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Photo byshinobu595

正装

    ■僕の風景

    毎日電車の窓から見える
    建設中の高層ビル
    完成してしまえば見向きもされない

    駅から少し離れた
    空のテナント
    何が入っていたのかギリギリ思い出せない

    こんな感じで僕も
    誰かから少しずつ確かに
    忘れられたんだろう

    だけどいきなり今日は
    昔好きだった人の誕生日なんだと
    降り注ぐ事がある

    自分がどうしても覚えておきたいこと
    どうでもいいのに記憶に残り続けてること

    どちらが大事かなんて

    どうだっていいと思えた


    ■とある食事

    僕のとっておき雑学を
    笑いながら調べてくれる

    検索しても出てこない事を知りたい
    伝えたいのに

    口いっぱいに頬張るお世辞と
    粉をたくさん付けられた名前もわからん魚

    「今度また皆でこのお店に行こうよ」

    カレンダーを埋め尽くしては
    社会にいていいんだって
    チケットを保持してる気になる

    この人との距離や
    自分の隙間を
    埋める必要はあるのだろうか?


    ■祈り

    ニュースを見ていつも思ってしまう
    「自分じゃなくてよかった」

    どうか大地震にあわないでほしい
    どうか事故にあわないでほしい

    目が見えるまま 耳が聞こえるまま
    五体満足のままで生きて欲しい

    そんな濁りのある願いに抱かれながら育ったから
    僕はそんな事を思ってしまうのかも知れない
    祈りは綺麗なだけではなく
    怒りは汚れてはいない

    感情に名前を付けることが
    僕らには出過ぎたことだったのかもしれない

    この名もなきものを胸に携えて 
    次のチャンネルを探す


    ■時計の針

    時が流れなければ 皆に笑われ消えたいほど惨めになることもなかった

    時が流れなければ 理不尽への諦念を
    テクニック等と言い換えることもなかった

    時が流れなければ おばあちゃんが僕を忘れた後で死ぬこともなかった

    時が流れなければ その後襲って来る悲しみを薄目で誤魔化すこともなかった

    時が流れなければ 遺された場所から立ち上がる強さに気付くことはなかった

    時が流れなければ 好きな人を好きな自分と出会うことはなかった

    時が流れなければ 子供の寝顔に生きる意味を決めることはなかった

    生きなければ

    生きなければ


    ■夜明け

    40過ぎてもまだ知らない

    深夜に黒く渦が巻いた時の解き方

    外行きの顔で話しながら
    強かに脳に浮かぶ損得勘定の消し方

    今からでも知りたい

    蚕の様に黙々と
    次の街灯までと言い聞かせ夜を歩き

    白い光に導かれる様に進みたい

    何もなくても

     


     
     

    フチ

     
     
    熊本出身→大阪在住リーマン。 漫画・本・野球・jpop・マラソン好き 冨樫義博と荒川弘信者です!

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