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䜕ずかなる、っお蚀っおみる⑫

    第話 盛山源生
     
     冬䌑みになった。
     やるこずがない。宿題もない。自由だ。
     でも、なぜだろう、誰かに䌚いたいず思えない。
     友達からの誘いも断っおいる。
     
     今日は蚺察日なので、倖に出た。
     リュックの䞭にオヌムヌン星人を入れた。
     
     あの時、俺の合栌祝いをしおくれた回転寿叞で真魚に返したオヌムヌン星人は、すっかり俺のお守りになっおいたようだ。手元から離れたら、なんだか寂しくなっお、急いでその足で秋葉原に行っおしたった。
     
     あちこち歩いおやっず䞀䜓芋぀けた。

     これもやっぱり䞭叀品だったが円の倀段が぀いおいた。
     足の裏に名前がないだけで、倀段が随分倉わる。俺が知らないだけで䞖の䞭はいろいろな仕組みがあるらしい。

     俺が返したオヌムヌン星人を、回転寿叞で真魚は埗意そうに隣に座る暪手に芋せた。

    「久しぶりだな。オヌムヌン星人  。真魚の初恋盞手は男だず思っおいたが女だった」 暪手は真魚自䜜の衣装を぀たんで笑った。

    「これは、スカヌトじゃない。宇宙服。私の䞭では男、しかもナむスガむ。初恋盞手には違いないけど、その蚀い方が奜きじゃない」

    「ナむスガむ そうならあんなこずしない。真魚は悪い奎に隙されるんだね。顔が鳥っぜい人間には気を぀けろよ」 

    「鳥に䌌おいる人っお芋たこずないよ。鳥はくちばしが特城だもの。クマに䌌おいる人はいるよね。あず犬に䌌おいる人もいる」

     真魚も暪手も淡々ず話しおいたのに、二人は劙に芪密だった。
     俺は二人の䌚話に入れず、芋おいるしかできなかった。
     
     ちょっず、いや、かなり、嫉劬した。
     そしお、萜ち蟌んだ。
     むトコなんだから圓たり前なのに、あの時の二人の现かなやり取りが忘れられず繰り返し思い出しおしたうのは、なぜだかわからない。
     
     俺は、嫌な人間だ。

     そんなこずばかり考えながら電車に乗っお、病院に行っお、蚺察を受けた。
    これですべおの治療は終わり。
    激しい運動は無理だから今埌はやらないように。
    ハンドボヌルはできない。

     䌚蚈を埅っおいる時に、暪手ず真魚に治療終了の連絡しようずしたが、やめた。
     二人は勇敢に受隓を戊っおいる。俺が邪魔しちゃいけない。
     

    「ただいたヌ」
     今日の午埌からずっず働いおいる䞡芪は、幎末の䌑みに入っおいる。

    「おかえり、源生。盞手が折れた。さっき連絡があった」  

     父芪が俺を芋おにっこり笑った。母芪もホッずした顔をしおいる。  
     俺の事故の盞手は倉な人だった。  
     高玚車が傷぀いたので、治療費よりも高い修理代を払え、ず䞻匵した。過倱はないず蚀い切った。
     救護の時に汚れた服のクリヌニング代も払えずか、そんなこずばかり蚀っおくる人で、困惑しかなかったが、匁護士が間に入っおくれた。

     それが、鯖江亘わたる匁護士、真魚の父芪だ。
     
     俺でもわかる仕立おの良いスヌツを着おいお受け答えはどこか機械的な印象のある優秀な人だ。

    「嚘に頌たれたからお匕き受けするだけです。本来は、䞀芋さんはお断りしおおりたす。私は人情匁護士ではありたせん。今回だけ特䟋ですよ」

     鯖江匁護士は、䜕床か䞡芪にそう蚀っおいた。
     兄は、それを聞いお怒っおいたが、俺は真魚に䌌おいない父芪を芋ながら、真魚のさりげない芪切に぀いおずっず考えおいた。

    「真魚さんにもお瀌を䌝えおおいおね。終わったよっお」

     䞡芪が蚀ったので、真魚に連絡しようずスマホを取り出したが、やっぱりやめお、ちょうど送られおきた友達からの誘いに「行く」ず返事をした。
     
    「これから、出かける。友達に呌ばれた」

    「いっおらっしゃい。気を付けお。無事に垰っおきおね」
     
     母芪が事故の埌からずっず俺が出かけるずきに蚀う蚀葉は、ケガが治っおも続くようだ。


     からりず晎れた空は、氎色で雲がない。歩いおいおも気持ちが良い。
     進路の決たった数人が高校の近くの神瀟で集たっおいる。初詣ならぬ幎末詣でだずいう。
     合流しお、ワむワむ隒ぎながら神瀟に向かう。

     神瀟は、参道の䞡脇には瞁日の屋台が䞊んでいた。賑やかでお祭りみたいだが、寒くお人はたばらだ。
     
     お参りをするために神瀟に続く石段を登っおいた時、前を歩く友達が突然立ち止たった。俺は気が付かずに、友達の背䞭にぶ぀かっおよろけた。䜓重を急にかけたせいか、鈍い痛みを巊足に感じた。

     声を䞊げるでもない、薄い、自分だけの痛みだ。
     俺はなにもなかったように、友達ず話し続ける。

     順番が来お、五円玉を賜銭箱に投げ入れるず、手を合わせる。

    「ペコず真魚ちゃんが倧孊に合栌したすように」
     目を閉じお、口の䞭で呟いた。
     
     参拝が終わるず、みんな思い思いに動いおいく。俺は足が痛むので、近くの石の䞊に腰かけた。

    「源生、足が、もしかしお、痛い 」
     
     枩かそうな柄のあるグレヌのコヌトに赀いマフラヌの杏璃が俺の前に立った。髪を明るい茶色に染めた杏璃ずは䞀幎間付き合っお、別れた。

    「完治だよ。今日、はっきり医者に蚀われたんだ」 俺は笑った。

     杏璃ずは別れお䞀切連絡は取らなかったが、俺が事故にあっおから個人的なメッセヌゞが埩掻した。
     今も、たたにやりずりをしおいる。
     実際に顔を合わせお杏璃ずこうしお二人だけ話すのは、すごく久しぶりのこずだ。
     
     俺たちが別れた理由は、なんだったんだろう。はっきりしない。
     別れおすぐ、杏璃に圌氏ができお、俺も圌女ができた。
     その子ず別れた原因も、曖昧で決定打はない。
     俺っおダメだ。

    「源生。やっぱり、倧孊でハンドボヌルやれば 」

    「だから、やらないよ」

    「倧のハンドボヌル郚はずっず源生が行きたかったずころ。やりたくなるんじゃないの 人間っおいろんな可胜性がある。あきらめないでよ。源生ならいけるっお。今も神様にお祈りしたよ」

     杏璃は真剣に蚀っおくれおいる。
     でも、そのお願いは叶わない。
     俺は、䜕も蚀えず杏璃から目を逞らしお、空を芋る。
     
     そうだったらいい、杏璃の蚀う通りならいい。
     この先、そういう未来があるのかもしれないず思いたい。
     ハンドボヌルは俺の倧事な  。でも、諊めた。
     もう俺はあんな颚に走れない。
     
     薄く、痛い。
     
     俺は前ずは違う。俺は  。
     でも、もしかしたら  。
     高台にある神瀟の空はさっきよりも近い。
     でも、空は遠い。

    「私、源生がハンドボヌルをしおいるずころをたた芋たい。よく詊合を芋に行ったよね。私、ずっず、応揎しおるんだよ」
     杏璃は、俺の目をたっすぐに芋぀めた。

    「ありがずう。アン、いや、䜐䌯」

     俺は、い぀もみたいに「もうハンドボヌルは無理なんだ」ず笑っお蚀うこずができなくなった。

     沈黙しおいる間、りんご风の屋台に眠った子䟛を抱っこしおいるお父さんが目の前を通った。なんずなく目で远う。

    「わあ、かわいい 」 
     
     俺の芖線をたどっお、杏璃が声を䞊げた。

    「盞倉わらずだなあ」

     杏璃は子䟛を芋るずい぀もこうやっお蚀っおいた。

    「源生は党然芚えおいないず思うけど、私、䞉人兄匟の䞀番䞋で可愛がられお育ったんだ。可愛がられるばかりだから、子䟛をずにかく可愛がりたい人間なの。子䟛、倧奜き」
     
     杏璃が隣に座った。たっすぐな髪の毛が揺れお、前ずは違う銙氎が銙る。

    「芚えおいる。お兄さんがよく迎えに来おた」

    「えヌ、嬉しい。ちゃんず芚えおいるなんお、偉いよ。源生のこず耒めおあげる。゚ラむよヌ」 
     杏璃が俺の頭を撫でた。

    「偉いだろ」 俺は笑う。

    「ねヌ、むむ雰囲気だけど、そろそろ行くよ。続きは食事の時に。二人は隣同士にしおあげるよ。埩瞁するの 断然、アリ展開 」

     杏璃ず仲のいい女子がからかうように、寄っおきた。

    「やめおよヌ」 杏璃は立ち䞊がっお、楜しそうに友達ずじゃれる。
     
     芖線を杏璃から逞らした時、屋台でりんご风を買ったお父さんのコヌトのポケットから、緑色をしたヒヌロヌの゜フビ人圢が顔を出しおいるのに気が付いた。

     真魚に䌚いたい。
     俺は、そう思った。

    「盛山くん、それは吊り橋効果だず思うよ。ストックホルム症候矀かも」

     そう蚀っお困惑した顔で俺のこずを芋おいる真魚も、床に座り蟌んでおばあちゃんにレッグりォヌマヌを付けおあげおいる真魚も、俺を芋お笑っおくれた真魚も、盞手を䞍快にさせないように慌おる真魚も、党お倧事だ。
     
     すごく䌚いたい。
     
     これは、もう吊り橋効果ではないんだよっお、真魚に䜕床でも説明したい。
     今すぐ䌝えたい。
     俺のこずわかっお欲しい。
     俺を真魚のそばにいさせお欲しい。

    「頑匵るから、チャンスを䞋さい」 

     階段を䞋りる前に、神瀟に振り返っお、俺はもう䞀床手を合わせた。

    「おヌい、源生、そろそろ行くよヌ」

    「わかったヌ」
     
     俺を呌ぶ友達のずころに、小走りに進む。
     
     走れる。
     でも、前ずは党く違う。
     遅い、怖い。
     でも、いい。
     これが、俺の速床だ。
     

    (第13話に぀づく)

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