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『勢いと根性で20代にして大型飲食店の店長に。』第11章:過去最高売上の景色、そして不動産店長へ(最終回)

    どーもー。飲食店や!です。

    赤裸々に、そして半ば恥を晒すようにお届けしてきた連載『勢いと根性で20代にして大型飲食店の店長に。』も、いよいよ今回が最終回となります。

    「自分が一番仕事ができる」「自分がこの現場を回しているんだ」と完全に勘違いし、過去の実績という薄っぺらい鎧を着込んで赴任した20代の若造。それが私でした。 今振り返ってみても、本当に穴があったら入りたいほどの失敗ばかりです。

    「お宮参り」と「お墓参り」を聞き間違えて、お祝いの席に精進料理を並べてしまい、あわや店全体を巻き込む大パニックを引き起こした地獄の日。 自分の未熟な感情をコントロールできず、自分勝手な理由でベテランパートさんにクビを宣告し、その夜、激怒した旦那さんの前で冷たい床に額を擦り付けて土下座をした深夜。 「ロスが出るから」と守りに入り諦めきっていた職人たちと真っ向からぶつかり合い、「責任は全部俺が取る!」と腹を括って、空っぽだった水槽を活きのいい魚で満たした決意の朝。 そして、毎日ピークタイムに勃発する「調理場とホール」の永遠の対立の中で、汗だくになりながら皿を洗い、理不尽なクレームの盾となり、必死に両者の思いを「翻訳」し続けた泥臭い日々。

    数え切れないほどの失敗と修羅場をくぐり抜け、多くの方に多大なご迷惑をかけながらも、私は、そして私たちは、少しずつ、しかし確実に「一つの強固なチーム」へと変貌していきました。

    あれほど反発し合っていたホールと調理場が、いつしか互いの苦労を思いやるようになっていきました。 ホールが、調理場のパンク寸前の状況を察して、オーダーの通し方をお客様にご提案して工夫する。調理場は、ホールのスタッフがお客様に怒られないようにと、1秒でも早く、そして1ミリでも美しく料理を出そうと火の前で奮闘する。 ホールが料理の魅力を自信を持ってお伝えし、調理場が「さっきのお客様、すごく喜んでたよ」というホールの報告を聞いて、さらに気合いを入れて次の料理に向かう。

    この「相手をリスペクトする」という最高の循環が店全体に生まれた結果、私の店舗は、在任期間中に【過去最高年間売上】を叩き出すという偉業を成し遂げました。

    それは決して、私が何でも一人でこなす「スーパーマン」だったからではありません。むしろその逆です。 私が自分の弱さと未熟さを認め、誰よりも泥をすする覚悟を決めたことで、調理場もホールも、パートさんもアルバイトも、全員がそれぞれの持ち場で自分たちの仕事に「誇り」を持って踏ん張ってくれた。その全員の力の結晶が、過去最高売上という数字になって表れたのです。 あの時、店舗の全員で喜び合い、分かち合ったあの頂上の景色は、私の人生において決して色褪せることのない、一生の勲章です。

    飲食から「不動産」の店長へ

    その後、私は縁あって、全くの異業種である「不動産業界」へと飛び込む決断をしました。そして現在、私は再び「店長」というマネジメントの立場を務めさせていただいています。

    扱う商品は、お腹を満たし笑顔を作る「料理」から、人々の人生の基盤となる「住まい」へと大きく変わりました。単価も違えば、商談の期間も違います。 しかし、「お客様の人生の大切な節目に寄り添うこと」「年齢も価値観も多様なスタッフをまとめ、一つのチームとして成果を上げること」、そして「シビアに原価や利益といった数字を管理すること」というビジネスにおける絶対的な本質は、驚くほど共通していました。

    不動産の現場にも、飲食店と同じように対立の火種はあります。 「営業と事務」「現場と本部」「売る人と、裏で手続きを支える人」。立場が違えば見ている景色が違い、自分に見えない相手の仕事は、どうしても簡単そうに見えてしまうものです。 しかし、あの飲食時代に泥水をすすり、土下座をし、皿を洗いながら学んだ「相手の持ち場の苦労を想像し、リスペクトをきちんと言葉にして伝える」という泥臭い経験は、今の不動産の仕事にも、100%の純度で活きています。人の心を動かす原理原則は、業界が変わっても何一つ変わらなかったのです。

    最後に:今、マネジメントに悩むあなたへ

    現在の不動産店長としての立場から振り返ってみても、私の店長人生は常に「人」と「数字」の狭間で引き裂かれそうになる、泥臭い闘いの連続でした。

    リーダーという立場になれば、時に嫌われ役になってでも、スタッフに耳の痛いことを伝えなければいけない瞬間が必ず来ます。自分の保身を捨てて全責任を背負い、周囲から猛反対されても、凝り固まった常識をひっくり返さなければいけない瞬間もあります。上と下からの板挟みになって、胃がちぎれそうになり、孤独に押しつぶされそうになる夜も数え切れないほどあるでしょう。

    しかし、一番大切なのは、小手先のテクニックではありません。 リーダーであるあなた自身が、「絶対に逃げずに、すべての責任を取る覚悟」と、「誰よりも現場の泥をすするマグマのような熱意」を持っているかどうか。これに尽きます。 ビジネス書に書いてあるような言葉巧みなだけのマネジメントや、部下をコントロールしようとする小賢しい手法は、修羅場になれば必ずどこかで破綻します。最後に人を動かすのは、泥まみれになりながらも前を向く、その「本気」だけなのです。

    今、現場の最前線で人間関係の摩擦や、積み上がらない数字に悩み、苦しんでいるその経験は、決して無駄にはなりません。その苦しみから逃げずに向き合った時間こそが、必ず、未来を支える「最大の武器」になります。

    私のこの数々の失敗と挑戦、そして泥臭い這い上がりの記録が、今同じように現場で悩むあなたの、「明日への一歩」を踏み出すための小さなヒントや勇気になれば、これ以上嬉しいことはありません。

    最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。 もしこの記事が少しでもお役に立った、共感できたという方は、ぜひ「スキ」やサポートで応援していただけると非常に励みになります!

    これからも、綺麗事ではないリアルな現場の裏話を発信していきます。 どーも、飲食店や!でした。

     
     
    不動産会社店長。飲食店店長から不動産会社へ転職。20年以上の不動産営業を経験。取引実績数千件、買取実績数百件。強者揃い、曲者揃いの不動産業界。大きなトラブルもなく安定した業績、安定した精神状態、安定した生活をおくれているのもいつまで続くのか。一寸先は闇の業界で頑張っております。

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