気を遣うということ。エネルギーはどこへ向かっている?
入院中、あるスタッフさんがいました。
とても優しく、いつも話題を探しながら話しかけてくださる方でした。
「少しでも気持ちが楽になるように。」 そんな思いが伝わってくる、本当に温かい方でした。
でも、その頃の私は体調が優れず、返事をするだけでも精一杯でした。
会話が終わるたびに、心の中で小さく
「ふぅ…。」
と息をついていました。
私は、そのスタッフさんの気持ちが分かりすぎるくらい分かりました。
きっと私も同じタイプだから。
だからこそ、「ありがたい」と「しんどい」が同時にありました。
その時、自分の中から聞こえてきた声があります。
「今、一番使うべきエネルギーは回復すること。」
病気を治すためにも、今は誰かに気を遣っている場合じゃない。
お喋りで疲れていてはいけない。
そう気づきました。
でも、その優しさを前にして
「話すのがしんどいです。」
と言うことは、とても勇気がいりました。
相手を傷つけてしまうかもしれない。
申し訳ない。
そんな思いがよぎります。
そんな時、別のスタッフさんが
「何でも言ってくださいね。」
と声をかけてくださいました。
私はその言葉に背中を押され、素直な気持ちを伝えました。
「寄り添おうとしてくださる気持ちは本当に嬉しいです。でも今は体がしんどくて、お喋りを控えたいんです。」
その思いは本人にも伝わりました。
すると、
「配慮が足りませんでした。」
と謝ってくださり、
「伝えてくださってありがとうございます。」
とも言ってくださいました。
その日を境に、体調を一番に考えて接してくださるようになり、私たちの関係は以前よりもずっと心地よいものになった気がします。
体調が回復してからは、お互いの人生や家族のことまで話せるほど、深い関係になりました。
「破壊と再生」という言葉があります。
優しい人ほど、「破壊」が怖い。
相手を傷つけたくない。
嫌われたくない。
だから本当の気持ちに気付きにくいし、気付いても飲み込んでしまう。
そんな状況を続けると確実にしんどさも積もっていく。
本音を伝えることは、一度、関係を揺らすように感じます。
けれど、それで終わりではありません。
破壊の先には、再生があります。
お互いが本当の気持ちを知ることで、より深い信頼が生まれることがあります。
優しい人ほど、本音を伝えるのは怖い。
でも、その一歩が「破壊」ではなく、「再生」の始まりになるし、「優しい」人ほど「再生力」が高いとも思います。
勇気を持って、本音を表現
優しさの形を変えてみるのも良いかもしれません。
