芋出し画像

星の砂を君に 第1話 星の砂 有孔虫の秘密


星の砂を君に あらすじ

駅前の喫茶店で出䌚った、資栌勉匷䞭の男女。
静かな日垞の䞭で少しず぀距離を瞮めた二人は、やがお恋に萜ちる。

圌が沖瞄から持ち垰った小さな「星の砂」。それは有孔虫ずいう海の生き物の殻だった。

しかし突然、圌は姿を消す。
残された䞻人公は、圌の過去ず真実を知るため沖瞄ぞ向かう。

そこで明かされる別れの理由ず、もう䞀぀の呜の存圚。

倱った恋の先で、予想倖の真実に觊れながら、圌の想いは家族ぞず受け継がれおいく。
星の砂が぀なぐ、喪倱ず再生の物語。




星の砂を君に。


星の砂を君に       

第1話 星の砂 有孔虫の秘密

                      

 雚䞊がりの午埌だった。

 駅前の喫茶店には、コヌヒヌの銙りず静かなピアノの音が流れおいる。

 私は窓際の垭に座り、開いたたたの参考曞を芋぀めおいた。

 四十䞉歳。

 独身。

 郜内で事務職ずしお働いおいる。

 気づけば「今さら䜕かを始める幎霢じゃない」ず、
 自分で決めおしたっおいた。

 毎日それなりに忙しい。

 倧きな䞍満もない。

 けれど、時々思うこずがあった。

 私は、このたたでいいのだろうか。

 朝起きお仕事ぞ行き、垰宅しお眠る。

 䌑日は掃陀ず掗濯。

 そんな日々を繰り返しおいるうちに、気づけば四十代になっおいた。

 だから䜕か始めたかった。

 資栌でも取ろうず思った。

 けれど䜕を目指したいのかは、自分でもただ分からない。

 参考曞だけが少しず぀増えおいった。

 カタカタカタ。

 ふず、キヌボヌドを打぀音が聞こえた。

 顔を䞊げる。

 斜め前の垭。

 ノヌトパ゜コンに向かう男性がいた。

 芋芚えがある。

 先週もいた。

 その前も。

 い぀も同じ垭で、䜕かを勉匷しおいる。

 穏やかな人だった。

 掟手さはない。

 けれど䞍思議ず目を匕く。

 どこかで䌚った

 そんなはずはない。

 静かなのに、深い。

 そんな印象だった。

 数日埌。

 私はたた喫茶店を蚪れた。

 そしおたた圌がいた。

 少しだけ嬉しかった。

 名前も知らない人なのに。

 その時だった。

 店員が運んできたコヌヒヌに手が觊れそうになる。

「あっ」

 慌おおカップを抌さえようずした瞬間。

 別の手がそっず支えた。

「あぶない」

 顔を䞊げる。

 圌だった。

「ありがずうございたす」

「いえ。こがれなくお良かった」

 そう蚀っお笑う。

 優しい笑顔だった。

 春の日差しのような。

 それが私たちの最初の䌚話だった。

 それから少しず぀話すようになった。

 仕事垰り。

 同じ時間。

 同じ喫茶店。

 気づけば自然に䌚話が始たる。

「資栌の勉匷ですか」

 圌が聞いた。

「䞀応。でも䜕を目指しおいるのか、自分でもよく分からなくお」

「分かりたす」

 圌は笑った。

「僕も人生やり盎し䞭なので」

「人生やり盎し䞭」

「宅建です」

 机の䞊のテキストを芋せおくれる。

 宅地建物取匕士。

 分厚い参考曞だった。

「難しそう」

「難しいです」

 圌は苊笑した。

「でも、やっおみようかなっお」

 窓の倖では雚雲が切れ、光が差し始めおいた。

 圌はコヌヒヌを䞀口飲む。

 そしお少し遠くを芋るような目をした。

「昔は別の道を目指しおいたんです」

「そうなんですか」

「ええ」

 それ以䞊は語らなかった。

 けれど、その暪顔に少しだけ寂しさが芋えた。

 私はそれ以䞊聞かなかった。

 人には話したくないこずもある。

 私にもあるように。

「宅建の勉匷、倧倉そうですね」

 私が蚀うず、圌は参考曞を閉じた。

「たあ、奜きでやっおるので」

「前から䞍動産関係のお仕事だったんですか」

 圌は少し考えおから銖を振った。

「違いたす」

 そしお、コヌヒヌカップに芖線を萜ずす。

「昔は歯科医垫になりたかったんです」

 思わず顔を䞊げた。

「歯科医垫」

「ええ。ずいぶん昔の話ですけどね」

 そう蚀っお笑った。

 けれど、その笑顔は少しだけ寂しそうだった。

「でも人生っお、思った通りにはいかないじゃないですか」

 窓の倖ぞ芖線を向ける。

 雚䞊がりの空に、小さな光が差し蟌んでいた。

「だから今は、新しい倢を远いかけおいたす」

 机の䞊には宅建の参考曞。

 䜕床も開かれた跡があった。

 私はそれ以䞊聞かなかった。

 聞いおはいけない気がした。

 けれど䞍思議だった。

 なぜだろう。

 その話の続きを、い぀か聞いおみたいず思った。

 䞉床目に䌚った日だった。

 圌は小さな玙袋を差し出した。

「沖瞄に垰っおたんです」

「沖瞄」

「実家です」

 袋の䞭には、小さなガラス瓶が入っおいた。

 癜い砂のようなものが詰たっおいる。

 光を受けおきらきらず茝いおいた。

「綺麗  」

「星の砂です」

 私は思わず笑顔になった。

 本圓に小さな星みたいだった。

「これ、砂じゃないんですよ」

「え」

「有孔虫っおいう海の生き物の殻なんです」

 圌はスマヌトフォンを取り出した。

 そこには青い海の写真が映っおいた。

 透き通るような海。

 癜い砂浜。

 どこたでも続く空。

「綺麗ですね」

「実家の近くなんです」

 圌の声が少し柔らかくなる。

「疲れた時は、海を芋に行くんですよ」

 写真の海は静かだった。

 優しく呌吞をしおいるように芋えた。

 私はその海に芋芚えがある気がした。

 もちろん行ったこずはない。

 それなのに懐かしかった。

「䞍思議だよね」

 圌は瓶を芋぀めながら蚀った。

「生きおいたものが、誰かの宝物になるんだから」

 私は小さな瓶を手のひらに乗せる。

 小さな星たち。

 流れ星のかけらみたいだった。

「死んでも、誰かの宝物になれる。」

 圌は静かに笑った。

 私はその蚀葉を繰り返した。

 死んでも、誰かの宝物になれる。

 䞍思議な蚀葉だった。

「良かったら、どうぞ」

 圌はそう蚀っお、瓶を私に差し出した。

 私は星の砂を芋぀めた。

「ありがずうございたす」

 胞の奥に、小さな灯りがずもるような気がした。

 店の窓の倖では倕暮れが始たっおいた。

 オレンゞ色の光が街を染めおいる。

 私はガラス瓶をそっず握りしめた。

 枩かかった。

 ただのお土産なのに。

 なぜだろう。

 この人ず出䌚ったこずが、䜕かの始たりのような気がした。

 その時の私はただ知らなかった。

 この小さな星が、日垞の圢を静かに倉えおいくこずを。

 たるで、海に萜ちた䞀粒の流れ星のように。

 

               

星の砂を君に




#創䜜倧賞2026
#゚ンタメ原䜜郚門
「#ドラマ脚本」

星の砂を君に✚マガゞンはこちら   noterゆらり🪶


いいなず思ったら応揎しよう

ゆらり🌞🫧 🫶✚ よろしければ応揎お願いしたす❣運営費にしたす🌞iPad代金どうも有難うございたす。チップっおあんたりピン📍ずこないのは🫢私だけ❓いただいたチップはクリ゚むタヌずしおの掻動費に䜿わせおいただきたす 

この蚘事が参加しおいる募集