
【ショートショート】思い出相続税
不思議な店だった。
路地の奥、看板もない。
扉を押すと、ガラスケースに小さなカプセルが並んでいた。
記憶ナノマシン、と札がある。
誰かがシナリオを書き、俳優が演じ、編集された既製品の記憶。
企業製のほうがまだ質はいいが、掘り出し物は、いつもこういう店にある。
生体由来は、死者のものも含めて、十年前に全面禁止になった。
税金だのなんだのと、厄介な制度もできた。
娯楽なのに世知辛い。
店主は老人だった。
一本試してみなさい、と言った。
適当に一本取る。その場で首筋に当てた。
——雨の音。
傘をささずに歩いていた。
濡れたアスファルトに、誰かの靴音が重なる。
振り返ると明里が、泣きそうな顔で立っていた。
口が動く。何かを言いかけている。
これは、違う。
創作の記憶じゃない。
俺は"明里"という女をしらない。
生の、誰かの人生だ。
国が管理しているはずの、記憶がなz
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『この記憶(ショートショート)は9600bit(400文字)を超えているため、これ以降は再生できません。』
『再生セッションが終了しました。ナノマシンを回収してください。』
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たらはかに(田原にか)さんの企画、
『毎週ショートショートnote』のお題に参加させていただきました。
タイトルが"思い出相続税"でこの話を書いていいとは思いません笑
ただ、相続を拒否された思い出・記憶たちがどこに行くんだろうと考えたらそっちの話が広がりすぎてしまいました。
本とか大好きなんですが、なかなか読む時間がとれなく、ナノマシンで体に入れられたら楽だろうな、、とか考えてますが。
読書は、書を読むことに意味がありますからね。
私は紙の本派です。
あおさばさん画像使わせていただきます。ありがとうございます。