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リリスにふれそうな夜

    ふれたくない。
    でも、本当は。
    ずっと、そこにいた。

     

    恋をして、
    からだの奥が熱を帯びて、
    それだけで終わると思ってた。

    でも今夜──
    少しだけ深く、
    わたしの中で“なにか”が目を覚ました。

     

    その人といるとき、
    優しいだけじゃ満たされない自分に、
    ふと気づいてしまうことがある。

    「愛されたい」よりも、
    「支配したい」と思ってしまう夜。

    「触れてほしい」よりも、
    「壊してほしい」と願ってしまう瞬間。

    そんな自分がいることを、
    わたしは長い間、
    見ないふりをしていた。

     

    でもリリスは、消えない。
    消せない。
    それも“わたし”。

    きれいな想いだけじゃ、
    ぜんぶ満たされないってこと、
    身体のどこかで知ってた。

     

    リリスは、
    愛の裏側で、
    言葉にされなかった欲望を抱きしめている。

    それは、恥じゃない。
    罪でもない。
    ただ、“隠していただけ”だった。

     

    あなたの前では見せない顔。
    言えない願い。
    気づかれたくないふるえ。

    でも──
    それがあったから、
    わたしはわたしでいられた。

     

    ほんとうに求めるものは、
    いつも“やさしさ”とは限らない。
    でもそれを抱えて生きることが、
    ほんとうの意味で「自分を愛する」ことかもしれない。

     

    今夜、リリスがふっと、
    わたしの耳元で囁いた。

    「それも、あなたでいいのよ」って。

     

    ――ほしのりりす



    ことばだけで、濡れる夜がある。
    あなたの“感じるところ”に、そっとふれていく連作です。
    ▶︎よるのショートエッセイ

    わたしのことばが気になったら、
    読んでみてください。
    ▶︎【はじめまして】星夜をかなでる、ほしのりりすです

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