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第二十六話|『箱も借りた。金も借りた。』[スナック開店編]

    借金300万円。
    でも、不思議とワクワクしていた。

    箱も借りた。
    金も借りた。

    もう、後戻りはできない。

    昼の仕事しか知らない人には、
    スナック開業なんて“勢い”に見えるかもしれない。

    でも実際は違う。

    物件。
    融資。
    内装。
    酒。
    看板。
    ソファー。
    トイレ。

    細かい現実の積み重ねだ。

    タマはノートに、
    思いつく限り全部を書き出した。

    「店を出す」って、
    夢みたいに聞こえる。

    だけど本当は――
    めちゃくちゃ泥くさい。

    今回は、
    300万円の融資を受けたタマが、
    現実の“店作り”に突入する話。

    なぜ、
    タマは「トイレだけは譲れない」と言ったのか?

    なぜ、
    地元の内装屋に頼んだのか?

    そして、
    スナック経営で1番大事な
    “ある事”とは――。

    店は、
    人で出来ている。

    タマシリーズ
    『箱も借りた。金も借りた。』

    何と、300万円。
    満額で貸してくれた。

    「えっ…本当に?」

    タマは何度も書類を見返した。

    もう、後には引けないやつだ。

    箱は借りた。
    お金も借りた。

    さぁ、次は店作りだ。

    内装工事。
    ソファー。
    看板。
    お酒の仕入れ。

    思いつくことを、全部ノートに書いていく。

    「まだまだ、やることあるにゃ〜」

    まずは内装工事からだ。

    そういえば――
    前のスナックのお客さんに、内装工事屋さんがいた。

    地元では有名な人だ。

    毎晩、豪快に飲み歩いている。

    「この人に頼んだら、きっと店にも来てくれるにゃ。」

    タマはそう考えた。

    スナックは、
    “店だけ”作ってもダメだ。

    地元の人に愛されなければ続かない。

    それを、タマは夜の世界で学んでいた。

    まず決めたのは予算。

    200万円。

    「これしか無いです。」

    最初にハッキリ伝えた。

    その上で、
    やりたい事を全部お願いした。

    「トイレは絶対、綺麗にしてください。」

    タマはトイレにうるさい。

    コンビニのトイレは苦手。

    「1番綺麗なのはパチンコ屋さんにゃ。」

    トイレに行きたくなると、
    パチンコ屋を探すレベルだ。

    酒棚もこだわった。

    インスタで見つけた棚を見せながら、

    「これにして。」

    次から次へと注文する。

    でも最後は必ず同じ言葉だった。

    「200万円でお願いします。」

    内装屋さんも、
    「タマちゃんのためだから。」
    と頑張ってくれた。

    そして開店後も、
    何度も店に来てお金を使ってくれる。

    結局――

    スナックは、
    人で出来ている。

    第二十七話に続く

     
     
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