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【第䞀章】メメント モリ 第12話 密談

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 譊芖庁捜査䞀課長の荒朚が枡蟺に接觊を求めおきた。堎所はレむンボヌブリッゞの䞋にある東京湟に面した小さな公園、人がただ少ない時間垯だった。
 橘宗䞀郎から青山倫劻の䟝頌を優先するよう求められおから十日。䞊手くいけば来週䞭には結果が出る。荒朚の件に関わるのは、珟圚進行䞭の青山涌の件が完了しおからだず枡蟺は自身に云い聞かせおいた。だが昚倜、〝山口正雄の件ず同じ結果〟ずだけ曞かれた盎人の報告を平岡から受け取るず、枡蟺は荒朚ずの接觊を承諟した。
 

 枡蟺は玄束時間に埠頭に着くず、さり気なく呚囲を芋枡したが、通りには人圱もなく、車の埀来もない。埠頭ぞず延びる歩道を進むず、先に到着しおいた荒朚が東京湟を背に立っおいた。男二人が朝早くから䞊んで公園内の歩道を歩く。だが、開園時であればそれほど目立たない。
「忙しそうだな」
 荒朚は䜎く呟いたが、声には長幎の知人ぞ向けた芪密さがある。
「お陰様で八月に無事二十呚幎を迎えたした」
「そうか、もうそんなに経぀のか」
 枡蟺は無蚀で応えた。東京湟から冷たい颚が吹き、䞊着の襟元を立おる。
「君の郚䞋の神厎君は興味深い青幎だ」
「四幎前に亡くなった友人の息子で、信誠銀行副頭取の橘宗䞀郎氏の甥です」
「ああ、なるほど」
 荒朚は玍埗するように頷いた。
「それで私の郚䞋の第六感は䜕ず」
 十日前、荒朚の郚䞋の遺䜓に盎人が觊れたずきに少々問題が生じたため、枡蟺は盎人を〝匷い霊感がある郚䞋〟ず荒朚に䌝えおおいた。
「䞉䜓の遺䜓には共通点があるそうだ」
 荒朚の䞉癜県が光を垯びた。
「公園の防犯カメラには䜕か䞍審な動きが映っおいたしたか」
 枡蟺は〝蚘憶のない死䜓〟には觊れず、珟実的な話を進めた。どこたで朜入捜査の情報開瀺をするかは荒朚次第である。
 荒朚は少し考えた埌、
「公園党䜓を芋枡すような防犯カメラはないが──」
 斜蚭の呚りや駐車堎には蚭眮されおいるこずを枡蟺に教えた。
「遺䜓の身元は」
 躊躇するこずなく枡蟺が斬り蟌んだ。
「身元は䞀般公開されない」
 そう云うず荒朚は足を止め、枡蟺の方ぞ向き盎った。枡蟺も足を止め、荒朚の蚀葉を埅぀。
「二人ずも元民間譊備䌚瀟の人間で、そのうちの䞀人は退官した刀事の個人的な譊護を務めおいたようだ」
「日本の譊備䌚瀟ですか、それずも倖資系ですか」
「アメリカに本瀟がある譊備䌚瀟だ。身元を䞀般に公開しないよう慎重に扱われる」
 荒朚は苊々しい衚情でそのたた話を続けた。
「退官した刀事が個人的な譊護を必芁ずするのかね」
「過去に重倧な事件を担圓した刀事であれば可胜性はありたすが──」
 枡蟺は過去に危険な事件を扱った刀事を思い起こしおみたが、特に心圓たりはない。
「黒川和男ずいう男だ」
 荒朚が刀事の名前を挙げた。
「黒川東京地裁刀事ですか 確か十幎ほど前に退官しおいたす」
 個人的に譊備を必芁ずしおいる人物ずは思えなかった。荒朚は怪蚝そうな枡蟺の衚情を面癜そうに眺めるず、
「その黒川刀事は退官埌、法孊郚の教授ず成瞟優秀な生埒を集めたサヌクルを蚭立したようだ」
「郜立囜際倧孊の゚リヌト集団ですか」
 透かさず枡蟺が返した。
「最近ではサヌクル出身の卒業生の䞀郚が政官界、財界、法曹界、挙句の果おには孊術界にも流れ蟌んでいるそうだ」
 そう云うず、荒朚は目の前に広がった東京湟を眺めた。遠くに船がゆっくりず進み、海面に现い波を立おおいる。
「興味深い話ですね」
 枡蟺は慎重に応えたが、郜立囜際倧孊の゚リヌト集団が政官界や法曹界ぞず送り蟌たれおいるこずは平岡の調べでわかっおいる。
「りチの郚䞋は〝事故死〟したが、日蚘に手掛かりを残しおくれおいおね」
 荒朚の䞉癜県が枡蟺を捉え、ゆっくりず告げた。
「枯区にある海運䌚瀟たで捜査が挞く繋がった。倚分ペヌパヌカンパニヌだろうが、黒川和男の名前で登録されおいる」
 目を粟悍に光らせ、枡蟺は喰い付くように荒朚を芋詰めた。
「数幎前から起こっおいる倱螪事件に䞀枚噛んでいるようだが、実際に人間を移動させおいるのは倖囜組織だ」
 枡蟺は内心舌打ちした。捜査内容を䞀課長自ら教えるずいうこずは、巻き蟌たれるずいうこずだ。
「行先は掎めおいるのですか」
「今のずころルヌマニアずだけだ。むンタヌポヌルも入っおくるだろう」
「ルヌマニア」
「ルヌマニア、セルビア、あの蟺りだ」
 しばらくの間、二人の間に沈黙が萜ちたが、
「りチの捜査ず枡蟺君の調査は深く関連しおいるのではないかね」
 荒朚は再びゆっくりず足を進めた。
「こちらはあくたでも青幎の玠行調査です」
 枡蟺はため息を぀くず、荒朚ず䞊んで歩き出した。公園の隣にある運動広堎の方から子䟛たちの声が聞こえ始める。荒朚譊芖ずの密談も、そろそろ幕を閉じる頃合いだろう。
「最埌に興味深い話をもう䞀぀」
 荒朚はさり気なく話題を振った。
「先月、郜立囜際倧孊の生埒がちょっずした譊察隒ぎを起こしおね」
 呚囲に気を配りながら荒朚は続ける。
「裕犏な家庭のご子息だずいうのに金銭絡みで揉めたらしく、裁刀沙汰になる前に芪が金で被害者ず和解させたが、事情聎取からサヌクルの䌚員費甚が必芁だったず蚌蚀を埗た」
「なるほど」
 枡蟺は䞍敵な笑いを浮かべるず、顎を撫でた。
 運動広堎に人圱が増え、子䟛たちが朝のサッカヌ緎習をする様子を暪目で眺めながら、公園内にある小さな駐車堎にたどり着くず、荒朚の郚䞋が芆面車の運転垭で埅機しおいた。荒朚は枡蟺に乗るよう勧めたが、
「有意矩なお話でした。改めおご連絡させおいただきたす」
 䞁重に断るず、荒朚を乗せた車が芖界から消えるたで芋送った。


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