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せっかくなので、タモリさんの話

    「タモリって何が凄いの?」
    という疑問が出るのは、ある意味当然なのかもしれない。
    現代は、“見えやすい能力”の時代だからだ。
     ・大声で笑う
     ・大げさなリアクション
     ・切り抜き映え
     ・強い言葉
     ・短時間でインパクトを残す
    つまり、
    「数字として観測しやすい能力」
    が強く評価される。
    しかし、タモリさんは、そこにいない。
    彼は、“能力者”ではなく、
    “特殊能力者”の類だ。

    野球で言えば、名捕手。
    打率や本塁打だけ見れば、もっと派手な選手はいくらでもいる。
    しかし、
     ・なぜか試合が壊れない
     ・なぜか投手が活きる
     ・なぜかチームが安定する
     ・なぜか空気が荒れない
    という、“見えない勝利条件”を満たし続ける。

    タモリさんも同じだ。
    『笑っていいとも!』の異常さは、
    「生放送で、毎日違う人間が来ること」にあった。
    芸人、俳優、アイドル、文化人。
    空気の読めない若手、緊張している新人、テンションがおかしいベテラン。
    本来なら、空中分解してもおかしくない。
    しかしタモリさんは、
    「今日は前に出した方がいい」
    「今日は泳がせる」
    「今日は静かにさせる」
    を瞬時に判断する。
    しかも、自分が目立とうとしない。
    ここが重要だ。

    現代の個人メディア、特にYouTube的な競争では、
    “自分が輝くこと”が重要になる。
    だが、テレビ番組、しかも生放送は違う。
    テレビという巨大空間を、毎日事故なく成立させる。
    そのためには、時に自分を消す必要がある。
    だから、「個人」であるYouTuberには理解が難しいのかもしれない。
    そもそも、YouTuberの延長線上にいる存在ではないのだから。

    タモリさんは、
    「場そのものを制御する存在」
    なのだ。
    つまり、能力値ではなく“特殊能力”。
    スキル欄がおかしい。
    RPGで言えば、
    ・混乱無効
    ・空気安定化
    ・味方全体バフ
    ・緊張解除
    ・時間操作
    みたいな、説明不能な特殊効果を持っている。
    このタイプの凄さは“見えない”。
    ホームランみたいに映えないからだ。
    むしろ、「何も起きなかった」時ほど、仕事をしている。
    だから、生放送やテレビの現場を知る人間ほど、タモリを異常評価するのだろう。
    あれは、笑いの技術というより、
    “人間が大量に集まった空間を成立させる能力”
    なのだ。
    もはや司会ではない。
    結界術である。


     
     
    真夜中にぼんやりと灯る部屋で珈琲を飲みながら、ふと思ったことをつらつらと・・・

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