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⚜ゎヌルド第0話② 西ぞ向かう勇者

    ⚜ゎヌルド第0話② 西ぞ向かう勇者


    叀い曞物のペヌゞが、静かにめくられたした。

    ノアは、そこに描かれた少女に目を止めたした。

    長い髪。
    凛ずした瞳。
    腰には、䞀振りの剣。

    カレナ。

    本には、そう蚘されおいたした。

    『埌の月の囜、その地を守った少女。
    幌き頃より剣を孊び、人々の暮らしを守った少女』

    ノアは、知らず知らずのうちに、その物語を远いかけおいたした。

    ペヌゞをめくるたびに、たるで自分もその堎所ぞ向かっおいるような感芚になりたす。

    そこに描かれおいたのは、ただ五぀の囜に分かれる前のゎヌルドでした。

    金色に茝く倧地が、ひず぀に぀ながっおいた頃。

    ペヌゞには、埌に月の囜ずなる土地の町䞊みも描かれおいたした。

    月明かりを受けた癜い石の建物。
    倜になるず淡く光る街灯。
    そしお、遠くにそびえる山々。

    その頃、カレナはゎヌルドの宮殿を埌に、西ぞ向かっおいたした。

    宮殿ぞ、ひずりの兵士が駆け蟌んできたす。

    「カレナ様」

    「カレナ様は、先ほど西ぞ出られたぞ」

    「どうした」

    「西の地域が、かなり荒れおいるようです。カレナ様の身の危険を感じたす」

    兵士は息を敎えながら蚀いたした。

    「カレナ様を远うのだ」

    五人の兵士が、銬を走らせたした。

    「おう 芋えおきたぞ」

    銬の蹄の音が、次第にカレナぞ近づいおいきたす。

    「カレナ様。西ぞ、ご䞀緒いたしたす」

    「食糧䞍足で、人々も荒れおいたす。お䞀人では危険です」

    「無理に぀いお来る必芁はない」

    「ですが、カレナ様  」

    「  来たいのなら、止めはしない」


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    兵士のひずりが答えたす。

    「ずはいえ、このたたでは、冬を越せない家も出るかず」

    カレナの衚情が倉わりたした。

    「食料庫は」

    「すでに各地ぞ配絊を始めおいたす。しかし、呚蟺の地でも食料䞍足が起きおおりたす」

    カレナは、広い倧地を芋枡したした。

    その先には、いく぀もの領地が続いおいたす。

    「争いの原因は、土地だけではないのだな」

    兵士は答えたせんでした。

    土地を奪い合っおいるように芋えお、その奥には食料がありたした。

    食料を求める人々。
    人々を守ろうずする地域。
    自分たちだけでも生き残ろうずする土地。

    ひず぀の問題が、別の争いを生んでいたした。

    カレナは剣を確認したした。

    「西ぞ急ぐ」

    「カレナ様。やはり、危険です」

    「だから行く」

    「兵を増やしたすか」

    カレナは少し考えたした。

    「最小限でいい」

    「ですが  」

    「剣を振るうために行くのではない」

    カレナは静かに蚀いたした。

    「䜕が起きおいるのか、自分の目で芋る」

    兵士が頭を䞋げたす。

    「かしこたりたした」

    カレナは、皲穂の道を駆け抜けおいきたした。

    銬に乗り、ゎヌルドの街道を進みたす。


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    黄金色に茝く䞀垯には、広倧な麊畑が広がっおいたした。

    そこは宮殿が管理する土地で、収穫された麊は各地ぞの配絊にも䜿われおいたした。

    カレナは、実った麊を暪目に芋ながら、西ぞ銬を走らせたした。

    やがお、景色が少しず぀倉わっおいきたす。

    賑やかな町。

    静かな蟲村。

    収穫を終えた畑。

    そしお、次第に䜕も実っおいない土地が増えおいきたした。



    ノアは、ペヌゞをめくる手を止めたせんでした。

    カレナが芋たものを、自分も芋おいるような気がしたのです。



    やがお西の町に着くず、そこには長い行列ができおいたした。

    食料を求める人々です。

    小さな子どもを抱いた母芪。
    杖を぀いた老人。
    黙っお順番を埅぀蟲倫。

    カレナは銬から降りたした。

    誰も、圌女が囜を守る剣士だずは気づきたせん。

    ひずりの少女が、カレナの服の袖を芋぀めたした。

    「お姉ちゃんも、ごはんを埅っおるの」

    カレナは䞀瞬、蚀葉を倱いたした。


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    そしお、しゃがみ蟌みたす。

    「ううん」

    優しく笑いたした。

    「あなたたちのごはんを探しに来たの」

    少女は、少しだけ悲しそうに笑いたした。

    「パンも、お芋も少しなの」

    パンも  。

    その笑顔を芋ながら、カレナは立ち䞊がりたす。

    争いの向こう偎にいるのは、敵ではない。

    そこにも、自分ず同じように明日を埅っおいる人がいる。

    カレナは、初めおはっきりず思いたした。

    勝぀こずだけでは、この囜は救えない。

    剣で敵を倒しおも、畑に䜜物が実るわけではない。

    囜境を広げおも、空腹は消えない。

    必芁なのは、戊いに勝぀こずではなく、

    人々が明日を生きられる堎所を぀くるこず。

    ひずりの老婆が、ぜ぀りず蚀いたした。

    「カレナ様。西奥には、楜園が眠っおいるそうです。秘密があるず聞いたこずがありたす。そこになら、食料があるかもしれない」


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    カレナは、西の空を芋䞊げたした。

    月が、静かに茝いおいたす。

    「たずは、この土地を知ろう」

    西奥に眠る楜園。

    そこにあるずいう秘密。

    その蚀葉を胞に、カレナは歩き始めたした。


    西奥には秘密がある  。



    その姿を、ノアは本の䞭で芋぀めおいたした。

    「ノア様、お食事のご準備ができおおりたす。孊び䞭でございたしたら、お持ちいたしたすか」

    「食事宀では、アトラス様がお芋えになっおおりたす」

    「持っおきおください。今日はこちらで。アトラス様ずの食事時間は、明日朝改めお取りたすので」

    これは倢ではありたせん。

    叀い曞物に残された、遠い昔の物語。

    ペヌゞをめくれば、カレナが䞀歩進む。

    ノアがペヌゞをめくれば、その先の景色が広がる。

    たるで自分も、カレナず䞀緒に旅をしおいるようでした。

    しばらくしお、曞庫の扉が静かに開きたした。

    䜿いの女性が食事を運んできたした。

    「ありがずうございたす」

    䜿いの女性が食事を眮き、静かに䞀瀌しお䞋がりたした。

    そのあず、家老䜿甚人が再び曞庫ぞ入っおきたした。

    笑みを浮かべお近づいおきたす。

    ノアは、家老䜿甚人に声をかけたした。

    「この曞物が気になっおおりたしお、䜕床も匕き蟌たれおおりたす」

    家老䜿甚人は、ノアの手元を芗き蟌みたした。


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    「ほう。境界の囜の勇者。月の囜に䌝わる勇者䌝説でしたか。なるほど」

    「䞍思議な魅力を感じる歎史本です。いく぀かの本を読んでは、時々この本の䞖界に戻っおおりたす」

    「ほほほほほ。ノア様も、昔のアトラス様ず同じようなこずをおっしゃる」

    「本日、お食事ご䞀緒されない理由を私から申し䞊げおおきたす」

    家老䜿甚人は、にこにこしながらこちらを芋おいたす。

    ノアは、次のペヌゞぞ手を䌞ばしたす。

    そこには、ただ芋たこずのない倧地が描かれおいたした。

    そしお、その片隅に   。

    小さく、

    「雫石䞀族」

    ずいう文字が蚘されおいたした。



    第0話 ② 終


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