
猫に餌をやった
猫に餌をやった
点字ブロックのそばに猫は伏せていた
最初はゴミ袋でも転がっているのかと思った
茶虎の猫だった
荒く、ぴーぴーと鼻息を鳴らし、目やにもこぼれていた
僕が横を通っても身じろぎ一つせず、僕を目で追うこともしなかった
顔がよく見えなくてライトをあてると、くしゅん、くしゅん、とくしゃみをした
僕はこの種類の猫を知っている
これは死ぬ間際の猫だ
哀れんだ
どうするべきか悩んだ
餌をやるべきだろうか
家に連れて帰るべきだろうか
でもそんな事は僕の自己満足でしかない
やはり何もせずに帰るべきだろうか
そんな事を考えていると、ふと気づいた
耳が切れている
察するに、死期を悟って家から出てきた飼い猫だろう
うちの猫もそうだった
最後はどこかへ行ってしまった
途端に、僕の中から家に連れて帰る選択肢が消えた
なぜかはわからない
結局、僕は猫に餌をやって、それで、帰った
コンビニで買ったちゅーるを猫はぺろぺろ食べた
4本入りを全部
食べ終わると、猫は、僕から目をそらして、また歩道に座り込んだ
僕は歩いて帰った