
節分の夜、わたしの中の鬼がほどけた
節分の夜って、
なぜか少し、胸の奥がざわつく。
豆のはじける音が、
外より先に、
わたしの内側で響いてしまう夜。
追い出されるはずの鬼が、
いつのまにか、
心の奥に座っている気がして。
「ちゃんとしなさい」
「欲しがりすぎ」
「感じすぎ」
そんな言葉で囲ってきた場所が、
今夜だけ、ゆるんでしまう。
戸口まで出てきた気配に、
手を伸ばす勇気はないのに、
追い返すことも、できへんかった。
豆を投げる手は、
やさしいふりをしてるけど、
ほんまは少し、震えてた。
だってその影は、
わたしを脅かす存在やなくて、
壊れんように、前に立ってきたものやったから。
強すぎる感情も、
濡れてしまう身体も、
「これはあかん」と閉じ込めた衝動も。
全部、守り方を間違えただけで、
敵やなかった。
今夜は、追い出す日やのに。
わたしは境目に立ったまま、
ただ息をすることしかできへん。
泣いてしまうかもしれへん。
身体が先に熱を持つかもしれへん。
それでも、
止める理由は、もう見当たらんかった。
立春の前の、たった一晩。
世界が切り替わる、その隙間で。
鬼は外、とは言わずに、
胸の奥でそっと灯りをつける。
——ここまで、よう守ってくれたな。
声にしたのは、それだけ。
影は、返事をせんまま、
ほどけるみたいに、静かになった。
追い出されたんやない。
役目を終えただけ。
春はまだ遠いけど、
その一歩手前で、
わたしはちゃんと立ってた。
──ほしのりりす🌙
(立春につづく)
読んでくれて、ありがとうございます。
よるのショートエッセイシリーズは、
ことばだけで、濡れる夜がある。
あなたの「感じるところ」に、そっとふれていく連作です。
このnoteは、
【note大学占い部・2月課題企画】🌸心を満たす愛と調和のメッセージ💞
に、参加しています。
2月のテーマ「内なる愛(セルフラブ)」について、わたし自身の内側と向き合った夜の物語です。