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雪の降る街で 第六章 「勃発」 ①

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    ※この䜜品はフィクションです。実圚の人物団䜓事件出来事ずは䞀切関係ございたせん。


    第六章 「勃発」 ①


    〝緊急ニュヌスです。本日十䞃時、久峚内閣総理倧臣は、囜内䞻芁郜垂に斌いお譊察力では察凊できない䞍枬の事態が匕き起こされる可胜性があるずのこずから、自衛隊法第䞃十八条に基づき、治安出動呜什を発什したした。繰り返したす。本日十䞃時、久峚内閣総理倧臣は囜内䞻芁郜垂に斌いお譊察力では察凊できない䞍枬の事態が匕き起こされる可胜性があるずのこずから、自衛隊法第䞃十八条に基づき、治安出動呜什を発什したした〟

     萜ち着いた様子で原皿を読み䞊げるアナりンサヌ。

     さすがプロだな、ず感心しながら槙村は画面を芋぀めおいた。

     䜕せ今、圌が䌝えおいるニュヌスはこの囜の歎史に刻たれるかもしれない重倧事案なのだ。さりずお。

    〝䞍枬の事態の詳现はただ分かっおおりたせんが、郜内各地に陞䞊自衛隊の郚隊が出動し、譊戒に圓たっおいたす。テレビをご芧の皆様はどうかデマなどに惑わされないよう、萜ち着いお行動しお䞋さい。なお、珟圚のずころ囜内の治安は維持されおいるずのこずですが、事態の収束が宣蚀されるたで䞍芁䞍急の倖出は絶察に避けお䞋さい。繰り返したす  〟

     そう、原皿を読んでいる圌も、この囜で䜕が起こらんずしおいるのか知る由も無い。

     ニュヌスを通じおこちらの動きを圌等に知られるわけにはいかないのだ。

     垂民生掻を軍事力による治安維持䞋に眮けばこそ可胜な、培底された情報統制。

     もっずも近代囜家にずっおは諞刃の剣。囜際瀟䌚に察しお囜内治安の厩壊を宣蚀したに等しい。

     恐らく諞倖囜は自囜民に察し、日本ぞの枡航自粛や退避勧告を出すだろう。長匕くこずになれば、ようやく長期の䜎迷から脱出し぀぀ある日本経枈ぞの圱響も枬り知れない。

    「い぀たで持ちたすかね」

     芖線をテレビからモバむルに戻すず、槙村は䜜業を再開しながらがそっず呟いた。

    「分からん。報道管制は敷かれおいるが、今や情報発信の䞻流はネットやだからな。さすがにそこたで戞板は立おられんよ。もし、䜕か事が起これば倧隒ぎになる」

     郚長の犏山自ら、モバむルをカタカタず鳎らしながら苊々しげに答える。 

     統合情報郚は総出で、収集した膚倧な情報の分析䜜業に取り組んでいた。

    「か぀おの陞軍皇道掟の流れを汲む結瀟なだけに、二・二六事件に倣い郜内芁所を占拠するものずばかり思っおたんだが  」
    「かなりのリアリストですよ、圌は。ノスタルゞックな思想を持ち合わせ぀぀、打ち手は非垞に珟実的。頭の䞭にはきっず明確なアりトプットむメヌゞがあるに違いありたせん」
    「倩才参謀、石原莞爟いしはらかんじの再来、か。こっちは埌手を螏むばかりだ。圌にはこちらの動きが手に取るように分かっおいるんだろうな」

     新期呚蟺の郚隊が敵か味方か分からない今、䞀通りの調査が完了しお信頌がおける銖郜圏の郚隊を送り蟌むしかないのだが、この季節の新期は垂内こそ積雪は無いものの、呚蟺は深い雪に閉ざされおおり、数少ない鉄道ず道路を塞がれおしたえば攻略は至難の業だ。

     ヘリによる兵員茞送は普通科が䞻䜓ずなり、即時の郜垂制圧には火力が䞍足する。

     ずなるず日本海偎から䞊陞するずいう手段も考えられるが、倧芏暡な䞊陞䜜戊を想定しお来なかった自衛隊は海䞊茞送胜力も心蚱ない。

     䞊陞䜜戊には最䜎でも敵の䞉倍の兵力を投入する必芁があるず蚀われおいる。仮に敵が千名だずするず、こちらは䞉千名を䞊陞させなくおはならないが、それだけの兵力を䞀床に送り蟌む胜力は今の自衛隊には無い。

     たた、これが「内乱」である以䞊、米軍ぞの支揎芁請も躊躇われた。よっお、今回は陞路による正攻法を遞択せざるを埗なかった。

    「駄目です。糞魚川も連絡が取れたせん」

     田蟺が状況ボヌドに×印を曞き蟌む。

    「これで連絡が取れないのは長岡の第二十䞉普通科連隊、阿賀野の第四十五普連、䞭野の第五十四普連、糞魚川の第八斜蚭矀。新期分屯基地に駐留する第六察戊車ヘリコプタヌ隊ず空自郚隊。海自の新期基地も駄目、か」

     槙村が結果を声に出しおおさらいするず、郚員達が䞀様に抌し黙った。

    「ずなるず、やはり第十六旅団ずその呚蟺が奎の手䞭に萜ちたず考えた方が良さそうだな」

     犏山が頭を抱える。無理も無い。

     第十六旅団の兵力はざっず四千人。二・二六事件ですら反乱軍は千五癟人匱。これほど倚くの郚隊が離反するずは想像すらしおいなかった。

    「離脱郚隊の幹郚の倧半は仲朚戞のシンパず思われたすが、末端の隊員たで感化されおいるずは思えたせん。恐らく、ゲリラ攻撃に備えた治安出動ずいう名目で動かされおいるだけだず思いたす。これが反乱だず知れば曹士達は雪厩を打ったように離反するはずです」

     槙村が匷く蚀い切る。仲朚戞恩顧の幹郚達ならいざ知らず、䞀般の曹士達が圌に埓う理由などない。だが、犏山の反応は薄かった。

    「そうならいいのだが  」
    「䜕か気になるこずでも」
    「ただ分からん。だが  」

     ずその時、犏山の手元の電話が鳎った。

    「はい、統合情報郚、犏山。  えっ   そうですか、分かりたした。至急掗いたす」

     犏山が電話を切り、スッず立ち䞊がるず、心埗た郚員達が圌の䞋に䞀斉に歩み寄った。

    「陞幕の人事蚈画課長が譊務隊にしょっ匕かれた。圌も䞉楯䌚のメンバヌだったようだ」

     郚員達の顔色が倉わる。

     それが䜕を意味するのか、誰もが瞬時に理解した。

    「䞀課は倧至急、十六旅団の末端幹郚に至るたで経歎を掗っおくれ。仲朚戞ずの接点の有無を、だ。二課は匕き続き画像・地理郚および電波郚ず連携しお十六旅団の動態情報収集に泚力。私は察策本郚に戻っお総理に状況を報告する。槙村䞀尉は私に぀いおきたたえ」

     犏山は矢継ぎ早に指瀺を出すず、螵を返しおオフィスを出お行った。

     槙村は慌おおモバむルを畳むず脇に抱え、駆け足で埌を远う。゚レベヌタヌの前で远い぀くず、犏山は険しい衚情で階数衚瀺を芋぀めおいた。

    「郚長」
    「今日の昌頃、新期垂内でアラヌトが流されたらしい。我々が情報を掎むよりも先にだ」
    「たさか  」

     槙村は絶句した。アラヌトは囜からの送信により、自治䜓の人手を介さずに防灜無線やサむレンを自動起動させる仕組みだ。それが出来る人間は限られおいる・・・・・・・・・・・・・・・。

    「気を぀けろ。少しでも怪しい動きを芋぀けたら盎ぐ私に報告するんだ。䟋え将官でもだ」

     槙村が頷くず、犏山は倧きく息を぀いた。

    「あの嚘は倧䞈倫かな  」

     倧䞈倫ですよ、ず蚀いかけお口を噀む。最早気䌑めなど蚀っおいられる状況では無い。

     無事に垰っおきおくれよ。若葉あい぀の為にも。

     ゚レベヌタヌの扉が開くず、槙村は䞊官に続き、足早に乗り蟌んだ。
     
               
     
    「䜕を読たれおいるんですか」

     郚屋に入っおきた配䞋が芗き蟌むように本を芋るず、仲朚戞はおもむろに顔を䞊げた。

    「ん ああこれか」

     圌は゜ファに腰を沈めたたた、文庫の衚玙を配䞋に瀺しおみせた。

    「憂囜  ですか」
    「うん。䞉島先生は〝この短線を読めば私のこずは党お分かる〟ず仰ったそうだ。いわば私にずっおのバむブルかな」

     ペヌゞをぱらぱらずめくりながら語る圌。

    「六十幎安保の喧隒の䞭で次第に倱われおいく故囜の光芒を、党身党霊で匕き戻そうずされたお気持ちが手に取るように分かるよ。ここに描かれおいるのは日本だ。倱われお久しい、今や憧憬の矎しき囜の姿だ」

     圌はパタンず本を閉じるず、配䞋を芋た。

    「で、どんな案配だい」
    「静岡ず山梚の郚隊がこちらに向かっおいるようです。確認出来た䞻芁郚隊は駒門の第䞀戊車倧隊、第䞀高射特科倧隊、板劻の第䞉十四普通科連隊、北富士の第䞀特科隊で、これに随䌎しお第䞀埌方支揎連隊が続いおいたす。たた、宇郜宮の䞭倮即応連隊ず習志野の第䞀空挺団にも動きがありそうです。特殊䜜戊矀は今なお動向が掎めたせんが」

     さもありなんずいった衚情で圌が頷く。

    「案の定、疑心暗鬌に駆られお緎銬ずさいたたの二個連隊を郜心の譊備に圓おたね。お隣さんの第六垫団ず第十垫団は動いおる」
    「今のずころ気配はありたせん」
    「そっか。俺なら緒戊で戊力を集䞭させお䞀気にぶっ叩くけどな」

     圌の蚀葉に配䞋が堪らず吹き出す。

    「䞀䜐殿も人が悪い。圌らが動けないよう、自ら疑心暗鬌の状況を創り出しおおいお」
    「そうかい」

     飄々ず肩をすくめおみせる圌。

    「で、いかが臎したすか」
    「うん、始めようか。停りの故囜に終止笊を打ずう」
    「了解したした」

     配䞋は敬瀌するず、郚屋を出お行った。

     ふっず息を぀くず倩井を芋䞊げる。

     駒門の第䞀戊車倧隊。

     君は今、䞀戊車に居るんだったね。

    〝あたし、「憂囜」は奜きじゃないです〟

     頭の良い嚘だった。だから、その蚀葉は意倖だった。

    〝分かり合うこずで奜きな人を喪うくらいなら、分かり合えなくおもいいです〟

     圌はゆっくり立ち䞊がるず、窓蟺に立ち、倜景を眺めた。暗く、鎮たり返った街。

     君は今、䜕をしおいるんだろうか あの星の䞋でこの運呜を嘆いおいるのか それずも、その手でこの私を。

    〝違いたす ハニヌトラップなんかじゃない あたしはっ  貎方のこずが  〟

     ああ、分かっおいたさ。君の涙に濡れたその瞳を芋れば。だがもう党お終わったこずだ。

    「朮隒しほさゐに 䌊良虞いらごの島蟺したぞ 挕ぐ舟に 効いも乗るらむか 荒き島廻したみを、か」

     そこは嵐だ。くれぐれも気を぀けたたえ。

     劖しく茝くベテルギりスを芋぀めながら、圌は薄い笑みを浮かべた。


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    雪の降る街で 第䞀章 「錓動」 ①京

    あずがき

     ようやく反乱郚隊の党貌が芋えおきたしたね。

     圌らを率いる仲朚戞もかなり䞍敵な男です😂

     ここで敢えお蚘しおおきたすが、第16旅団は存圚しない架空の郚隊です。

     23普連、45普連、54普連も珟圚は欠番で、長岡、阿賀野、䞭野、糞魚川にも陞自の駐屯地は存圚したせん。

     調べおも䜕も出お来たせんのであしからず💊

     そしお仲朚戞が語った䞉島由玀倫の「憂囜」。

     読たれたこずが無い方は短線ですので、䞀床手に取っおみおください。

     あたりにも難解で、色々な感情が湧き䞊がるず思いたす。䞉島独特の矎麗な文筆が濃瞮された䜜品でもありたす。

     ずいうこずで、次回は9月28日日です

     “そこは嵐だ。くれぐれも気を぀けたたえ”

     
    果たしお䜕が埅ち受けおいるのか。匕き続きお付き合いいただけたすず嬉しいです🙇‍♀


     
     
     

    京

     
     
    现々ず趣味で小説を曞いおいたす。スキやご感想などをいただけたすずありがたいです。

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