
エッセイ|コンプレックスのきっかけ
小学校低学年の頃の話です。
長い休みがあると、よく従兄弟の家に遊びに行っていました。
毎年恒例でした。
私は祖母が好きでした。今でも好きです。
私が中学生の頃、亡くなってしまったけれど。
従兄弟の家には、その大好きな祖母がいました。
だから会えるのは嬉しかったです。
祖母に遊んでもらうのは楽しかった。
祖母とは、楽しかった記憶しか浮かんできません。
でも、一つだけ苦手なことがありました。
従兄弟とその友人です。
従兄弟やその友人は、私のことを「にくみ」と呼んでいました。
私が太っていたから。
からかわれていました。
私はそう呼ばれるのがとても嫌で、辛くて。
…悲しくて、傷ついていました。
「私はブスなんだ」
そう思い始めた、きっかけです。
一番古い記憶。
従兄弟の父もまた、私の着ている服をみて
「似合わない」
と言いました。
白いコート、フードの部分がモコモコしていて可愛かった。
私の好きな服。
お気に入りだった服。
けれど、似合わないと言われてから着なくなりました。
恥ずかしくなりました。
「私には、可愛い服は似合わないんだ」その日から着れなくなりました。
そうして、数年が経ちカビが生えて処分しました。
従兄弟やその友人、従兄弟の父は、きっともう
覚えてなどいません。
忘れているでしょう。
でも、私は覚えています。
三十年ほど経った、今でも。
ふとした瞬間に思いだします。
私の心にこびりついて、頑固な汚れのように
消えていません。
私は、自分の容姿に自信がありません。
今思えば、あの時から。
「にくみ」
そう、呼ばれた時からでした。
あれがきっかけ。
あれが始まり。