だ 玠晎らしき神の煌めきよ

     歓喜の歌が終わりに近づく。もう残された時間は無い。

     お願い そこの戊車、逃げ切っお

    「投䞋」

     心の䞭で叫びながら、倕陜は投䞋ボタンを抌した。

     二機のラむトニングから攟たれたバンカヌバスタヌが誘導で攟物線を描きながらビルの根元に吞い蟌たれおいく。

    「ブレむク」

     ビルに激突するかずいうギリギリのずころで、二機は巊右に散開するず、爆発に巻き蟌たれないようフルスロットルで倩空ぞず駆け䞊がった。

     その衝撃波でビルの窓ガラスが䞀斉に砎裂し、勢い良く飛散した。


     Seid umschlungen, Millionen!
    抱き合おう、民衆よ
     Diesen Kuß der ganzen Welt!
    このキスを䞖界に


     さすがの仲朚戞も、いざずなるずやはり躊躇いは生じた。

     刃先を腹に圓お䜕床も䜕床も深呌吞する。

     だが、目を瞑り劻子の顔を思い浮かべるず䞍思議ず心が萜ち着いた。

     これがこの囜ぞの最埌の奉公  。俺は  倧矩に殉じる。
     いくぞ。晎銙 倧暹

     歯を食いしばるず䞀気に力を蟌めた。

     腹を貫ぬく日本刀。激痛が身䜓を支配する。

    「おおおおおおおおおおおおおおおッ」

     日本刀を暪にひく。

     切り裂いた腹から血が激しく吹き出し、臓物が溢れる。

     凄たじいたでの激痛。顔色は土気色に倉わり果お、苊痛に歪むもその目はただ䞀点を芋据えおいた。

     己に匕導を枡さんず迫っおくる挆黒の翌を

     党おが、党おが終わるのだ。これで  。

     苊痛に歪んでいた唇が綻び、笑みが零れる。

     次の瞬間、たるで神の降臚を思わせるかのような眩いばかりの閃光に包たれ、圌はその意識を氞遠に手攟した。

     Freude! schöner Götterfunken!
    歓喜だ 玠晎らしき神の煌めきよ


     背埌から蜟音ず共に超䜎空で迫っおくる海自の戊闘機。

     圌等は䞀瞬にしお光䞀達の頭䞊を過ぎ去るず、ビルをなぞるように窓ガラスの砎片を巻き䞊げながら䞊昇しおいった。 

     遅れおビルの䜎局階に吞い蟌たれおいく二個の超倧型爆匟。

     その様子は光䞀の目に、スロヌモヌションの様に映っおいた。
     
     もっず速く もっず速く走れるだろう䞀〇匏お前はあああああ

    「コオオォォ いけいけいけええっ」
    「うらああああああああああああああっ」

     盞原も光䞀も絶叫する。ごく僅かな、生ぞの望みを掛けお。


     Götterfunken! 神の煌めきよ



     菜々――――――



     真っ癜な光の䞭で、圌女が穏やかに埮笑んだような気がした。



     
              
     
     攟たれた二぀のバンカヌバスタヌは、ビルの窓ガラスを容易く突き抜けるず、吹き抜けを萜䞋し、ロビヌの床を倧きく突き砎った。

     通垞爆匟ずしお地球䞊で最も凶悪ず蚀われるバンカヌバスタヌ。その嚁力は凄たじかった。

     地階で炞裂した爆発の゚ネルギヌはビルの吹き抜けに導かれおそのたた䞊昇し、各階のフロアを次々ずぶち抜いお䞀気に屋䞊たで到達するず、この地のランドマヌクを䞀瞬にしお朚っ端埮塵に粉砕した。

     その巚倧なキノコ雲は、䞉十キロ以䞊離れた䜐枡島からも、はっきりず芋おずるこずができたずいう。

     こうしお、ひず月に枡った西南戊争以来の内戊は、銖謀者の死で幕を閉じた。長きに枡っお平和を謳歌し、戊犍の蚘憶を倱い぀぀あった囜民に、再び恐怖ず悲しみを刻み぀けお。

     もっずも、この地に最埌たで止たり、果敢に戊った名も無き䞀䞡の戊車のこずを気に留める者は誰䞀人ずしおいなかった。


    リンク

    次の話 雪の降る街で ゚ピロヌグ ①京

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    最初から読む
    雪の降る街で 第䞀章 「錓動」 ①京

    あずがき

     炞裂した最凶最悪のバンカヌバスタヌ。

     アホりドリカップルは無事離脱できたのか 光䞀は、藍は、ゞンさんは果たしお無事なのか 菜々ちゃんの容態は

     そしお次回12月9火に掲茉予定の゚ピロヌグ①で、この事倉の真盞が぀いに明らかに

     どうか、最埌たでお付き合いいただけたすずありがたいです🙇‍♀

     なお、たもなくクリスマスなので、サントリヌ公匏チャンネルから、ベヌトヌノェン第九第四楜章「歓喜の歌」の参考動画歌詞付きを䞋蚘に掲茉しおおきたすね。

     私は1䞇人の第九は2011幎のものが奜きなのですが、違法ダりンロヌドのものしか芋圓たらないので、歌詞も付いおいるしこちらにしたした💊


     
     

    京

     
     
    现々ず趣味で小説を曞いおいたす。スキやご感想などをいただけたすずありがたいです。

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