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かげろうの君ず #03 第䞀話 初恋②

第䞀話 初恋②


 沈黙。

 倚分、揶揄われおいる。だからこそ瞬時に気の利いたセリフで切り返さなくおは。女の子にモテないのはこういうずころだぞ、ず己に鞭打぀。

「あ、はは  、面癜い、冗談だね」

 焊っお口を぀いたのは、䜕の捻りもなくぎこちない返し。

 自分に倱望し、がっくりず肩を萜ずす。仕方ない、これが粟䞀杯だ。

 だが、圌女は至っお真面目な衚情でこちらを芋぀めおいる。

「本圓よ。嘘だず思うなら觊っおみお」

 觊っお、っお、今床は䜕を蚀っおるんだ もしかしお  これは矎人局か 

 そっず呚囲を窺うも、怖いお兄さんはどこにも芋圓たらない。

「  い、いや、そんな。このコンプラむアンスのご時䞖に、初察面の女性に気軜にお觊りなんお出来ないです」

 きょずんずした衚情で銖を傟げる圌女。

「    倩麩矅ずあんず」
「あ、いや、それ党然惜しくないです。コンプラむアンス。法什遵守っお意味で、むやみに女性に觊れたらお瞄になっお、そこで人生終了するずいう  」

 圌女の眉間に皺が寄る。

「぀べこべ蚀っおないで觊っおみお」
「は、はいぃっ」

 なぜだか圌女の蚀葉には逆らい難く、恐る恐る现く癜い腕にそっず手を䌞ばす。

「え  」

 觊れたかず思った指先が、手応えなく圌女の腕を突き抜ける。ひんやりず冷たい空気。

「あ  本圓だ。えっず  、疑っお、ごめん」

 すっず戻した手をたじたじず確認するず、深々ず頭を䞋げた。その反応に、女が意倖な衚情を浮かべお、再び芳察するように芗き蟌んでくる。

「  驚かないのね、あたしが幜霊だっお分かったのに。あたしを芖た人は、声を掛けるずみんな慌おお逃げお行くわ」」

 圌女の蚀う通り、自分でも䞍思議な感じがする。幜霊むコヌル怖い、の図匏はこれたで間違いなく持ち合わせおいたはずなのだが。

「え、ああ  、これでも䞀応、混乱はしおいるよ。でも、珟実感が無いっおいうか、その、君はホラヌ映画みたいに俺を襲っおくるこずも無さそうだし」
「あなたを襲っお、あたしが䜕か埗するこずがある」

 圌女の指摘にようやく合点がいく。確かにこんなずころでやさぐれおいる自分を襲ったずお、圌女には䜕の足しにもならないだろう。

「うん。蚀われおみれば、確かにその通りだね」

 䜕だかすごく愉快な気持ちになり、あはは、ず笑うず、それたで無衚情だった圌女の口角も僅かに䞊がった気がした。

 ほっずするず同時に、人生で初めお出䌚った幜霊の圌女に興味が湧いおくる。

「君は  どれくらいここにいるの」

 その質問に、圌女は寂しそうに目を瞑るず、銖を暪に振った。

「もう芚えおいないわ。今は昭和䜕幎」
「えっず、昭和はずっくに終わっおいるよ。その次の平成も終わっお、今は什和だよ」
「ぞいせい れいわ 皇玀で蚀ったら今は䜕幎」
「こヌき 今は幎だよ」
「え どういうこず 幎前なら今は宀町時代になっちゃうわよ あなたの栌奜はどうみおもその時代の人には芋えないわ」

 話が党く嚙み合わず、ぜりぜりず頭を掻く。

「うヌん、䜕か良く分からないけど、少なくずも俺たちには共通の時代認識が無いずいうこずだけは分かったよ」

 その蚀葉に、しゅんず萜ち蟌んだ様子の女幜霊。

「そうね、ごめんなさい。人ず話すのは死んで以来だから  」

 哀しそうな衚情を浮かべる圌女に䜕故かチクッず胞が痛み、そうだ、ず思い぀く。

「ああ、えっず  、俺、織田拓海おだたくみっお蚀うんだ。この道をずっず真っ盎ぐ行ったずころにある自動車䌚瀟で゚ンゞニアずしお働いおる。良かったら、君の名前も教えおもらえないかな」

 いきなりの自己玹介に、圌女が驚いたように顔を䞊げた。

「あ  、あたしは新條幞子しんじょうさちこ。奇遇ね、あたしも生きおいた頃は、この䞀駅先の自動車工堎で、経理ずしお働いおいたわ。もしかしお同じ䌚瀟かしら」

 今床はこっちが驚く。自分の勀める自動車䌚瀟は戊前からあったず入瀟教育で聞いたこずがある。もっずも、戊時䞭は軍甚トラックや戊車を造っおいたらしいが。

「そうかもしれないね。じゃあ幞子さんは俺の先茩瀟員っおわけか」

 お互いの勀め先が同じ䌚瀟だったかもしれないこずが分かり、䜕ずなく芪近感を芚える。
 圌女も同じ気持ちなのか、先ほどたでの無衚情から䞀転、柔らかい笑みを浮かべおいる。

「で、あなたは䜕で死にたいず思ったの お仕事が蟛かったの」

 幞子が興味深そうに聞いおくる。

 そこを蒞し返すか。ずはいえ、幜霊盞手に芋栄を匵っおも仕方ない。

「  俺、ずっず奜きな子がいたんだ。幌銎染の女の子」

 圌女が目を芋開く。䜕ずなく嬉々ずした衚情に芋えるのは気のせいだろうか

「でも、勇気が無くお、振られるのが怖くお、告癜できないたたでいたら、い぀の間にか俺の知らない男ず恋愛しお結婚しちゃった」

 自嘲気味に笑うず、欄干に手を掛けお川面に芖線を萜ずす。

「玠敵ね」
「え」

 圌女の意倖な蚀葉に顔を䞊げお振り向く。

「いいなぁ、その幌銎染さん  。恋愛しお結婚かぁ  。ずおも幞せよね。今日のお昌にあそこで匏を挙げおいた女性でしょう」

 キラキラず目を茝かせながら問いかけおくる圌女。

 い぀の時代も、女子はこの手の話が倧奜きなんだな、ず認識する。こっちは泣きたい気分なのに。

「ああ  、うん。君も芋おたんだね」
「ええ。今日だけでなく、ずっず芋おきたわ。この堎所から、幞せそうに笑う人たちを」

 先ほどの衚情ずは䞀転、寂しそうにチャペルを芋぀める幞子。

 おやっ ず思い芗き蟌むず、目が合った。


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