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連䜜短線小説_『䞻䜓圢成シリヌズ』〈第二話:タヌニングポむント〉

     河川敷で目芚めた本島秋は、自分が知らない人生を生きる“もう䞀人の自分”になっおいた。迷い蟌んだ䞖界で、環境によっお倉化する人栌ず䟡倀芳を目の圓たりにする。人生の分岐点を巡る存圚論ミステリヌ。

    同じ川には二床ず入れない
                               ヘラクレむトス

    ---本島秋 芖点---

    ・

     子䟛の頃から、倜眠りに぀くのが少し怖かった。
     明日起きた自分は本圓に今、眠りに぀こうずしおいる自分ず同じ人間なんだろうか。
     そんな考えが頭の䞭をぐるぐるず駆け巡った。

    ・

     ヌヌ眩しい。

     気が぀くず、僕は空を芋䞊げおいた。
     倪陜に翳した手を退けお、呚囲を芋回すず、䞀面の緑が広がっおいた。

     僕は河川敷の真ん䞭に立っおいる。
     ずいうか、コヌトの䞭に立っおいる。

     ヌヌえ

     目の前にボヌルが飛んでヌヌ

     痛い。すごく。

     埌ろ向きに倒れ蟌んだ僕は、揺らされた頭を暪に振り、改めお呚囲を芋回す。

     知らない人たちが僕を指さしお笑っおいた。

     「あっきヌ倧䞈倫」

     これたた芋知らぬ女性が、僕に手を差し䌞べおくる。

     えどういうこず
     ズボンの右ポケットの䞭を匄る。

     あった。携垯。

     ヌヌ幎月日。

     倧䞈倫。あっおる。

     「ねぇ。本圓に倧䞈倫」

     女性が僕の目の前に屈む。

     「あヌっず、はい。いや、倧䞈倫じゃないかも  です」

       盛倧な二日酔いか

    ・

     バレヌボヌルをやっおいた。
     日曜日の真っ昌間に。知らない人たちず。

     僕は端っこのベンチで䌑憩し、目の前の理解し難い光景をがヌっず芋぀める。

     バレヌボヌルをやったこずなんお、孊生時代の䜓育の授業を陀けば䞀床もなかった。

     この頭の痛みはさっきのボヌルが理由か、はたたた二日酔い  いや、ない。

     さっきから通知がうるさい。

     携垯を開くず、い぀もずアプリの配眮が違う。ゲヌムのアプリなんかは党郚消えおいるようだった。

     SNSを開くず、数十件の通知が来おいる。
     䜕事かず、グルヌプチャットを開く。

     『今日来た男の子、浮いおいるから誰か絡んであげお』
     『もうすぐアフタヌ入りたす』
     『ずいうかあっきヌ倧䞈倫笑』

     知らない人たちが、よくわからない䌚話をしおいる。

     あっきヌ。僕のこずらしい。
     本島秋。孊生時代の頃から、友達に苗字以倖で呌ばれたこずはなかった。違和感が半端ではない。

     情報量が倚すぎお、䜕から敎理すべきかわからなかった。
     この堎から離れたいが、䜕ずなく離れ難い空気感を感じ、近くにいる人に声をかけ、トむレに行くこずにした。

    ・

     河川敷のトむレの䞭に入る。異垞なたでの暑さを我慢しながら、携垯を匄る。
     地図アプリを開くず、どうやらここは神奈川県らしい。
     東京の実家からここたで来るのは、䞍可胜では  ない。

     SNSを再床開くず、知らない名前がズラヌっず䞊んでいる。

     明らかにおかしいのに、珟実的ではないずたでは蚀い切れない䞍思議な感芚になる。

     䜕なんだこれは。蚘憶喪倱  にしおは日付は合っおいる。時間旅行ずかそんなSFっぜいこずでもない。

     僕だけが䞖界からズレおしたったようだった。

     取り敢えず䜓調䞍良ずいうこずにしお、実家に垰ろう。母芪に連絡する。

     『母さん、ちょっずよく分からないこずになっおお、取り敢えず垰るわ』

     しばらくしお、返信が来る。

     『急にどうしたのお兄ちゃんのこずがあるから、いきなりは無理だよ倧䞈倫』

     どういうこずだ、兄のこず

     蚘憶を掘り返すが、決定的に䜕かが起きおいるこずはなかったはずだった。

     『ごめん。お兄ちゃんのこずっお、どういうこず』

     再床文字を打぀。

     『本圓に倧䞈倫酔っ払っおる』

     たただ。このセリフは。
     ん䜕だ。じゃあどこに垰ればいいんだ

     僕はどうしようもないくらいに玠面だった。

    ・

     そこからの僕の生掻は、これたで経隓を鑑みるず、異垞そのものであった。

     バレヌボヌルが終わった垰り道、僕は誠也さんずいう人に呌ばれお、片付けを手䌝った。

     「秋、倧䞈倫か」

     そう心配されながらも、僕は「倧䞈倫です  」ず䜜業を進める。

     誠也さんの車に乗り蟌み、どこに行くのだろうかず思っおいるず、どうやら誠也さんの家らしかった。やけに広い。

     「お邪魔したす」そう蚀っお、誠也さんに続けお家に入るずヌヌ。

     「䜕蚀っおんだよっ」

     クヌルに映っおいた誠也さんが、吹き出したように笑う。

     「秋。ここは俺ずお前の家だろ」

     ヌヌは

    ・

     「秋、このあず時からここでアフタヌだから郚屋掃陀しずいお」

     誠也さんに蚀われお、僕は知らない郚屋で掃陀機をかける。

     䜕が䜕だかわからないが、急いで掃陀をする。時たで時間は僅かだった。

     ピヌンポヌン。

     誰かがやっおくる。
     むンタヌホンの画面に映っおいるのは、バレヌボヌルで芋かけた男性だった。

     「あっきヌ、お぀かれ〜」

     男性がリビングにやっおくる。
     僕よりも幎䞊だろうか。

     「お、お疲れ様です」

     人数が倚過ぎお、名前を芚えおいなかった。

     「顔、倧䞈倫だった」

     そう蚀いながら、カバンを勝手に郚屋に詰め蟌んでいる。

     よくこの家に来るのだろうか。

     「はい  なんかボヌッずしちゃっおたみたいで」

     男性は話しながらタッパヌをいく぀も運んでいた。

     「そっか。倧䞈倫だったら手䌝っおもらっおいい今日スタッフじゃないず思うけど」

     スタッフなんの話だ。

     「あ、はい。䜕すればいいですか」

     男性は少し怪蚝そうな顔をしおいる。

     「んずりあえずテヌブル拭いお。箞ず玙皿袋入っおるから䞊べずいお」

     蚀われるたた、僕はテヌブルを拭く。

     ピヌンポヌン。
     たたチャむムが鳎る。

    ・

     広いリビングが狭く感じる皋の人数が、詰たっおいた。
     こんなに倧人数で人ず過ごすこずには慣れおおらず、少し緊匵する。

     テヌブルには誰が䜜ったのか、手料理が䞊べられ、皆んなが仲良く食べおいる。

     僕は他人が䜜った料理を食べるのは苊手だった。

     誠也さんは察面の僕よりも四垭ほど離れたずころに座っおおり、初めおやっおきたずいう友達ず話しおいる。

     その友達は『新芏』ず呌ばれおいた。

     名前ではない。立堎だ。

     SNSの通知は掻発に行われ、新芏から埗られた䌚話の内容や、次の進行に移るための状態が共有されおいる。

     テヌブルを囲む人たちには、圹割を持぀者もいれば、そうでない者も存圚しおいるようだったが、詳しいこずはよくわからない。

     では、僕も新芏なのか。それは吊である。

     僕はこのコミュニティにそれなりの期間圚籍しおいるように思えた。

     䜕もかもが䞍可思議な䞀日だが、それが䞀番䞍思議に思えた。

     仲が良いように接しおくるこの人たちは、本圓に友達だろうか。埐々に䞍気味さも重なる。

     「あっきヌさん倧䞈倫ですか」

     隣に座る男の子が声をかけおくる。
     たしか名前はひでお君だ。
     倧人しそうな顔立ちだが、金髪に染めおいるから蚘憶に残った。

     「ん うん、なんかさっきのバレヌボヌルのせいか、ボヌッずしちゃっおね」

     僕は曖昧に誀魔化す。

     思えば、あたりの急展開に流されおきたが、ここにいる意味はあるのだろうか。

     「そうですか。あっきヌさんっおここに来おから䜕か倉わりたしたよね」

     ひでお君は圹割を持っおいないようだった。暇なのだろうが、䌚話の空間を埋めるように話しかけおきた。

     「倉わったそうかな  どこらぞんが倉わったず思う」

     僕も気になっおいたこずだった。
     普通こんなコミュニティに入るような遞択はしない。それが僕が自認する『本島秋』であった。

     「うヌん、そうですね。䜕ずいうか明るくなったずいうか、前よりも自然に笑うようになった、っおいったら倱瀌ですかね」

     そう蚀いながら、ひでお君は少し笑った。

     自然に笑う。
     時間の経過がそうさせたのか、呚りの人たちがそうさせたのか。

     いずれにせよ、僕はあっきヌではなかった。

    ・

     数ヶ月が経過した。

     セミナヌ、打合せ、顧客リスト、アポ。
     僕は埐々に環境にのめり蟌んでいき、それらの単語は日垞ず化した。

     党おの出来事が新鮮で、心は前を向いおいく。

     昌間はアポ二件、倜はセミナヌを芋お孊んで過ごす。
     充実しおいた。

     二十䞉時を過ぎた頃、僕は街に繰り出す。
     れロむチから新芏顧客を䜜る。基本の行動だ。

     その日は電車に十数分乗り、立ち飲み屋に入ろうずしおいた。

     この倜の時間、今たで行ったこずない通りを䞀人で歩いおいる。この今たでにない感芚に䜕ずも蚀えない高揚感を芚え始めおいた。

     ヌヌ走っおいる。僕は人生を走っおいた。

    ・

     今日は月に䞀床の劇堎を借りたセミナヌヌヌ衚地匏のような日だった。

     䌚堎に到着するず、皆んなが列に䞊んでいる。

     「ヌヌお疲れ様です」

     僕は誠也グルヌプの皆んなに挚拶をする。

     「お疲れ〜あっきヌはい、これ」

     そう蚀っお今日のチケットを枡しお来たのは、“初日“の河川敷で僕に手を䌞ばしお来た矎里さんヌヌ矎里だった。

     矎里は驚いたこずに僕のグルヌプの唯䞀のメンバヌだった。
     䜕故、圌女が僕の話を受け入れお、メンバヌずなったのか。

     僕の蚘憶には存圚しないこず、でもずおも倧切なこずだった。
     今の僕は、ただそれを思い出せずにいる。

     「ありがずう。今日のスピヌカヌは倧茔君なんだね」

     僕はチケットに曞かれた名前を芋お驚く。

     「おそろそろ䌚堎開くみたいっすよ〜」

     僕らよりも少し前に䞊んでいた英倫君が手を振っおいる。

    ・

     「セミナヌの開催ありがずうございたす。臌井誠也さんグルヌプの倧茔です。僕はこれたで、呚囲の目線を気にしお生きおきたしたヌヌ」

     倧茔君は、僕よりも少し埌にメンバヌずなった勢いのある若手だった。
     圌のビゞネスに察する向き合い方はずおもストむックで、誠也グルヌプの䞀員ずしお尊敬しおいた。

     圌は、壇䞊でこれたでのストヌリヌを語った。粟神疟患を理由に、これたで人間関係で蟛い想いをしおきた。しかし誠也さんず出䌚い、心境に倉化が蚪れ、症状は圢を朜めおいった。

     圌は誠也さんに陶酔しおおり、信仰に近いものを感じおいた。

     ビゞネスの話は楜しかったが、圌は仲間をある皮のシステムのように捉えおいるように感じる。僕ずは圚り方が違った。ヌヌだが、それも自由だ。

     圌ずは、誠也さんグルヌプの䞀員ずしお、䞀緒にむベントを行ったりしおおり、ミヌティングで顔を合わせる際には、ビゞネスの話をよく話した。

     仲間はお互いを高め合う者たちであり、第二の家族であった。

     忙しいなんお蚀葉が生ぬるい皋のスケゞュヌル。人間関係の豊かさ。尊敬すべき倧人たち。

     僕は、これたで䜕もしおこなかった。

     小さい頃から物語が奜きだった。高校生の頃、アニメにハマった。䞻人公に感情移入しお感動した。終わるず次の物語を求めおいた。

     アニメを芳終わるず、僕は珟実に還っおきた。蚀いようのない虚無感が僕を襲った。

     しかし今は違うんだ。
     僕は珟実に立ちながらにしお、物語の䞭を歩んでいた。

     僕はあっきヌを受け入れた。信じられた。
     誠也さんを尊敬した。この環境を愛した。

     ヌヌ圌らの蚀葉に奮えた。

     呚囲の人間関係が僕を圢䜜り、僕はコミュニティの遺䌝子を受け継いだ。そしおそれはそのたた僕の意志ずなった。

    ・

     僕は倧孊時代の友人に連絡をした。

     顧客リストに入った孊生時代の友人の名前は党お消されおいた。この䞖界の僕は、圓然のように既にこのビゞネスに誘っおいたらしかった。

     しかし、僕はそれを経隓しおいない。
     圌らず䞀緒にビゞネスができるならどんなに楜しいだろうか。

     倧孊時代、䞉限の授業を抜け出しお昌間からお酒を飲んだ日。

     友達たちずカラオケボックスに入り、オヌルが始たる倜の高揚感。

     知らない街を開拓し、倧人になっおいくような未知の䜓隓。

     圌らず人生䞞ごず過ごせるような、そんな未来を僕も望んだ。

    ・

     「前にも蚀ったけど、俺はやらないから。お前が蚀いたいこずも理解できるけど、俺には無理」

     目の前に座る男は、䜕も倉わっおいなかった。

     消極的で、狭いコミュニティを奜み、将来のこずを䜕も考えおいないようだった。

     僕はこんなだっただろうか。

     人は倉われる。僕が䜓感しおいるこの感芚を倧孊時代の友人たちに味わっおほしかった。

     「俺のこず䜕回も誘っおくるのは、ただ蚱すけど、仲間のこずは売るなよ。マゞで」

     ヌヌ仲間。

     それはお前が語るほど、安い蚀葉ではない。

     仲間ずはお互いの人生を高め合う存圚であり、居酒屋で無為な時間を過ごすその関係は、ただの友達だ。

     友達を吊定する蚳ではないが、䌚話が成立しない。同じ土俵で話すこずは叶わなかった。

    ・

     僕ず誠也さんの間には、もう䞀人の女性がいた。僕がこのコミュニティに入ったのは、その女性ヌヌ咲さんずマッチングアプリで知り合ったから。そう聞かされおいた。

     圌女は既にコミュニティには存圚せず、僕には未知の存圚だった。

     そしお元の䞖界の本島秋、僕もマッチングアプリをしおいたこずを、぀い最近思い出した。

     携垯をスクロヌルしお誰ず出䌚うか、そんなあたりにも簡単な遞択の䞀぀が分岐だったのだろう。

     咲さんず䌚う遞択をした僕ず、合わない遞択をした僕。

     神奈川のコミュニティに通い続け、熱狂するきっかけをもらった僕ず、途䞭で通わなくなった僕。

     あの日の河川敷を思い出す。
     僕はタヌニングポむントの向こう偎に挂着したらしい。

     僕は今の僕に満足しおいた。幞せだ。

     倧茔君のグルヌプは拡倧しおいた。僕も負けられない。

     叶うならば、最初の経隓からやり盎したい。
    どうか僕にもっず沢山の人生経隓をヌヌ。

    ---あっきヌ 芖点---

    ・

     ヌヌ眩しい。

     気が぀くず、僕は空を芋䞊げおいた。
     倪陜に翳した手を退けお、呚囲を芋回すず、䞀面の緑が広がっおいた。

     僕は河川敷の真ん䞭に立っおいる。

     目の前にボヌルが飛んでヌヌ

     僕はアンダヌハンドパスで打ち䞊げる。
     英倫君がトスをしお、誠也さんがアタックで盞手コヌトに決めた。

     い぀もの光景。僕はこの数ヶ月間で、すっかりこのビゞネスコミュニティが生掻の䞭心ずなっおいた。

    ・

     数幎間が経過した。

     僕はこのビゞネスに限界を感じおいた。

     誠也さんがビゞネスをやめお、信仰を倱った倧茔君は狂っおいった。

     咲さんはただビゞネスを頑匵っおいる。

     僕を誘っおくれた咲さんに、僕が誘った矎里に、それぞれやりきれない想いを感じおいた。

     ビゞネスが悪い蚳でもない。環境は最高である。ただただ僕が怠惰だったのだ。

     実家には垰れなかった。兄は粟神疟患を患っおおり、僕が垰るず倱神するほどの被害劄想を抱えおいた。これに぀いお党くもっお身に芚えもなく、ビゞネスが関係しおいるのかも䞍明だ。母も僕を心配しおくれおいた。

     ビゞネスから距離を取った僕が、シェアハりスの契玄期間を理由に残り続けるのは苊痛でしかなかった。

     僕はこの四幎間を振り返る。

    ・

     矎里は倜の仕事をしおいる女の子だった。
     終電埌の飲み屋で出䌚い、コミュニティに誘った。

     矎里は胡乱な顔をしお、僕の話を聞いた。
     僕は携垯を取り出し、い぀もの光景を圌女に芋せた。

     皆んなず誠也さんの誕生日を祝う僕、河川敷で遊ぶ光景。旅行先で宎䌚をしおいる動画。数えきれないくらいの思い出があった。

     普通の瀟䌚人ずは違った、倧孊時代の遊びを延長しお、スケヌルを倧きくしたような姿。
     その時間を䞀生にするために、本圓にやりたいこずだけを奜きな仲間たちず過ごせるようにヌヌそんなこずを語った気がする。

     䜕がフックずなったのか、圌女は環境たで来た。

     い぀もの河川敷。僕は皆んなに圌女を玹介した。

     「みさずねヌよろしくヌ䜕の仕事しおいるの」

     圌女は自分の仕事のこずを䌏せた。
     別に極端にお金に困っおいる蚳でもなく、奜きで倜職をやっおいるようであったが、色県鏡で芋られるこずを心のどこかで嫌がっおいたのだろう。

     「この環境に、職業で人を刀断する人はいないよ」

     僕らこそが、色県鏡で芋られる察象だった。
     そしお僕らはそれを乗り越えるこずで匷くなっおきた集団だ。

     僕が発した圓たり前を、圓たり前ず思っおいない人に響いた。それだけの話だった。

    ・

     僕は環境を離れたこずで、仲間たちヌヌそう呌ぶのも烏滞がたしいヌヌず䌚うのを極力避けおいた。

     僕の怠惰が圌ら圌女らの時間を奪う。それだけはしおはならないこずだず考えおいた。

     しかし、咲さんは頻繁に連絡をくれた。
     ここの人たちは皆んなそう。䞀人の人間ずしお僕ず向き合い、僕以䞊に僕の人生を考えおくれた。

     圌女がやっおきた。䞀緒に飲む玄束をしおいた。

     ヌヌ今が蟛かった。誰かに眰しお欲しかった。

     もしあの日、咲さんに䌚おうず思わなかったならば、僕は䜏む堎所を倉えるこずもなく、仕事を倉えるこずもなく、普通に恋愛をするような日垞を過ごしおいたんだろうか。

     僕はこの四幎間、人がどんなにこの経隓を求めたいず思っおも埗られないくらいの経隓をさせおもらった。

     しかし、叶うならば、あの分岐点からやり盎したい。そう思う僕がいるこずを、匱くなった僕がいるこずを誰かに赊しおほしかった。

     咲さんは僕に気が付き、声をかけおくる。

     どうか僕に普通の人生をヌヌ。

     
     

    蝞牛

     
     
    思想や哲孊ずいった抜象テヌマで短線小説を曞いおいたす。20代瀟䌚人の初心者です。よろしくお願いしたす。

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