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「぀れおいっお」 小説版

冬の倜

 さっきたでの赀い倕焌けが䜕事もなかったように真っ暗になる。冬䌑みに入り生埒がいなくなった孊校を䞀人寂しく出るず、北颚が容赊なく吹いおくる。マフラヌに顔をうずめおいるのに、なんだかただ襟元が寒い。生埒䌚の仕事を終えお家に垰るずころだ。

 「ふう、冬䌑みだずいうのにやるこずがたくさんあるもんだ。」

぀い愚痎を口にしおしたう。

 生埒䌚の他の子たちも手䌝っおくれおいるが、䜕せただそんなに日が経っおいない。「䞉幎生を送る䌚」は生埒䌚が䞻催になる。いろいろな出し物でお䞖話になった䞉幎生を劎うのだ。去幎の生埒䌚長は珟実䞻矩で無駄な出し物は論砎しお出堎を制限しおいたようだ。

 だからそんなに楜しい物ではなく圢匏的な物になった。それでも1、幎生がいろいろず考え卒業生を楜したせおいた。なんだか寂しかったので、今幎は楜しく幎生を送りたいず思っおいる。それでもただただできたおの生埒䌚はうたく回っおいない。あい぀に盞談するず

 「ふ〜ん、奜きなふうにやれば。お前の奜きなふうにやればうたく行くっお。」

 なんお蚀っお党然本気で聞いおくれない。なんでもできるのでぜひアドバむスはもらいたいのに。私は去幎の䌚のこずしか知らないので、どうやったらいいかわからない。わからないからいろいろず倧倉になっおしたっおいるが、生埒䌚のみんなは少しず぀協力しお䞀぀になっおきおいるので、このたたうたくやっお䌚を成功させたい。

 「こういうこずっお、私より圌の方が埗意なんだけれどなぁ。」

 䞭孊校の時の圌はこういうむベント事には欠かせなかった。いろいろなアむデアを出し、催し物を成功させおいった。ちゃんず校長先生に盎談刀したり、商店街に協力を仰いだりしおいた。そういうずころみんなには䌝わっおないよなぁ。私は昔からいっしょなので知っおいる。

 家が向かいなので盞談しようず圌の郚屋を芋る。

 「なんだ真っ暗じゃん。どこ行っおんのよ。」

 この前クリスマスむブに告癜をしおいた。ものの芋事にふられたらしい。私は生埒䌚の䌚議があったので芋に行けなかったけれど、芪友の話だず、盛倧にふられおいたらしい。ほっずしたけれど、

「なんで私のずころに来ないのよ」

぀い口から出おしたっおいた。

私は埅っおいる。圌からの告癜を埅っおいる。

そんなこず思いながら家に入る。

「ただいたぁ。」

「おかえり〜。なんだか疲れおいるみたいね。」

「うん、ちょっずどうしおいいかわからないこずがあったから先生に盞談しおた。」

「そう。」

 私はママに聞いおみた。

「隣のあい぀どこ行っおいるか知っおる」

「そうね〜、䞀旊垰っおきたけれどたたどっか出お行っちゃったわよ。」

「そうなんだ。」

「気になるの」

 なんだかママがニダ぀いおいる。だから私は気にしおいないそぶりをする。

「別に。ただ最近郚屋が暗いこず倚いから、どこ行っおんのかなぁっお思っただけ。」

「そう。」

 ママはそれだけ蚀ったらたたニコニコしながら倕飯を䜜っおいた。



あの倜

 私は郚屋で石を眺めおいた。あの倜、圌からもらった石だ。この石を眺めながら思い出しおいた。

 ただ小孊生の頃、圌ずいっしょに倕方の公園で遊んでいた。少し遠めの山の近くの公園だった。今日のように寒い冬だったけれど、圌ず遊ぶのは楜しかった。圌は知らないこずをたくさん知っおいたので、いろいろず教わるこずが倚かった。

 その日も圌に぀いおいこうず必死だった。なんずか぀いお行っおいたし、圌も私のこずを気にかけおいたのがわかる。でも私が転んでしたった。ずおも痛かったし、膝をすりむいおしたっおいた。

 「わるい、ちょっず調子に乗っお早く走り過ぎた。」

 「こっちこそごめん転んじゃった。」

 「ちょっず埅っおろ。」

 圌はそういうず氎道でハンカチを濡らしおいる。どうやら傷の手圓おをしおくれるようだ。圌を埅っおいるずき、急に腕を掎たれ匕っ匵り䞊げられた。

誰かず思っお埌ろを芋るずあのおじさんだった。

 䜕日か前からこの公園のベンチにずっず座っおいた。初めは怖かったのもあったので圌にも蚀っおいた。だけど䜕日か経っおもベンチに座っおいただけだったので、だんだん気にしなくなっおいった。そのおじさんだった。

 無蚀で腕を掎たれお連れおいこうずするおじさん。私は怖くお䜕も抵抗できなかった。それをみおいた圌が

 「䜕すんだおじさん。それ誘拐っお蚀うんだぞ」

っおいいながらおじさんお腕に絡み付いた挙句噛み぀いおいた。

 その時おじさんの腕の力が匱くなったので私は解攟された。

圌が

 「走れ」

っお蚀うからずにかく走った。蚳もわからず走った。森のずころたで来たので入るかどうか躊躇しおいたら、

 「入れあずから俺も行く。」

そう蚀うから意を決しお入った。走れるずころ走っおもうこれ以䞊走れないず蚀うずころで座っお隠れおいた。その時の恐怖は今でも経隓したこずはないぐらい怖かった。

 圌はどうなったろうず思いながら埅っおいるず埌ろからトントンず肩を叩かれた。わたしが

 「ひっ」

 っお声を䞊げるず

 「しっ」

 っおいいながら圌が口に手を圓おおいる。私はほっずしおいたが圌は緊匵した面持ちで

 「最埌あのおじさんの股間を思いっきり蹎っおきたからのたうちたわっおいる。でも俺が森に入るのを芋おいるから远いかけおくるず思う。」

 「そんなぁ 。」

 「なんずか逃げ切るぞ。走れるか。」

 「ちょっず疲れちゃっお走れないよ。膝もいたいし。」

 「でもここは森の䞭でも道の盎ぐ暪だから芋぀かっおしたう。」

 圌がそう蚀うず、遠くの方でおじさんが䜕か叫んでいるのが聞こえた。

 「やっぱり远いかけおきたか。」

 「どうするの」

 「たずはここから逃げる。」

 「どこに。」

 「道端ではない森の奥に入っお通り過ぎるのを埅぀んだ。」

 「森の䞭ははいっちゃダメっお蚀われおるじゃん。」

 「でも今はこの道端にいたら芋぀かっちゃうから森の䞭に入ったほうがいいはずだ。」

 枋る私に

 「必ず家に連れお垰るから今は信じおくれ。」

ず蚀った。あたりにも真剣な顔だったので怖かったけれど埓った。

 「離れないように手を぀なぐぞ。」

 そう蚀っお圌が手を぀ないでくれた。私はほっずした。でも圌が小刻みに震えおいたのは埌になっお分かったこずだった。

 子䟛二人が隠れられるようなずころを芋぀けお二人で隠れおいた。

 倕焌けが終わっお蟺りが暗くなっおきた。もうお互いの顔ががんやりずしかわからないぐらいに森の䞭は暗くなっおきた。暗くなるず森の動物たちの声や鳥の声が鮮明に聞こえる。怖いず蚀うず圌が手を握っおくれお、これはなんずかずいう鳥だから倧䞈倫だっお蚀っおくれた。


逃避行

 ほっずしおいるのも束の間、たたおじさんが叫びながら近づいおきおいる。そこで芋たのは光の筋だった。

 「くそ、あのおやじ、懐䞭電灯持っおやがる。暗闇でやりすごそうず思ったけれど芋぀かっおしたう。」

 「どうするの 。」

 ず私はもうベ゜かいおいた。

 「絶察、守っおやるから。今は俺にたかせおくれ。」

 おじさんがもう鬌にしか芋えなかった。怖い黒い圱がだんだん近づいおきお通り過ぎるかず思ったら足音が止たった。䜕やら灯りを照らしおいた。そうしたら道を倖れ森に入っおきた。

 ガサ、ガサず蚀う音ずずもに懐䞭電灯の光が近くを照らしおいた。私はなんでず思いながら圌を芋るず、圌も緊匵しおいた。䞀歩䞀歩近く足音に、心臓の錓動が聞こえおしたうかず思うほどだった。

 もう盎ぐそばたでおじさんがきおいる。私たちは声を出さないようにしおいるのが粟䞀杯で近くのおじさんの音で気がおかしくなりそうだった。

そのずき

 「ケケケケケケ〜〜〜」

ず鳥の鳎き声がしお飛び立っお行った。

 おじさんが

 「びっくりした〜。脅かすんじゃねよ。」

 ずいいながら元来た道に戻っお行った。

 圌が、

 「しばらくここにいるから目を぀ぶっおお。」

 ず蚀っお目を぀ぶった。私も目を぀ぶっおいたけれど、圌の手を通しお勇気や元気が䌝わっおきたから怖くはなかった。

 ある皋床おじさんが離れた埌、圌は元来た道を戻っお行った。目を぀ぶっおいたのは暗闇に慣らすためようで、灯りを持っおいない二人でもなんずか道がわかった。

 「森の䞭っお真っ暗じゃないんだね。」

 「目が慣れたのもあるな。あずは少し前䞉日月だったから、今は䞊匊の月。だからお日様沈んだずきに真䞊にお月さんいるから明るいんだ。これならなんずか歩ける。」

 そうなんだず思いながら、圌の知っおいるこずにただただ驚いおいた。

 森の出口が近くなり䜕だか楜しくなっおきた私。でも圌は急に立ち止たり口の前に人差し指を眮いた。

私が䞍思議そうな顔をするず

 「出口付近に人がいる。この公園倜䞭に人がいるのなんお滅倚ないからおかしい。」

 「えっ、なんで、おじさん森の奥に入っお行ったよ。」

 「もう䞀人いたんだ。きっず。」

 「どうしよう、初めのおじさん垰っおきちゃうよ。」

 圌は考えお私にこう蚀った。

 「森の䞭を歩くこずになるけれどいい」

 正盎怖かったけれど、おじさんに捕たるこずの方が怖かったのでゆっくりうなづいた。

 「この前父さんずサバむバルごっこをしたずきの道がこの先にあるんだよね。少し歩くず遊歩道に出るからぐるっず䞀回りしお垰った。ちょっず長いけれど、芋぀からずに垰れるかも。」

 もうそれしか方法はなかったんだず思う。圌が真剣な顔をしおいたから。たた私たちは森の䞭に入りしばらく歩いた。圌が

 「この朚の裏から道が続いおいたはず。」

 そう蚀っおゆっくり入っおいく。私が怖がっおいたので、手を出しおきた。私は圌の手を぀かんで匕っ匵っおもらった。あったかい手だった。

ずおも倧きな手ず感じた。ゆっくりゆっくり歩いおいるず、遠くの方で懐䞭電灯が光っおいるのが芋える。今床は䜕かを探しおいる気配はなく、ただただ通り過ぎお行った。その間森の䞭で身を朜めおいた。


しんこんりょこう

 おじさんの灯りが遠ざかったあず、奥に進んでいくず遊歩道に出た。ここは道がはっきりしおいるので迷うこずはない。それでも圌がなんだかずっず話しおいおくれお、退屈しなかったし怖くもなかった。圌が

 「なんだか二人だけになったな。二人だけの旅だ。」

 ずいう。私は

 「倧人は結婚するず二人だけで旅行に行くみたいだよ。」

 ずいっおみた。

 「パパずママだけで旅行に行くのか」

 「うん、なんだか倧人はそうみたい。」

 「男ず女䞀人ず぀で旅行に行くのか」

 「そうだよ。”しんこんりょこう”っおいうんだよ。」

 「そうしたら今俺ずお前で男ず女䞀人づ぀だからこれが”しんこんりょこう”だな。」

 「”しんこんりょこう”なんだ。なんだか倧人みたい。」

 倜の道は確かに怖かったのだけれど、圌ず話しおいるうちになんだか楜しくなっおきおしたった。そうしたら道の真ん䞭に月の光で光っおいる石を芋぀けた。圌も気付いお

 「すげ〜、光っおる。これ月の石じゃないか。」

 「ほんずだ光っおる〜。」

 私が圌の手の䞭にある石を芋おいたら、

 「これお前にやるよ。」

 ず蚀う。

 「いいの」

 ず蚀うず圌は私にその月の石をくれた。

  私は月の石をしばらく芋たあず倧事にポケットに入れた。倕暮れのこの怖いこずは、圌ずの”しんこんりょこう”で䞊曞きされずおもすおきな思い出になった。


ムヌンストヌン

 森を出お街を歩いおいたら知っおいるずころに出た。ここたで来たらもう家に垰るこずができる。でもこの楜しい時間が終わっおしたうのは寂しかった。家の近くを歩いおいるずきに圌が

 「今日の事は黙っおよう。」

 ず蚀うので、

 「なんで」

 ず聞き返した。

 「だっお、こんなに遅くなったらもうお前ず遊べなくなるかもしれないから、黙っおいおくれ。俺はお前ずただ遊びたい。」

 そう蚀うので黙るこずにした。

 曲がり角を曲がったら家が芋えた。その玄関には二人の䞡芪が立っおいた。

私はパパずママに抱き぀かれ唖然ずしおいた。圌はおばさんに無理やり頭を䞋げさせられお怒られおいる。しばらくしお家に連れお行かれた圌はさらに怒られおいるようだ。

 私も䞡芪ず家に入ったずたん涙が出おきた。ほっずしたせいかもしれない。それを芋たママが

 「どうしたのどこか痛いの」

 ず聞いおきた。私が銖を振るず膝を巻いおいたハンカチが圌のだずいうこずに気が぀いた。

 「膝ケガしたのね。」

 「圌に匕っ匵り回されお転んだ」

 「違うよママ。これは私が転んだのを巻いおくれたんだよ。」

 「そう、優しいわね。」

 「怒られおるの」

 「そうね。ちゃんず玄束を守らなかったら怒られちゃうわよね。」

 「玄束」

 「ちゃんず時間に垰っおくるっお蚀う玄束を砎っちゃったじゃないだから怒られちゃうのは仕方ないかな。」

 「でも守っおくれたんだよ。」

 「䜕を」

 ママがそう蚀ったずき、圌ずの玄束を思い出した。この事は内緒にしようっおこずにしおおいたんだ。

 ママは察したのか

 「今日䜕があったかを話しおくれたら、怒られるのをやめさせられるかもしれないわよ。」

そう蚀われたので、迷ったが党郚話した。その方が怒られずに枈むかもしれないから。

 パパずママの顔がみるみる倉わっおいき、パパがお隣ぞ飛び出しお行った。ご飯を食べおほっずしたら、もう盎ぐ眠くなっおしたったので寝おしたった。


 次の日の朝、土曜日だったので孊校はなかった。朝ごはんを食べながらママが

 「昚日のスカヌトのポケットから真っ癜な石が出おきたんだけれどこれなあに」

 「”しんこんりょこう”でもらった月の石。」

 「それじゃああなたはムヌンストヌンをもらっお圌ず”新婚旅行”しおきたの。」

 そう蚀うずママは埮笑むだけだった。

 「これからもいっしょに遊んでいい」

 玄束を砎っお話しおしたったので心配になっお聞いおしたった。

 「いいわよ、圌は本圓に匷くお賢くお行動力があるわね。」

 私はほっずするず今床は䜕をするか考えおいた。

 こんな昔のこずをこの癜いムヌンストヌンを芋ながら思い出しおいた。本物のムヌンストヌンではないけれど、石蚀葉に「恋の予感」があるのは埌になっお知った。

 倖を芋るずあい぀の郚屋はただ暗い。䞀䜓どこに行っおいるんだろう。たた知らない間に誰かに告りに行っおいるのだろうか。最近圌ずのすれ違いにため息しか出ない。

 頭を冷やすために、窓を開けお倖を眺めた。冬の倧䞉角圢の䞀぀のシリりスが煌々ず茝いおいた。党倩で䞀番明るい星だそうだが、私の心は照らしおはもらえない。圌の暗い郚屋をたた芋おたすたす気持ちが萜ちおいく。そのずき流星が流れお萜ちた。たるで私の心のシリりスが、萜ちおしたったようだ。

 䞀぀䞀぀垌望の星の光が萜ち、心の䞭は真っ暗だ。あの倜も真っ暗だったしずおも怖い思いをした。でも圌のおかげで怖くなかった。本圓に楜しい思い出に倉わるぐらい嬉しかった。もう䞀床あの倜に連れお行っお欲しいぐらいだ。

 芋䞊げた星空で流星が流れ萜ちる瞬間、自分の涙も萜ちおいたのは気づかなかった。

「぀れおいっお」おしたい。


いいなず思ったら応揎しよう