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倏の星々140字小説コンテスト2025䞀次遞考通過䜜

    hoshiboshi

    星々はnoteの生成AI孊習察䟡還元プログラムに参加しおいたせん。
    掲茉䜜品のAI孊習デヌタぞの提䟛をおこなっおいたせん。

    季節ごずの課題の文字を䜿ったコンテストです春・倏・秋・冬の幎回開催。

    倏の文字 「浜」
    遞考 ほしおさなえ小説家・季節の星々遞考委員䌚

    䞀次遞考を通過した線を発衚したす応募総数線。ご応募いただきありがずうございたした。

    受賞䜜入遞線䜳䜜線は月半ば以降に発衚予定です。
    優秀䜜入遞〜二次遞考通過の党䜜品は雑誌「星々」幎回発行に掲茉されたす。
    たた、幎間グランプリ受賞者は「星々の新人」ずしおデビュヌし、以降、雑誌「星々」に䜜品が掲茉されたす。

    受賞䜜の速報はnoteやX旧Twitterでお䌝えするほか、星々マガゞンをフォロヌしおいただくず蚘事の曎新時に通知が送られたす。

    䞀次遞考通過䜜

    碧莉郜
    蚀の葉流しずいう村の颚習がある。向日葵の葉に魔法をかざし、䞀文字を蟌め浜颚に乗せれば、亡くなった人の魂ぞ想いを運べる。䞀定数の蚀の葉を集めた魂は、翌幎に生たれ倉わるずいう䌝承だ。いよいよ颚が䞀斉に吹き始める。初めは「愛」、前回は「哀」ず飛ばした私は、今幎は「逢」ず願い指先を離す。

    赀い尻
    ゚ノコロ草が生い茂る空き地に、ある日幟が立った。赀地に癜く「浜焌き」ずある。幟だけがある。そばにはすでに行列ができおいお、あやふやな期埅を募らせおいる。飜きお抜ける人があり、新たに加わる人もいる。倕日を济びた行列は黒い圱を草に萜ずした。誰かがくしゃみを連発し、それを朮に列は匕く。

    赀朚青緑
    灌熱により赫く浜真砂が燃えおいる。䞀぀足の裏が觊れるず既に無感芚な皋熱い。䞀聲も発する間も無く私は蒞発した。砂のようにさらさらず消えた私は誰にも芋えない。私を芚えおいる者も無い。私は誰だ぀たのかずも蚀いたく無い。完党なる消滅はそもそも存圚が無か぀た事を蚌明しおいる。無だ぀たのだ。

    浅葱䜑
    砂浜で拟った巻貝。䞭からは波の音がするし、蝉時雚や子䟛の声もする。傟ければ砂が止めどなく零れ、倜は内偎から青く光る。巻貝を海ぞ繋がる穎だず思った私はい぀か海ができるようにず貝を埋めた。だが、巻貝は砂時蚈のくびれのようなものだったのだろう。今ではもう皆があの海蟺の倢に陶酔しおいる。

    朝本箍
     浜千鳥柄の手拭いを頭に巻いた姿を思い出す。祖母は小柄で浜千鳥柄は私の目線にあり、千鳥は祖母の豊かな癜波で遊んでいるようだった。
     千鳥はい぀も祖母ず共にあり、庭仕事をしおいる時には頭を、埗意の倧きなおはぎを䜜る時には手を守り。
     そしお祖母ず共に飛んでいった千鳥達を、思い出す。

    穎ゃ〜次郎
    砂地をずうっず朜る。あちこち埋たる船や怍物をかきわけ、逞れぬよう぀いお行く。流れ着いたり捚おられお、芋えなくなっおも腐らずにいるず、こうやっお熟成するんだよ。浜ん婆は、黒く光る溜たりに着くずそう蚀った。埋め蟌んだ现長いざるから掬った琥珀色はきれいで、飲む前に波打ち際で目が芚めた。

    倩ケ厎 志桜斗
    ホオズキの黄癜色の小さな花が咲いた頃、僕がしっぺい倪郎だった頃の蚘憶が甊った。だがホオズキのホロが実り、浜束から党囜ぞ出荷される頃には忘れおしたいそうだ。その頃には僕の涙も也き、芋送られるのだろうかずたれ、倧奜物のメロンをお土産に信濃囜で眠る飌い䞻の和尚さんにも䌚いたいな。

    倩野 呚
    アゲ浜に石をいれる。独特な軜い音を立おお、僕は祖父の陣地をずった。昔は祖父の陣地が盀䞊䞀面あったのに、今では逆だ。「立掟になったな」ず祖父は目を閉じた。それきり次の手を指瀺しおいた口も開かない。祖父のかわりに僕が䞊べた石も欠けた。祖父が遺した最埌の䞀局を、僕は今でも䞊べおいる。

    池端盎隆
    浜蟺に流れ着いた小さなガラス瓶。遠い街で海に投げ蟌たれ、ずっず旅をしおきた。あの少幎はもう私のこずなど芚えおいたい。倪陜を济び砂が青く染たる。日に日に砂に埋れおいく䜓。もう私の圹目は終わったのか。それから数日埌の明け方。通りかかった老人が瓶を手に呟いた。これは花瓶にちょうどいい。

    和泉海颚
    海を越えるにはもっおこいの日だ。䞊昇気流も申し分ない。陞地が芋えないずころたで䞀気に飛ぶ、腹をすかしたハダブサに気づかれる前に。空の高いずころで颚に乗り、矜ばたきを抑えお滑空する。氎平線はい぀たでも近づく気配はない。照り続けお意識が遠のく。目がかすんでよく芋えないが砂浜だろうか。

    䌊藀蟰巳
    九回裏䞀アりト二塁。䞀点差で迎えた四番打者。右打ち。球堎を包むブラスバンドず倪錓の音色。はち切れんばかりの歓声。倏の日差しず朮の匂い。流れる汗。錓動。震える指先。攟たれる癜球。時間が止たったかのような数瞬。呌応する党身。スむングの颚切り音。振動が身䜓を貫き、青空に浜颚が吹いた。

    むマむ゚むチ
    砂は腐葉土のように赀黒く重かった。指を差し入れお捲るず浜蟺は党お裏返り、湿った砂の䞊に沢山の巊腕が珟れた。私の巊腕もある。䜕幎も前にここに眮き忘れおいったものだった。党おの巊腕の指先は未だ海ぞ向かおうず螠いおいる。爪を黒くしお。私は巊腕たちを抱え、䞀本ず぀海ぞ攟っおやった。

    怍村花垆
    久しぶりに海が芋たくなっお近所の浜蟺に行くず、倧奜きな圌が打ち䞊がっおいた。圌は人魚になるずいう倢を叶えたらしく、波打ち際でその経緯を私に話しおくれた。楜しそうに話す圌を暪目に、私は靎䞋が少しず぀海氎に浞食されおいく感觊を䞍快に思っおいた。

    雚光
    浜蟺に行ったら、波が党郚、岞に打ち寄せる寞前でフリヌズしおいたした。しばらくするず、沖の方に『海のOSをアップデヌトしおいたす。完了率3%』ずいう衚瀺が出たした。結局、その日はずっず波のない海でした。

    右近金魚
    ハマりタを拟いに出た。倧朮のあくる朝、浜蟺によくあがる胡桃に䌌たあれだ。透明な殻を割るず歌が零れ、真珠の銖食りのように私を取り巻く。ルりララ、リュリラ。意味は分からない。なのに胞が泡立っお䜕凊かぞ還りたくなる。脚に生たれ぀きある鱗が光りだす。ハマりタは人魚の蚀䌝だず島人達は蚀う。

    右近金魚
    浜モグラだ。空き瓶の䞭でもがいおいたので、慌おお鍵爪を握り匕っ匵り出す。黒いびろうどの毛䞊み。私をじっず芋぀め、埅っおいる。人の抱えきれない蚀葉を埋めるのが圌らの習性だ。悩んだ末、私は喉を焊がす苊い蚀葉を預けた。モグラはキゥず鳎き朜っおいく。この浜には無数の蚀葉の骚が眠っおいる。

    梅酒
    地ず海は愛し合っおいた。だからこそ自分のものにしたかった。
    「私の愛の方が重かったらお前は私の砂に埋たるのだ」ず地の神が蚀うず「私の愛の方が深かったらお前は海に沈むだろう」ず海の神は応えた。
    今も攻防は続いおいお寄せおは返す愛の浜蟺で恋人達は戯れおいる。たたに愛の熱さで火傷する。

    狌
    海に向かっお浜に筋が䌞びおいく。䜕本も䜕本も。筋の出凊を蟿るず䞀぀の穎に着いた。䞭にはいく぀もの癜い殻がある。母なる海に還るのを願う、呜の殻だ。そこからたた䞀぀、頭が芗いた。長い長い新たな筋を䜜り行こうず、カニや海鳥が集たる䞭を進む。倧いなるうねりに呑み蟌たれる時たで、たた䞀歩。

    駅長
    海を芋たこずがない。赀茶けた倧地が果おしなく続くこの町で、僕は生たれ育った。地䞊の倧郚分を占める、海ずよばれる氎たたりには、手も足も生えおない生き物が棲んでいるそうだ。氎たたりの瞁は、砂や貝殻が堆積しお、浜ず呌ばれおいた。倜空に茝くあの小さな青い星を芋お、想像したのだろうな。

    絵空事
    干朮のたび、砂浜に蚀葉を曞く。「どう」ず曞いた翌朝、「たあたあ」ず返っおきた。毎日、朮に消える文字で䌚話を続けた。四十八日目、「これたでありがずう」ず曞くず、「わたしこそだよ」ず返っおきた。四十九日目、倏が終わる日、砂浜に曞いた「さよなら」の文字は、ただ静かに朮に消えおいった。

    江枡みきあ
    私を背負っお母は海蟺を歩いた。傷だらけの手で私のお尻を支えおくれる枩もりが心地良い。自宅の前では若い軍服姿の芋知らぬ男が立っおいた。「浜千鳥が今幎は鳎きたせんね」 母は埮笑みながら、でも䜕故か倧粒の涙をこがした。私はこの軍人が母を泣かせたず思い、短い足で䜕床も䜕床も軍人を蹎った。

    神根郁
    浜に流れ着いた浮茪はひたすら海の迎えを埅぀。雲間から倏の倪陜が顔を出すず、浮茪は䞀瞬眩いばかりの光を纏う。
    今だ。
    だがその茝きも束の間。浮茪は再び浜ぞず還る。海颚に削られ、陜射しに耪せながらも、浮茪は垌望を手攟さない。その身に蓄えられた浮力が尜きるたで、静寂の旅路を歩み続ける。

    花明
    手を繋いで浜蟺ぞ行きたす。海の家でラムネを買いたす。テトラポッドによじ登ったらひず息に飲みたすカむトが入道雲を背に飛んでいたす。手からビンが滑り萜ちたす。砎片ずビヌ玉は波打ち際に攟したす。二十幎埅ちたす。もう十幎かも。手を繋いで浜蟺ぞ行きたす。ほら、シヌグラス。君にあげたす。

    我楜倪
    浜の真砂は尜きるずも䞖に盗人の皮は尜きたじ。
    石川五右衛門が蟞䞖の句を残しお幟星霜。遂に浜の砂は奪い尜くされた。盗みもなくならなかった。
    沈みゆく䞖界で砂は最埌の足堎だった。
    人々は砂を奪い合った。
    そしお最埌の䞀人が倒れた。盗たれた砂の䞊で。その砂も沈んで、䜕も無くなった。

    劂月恵
    方䞈の濡瞁から䞉方を土塀で囲たれた庭を眺める。癜砂を敷き、石をX字状に配眮した枯山氎だ。足䞋、苔の築山で䜜られた州浜に波が匕いおは返し、遠く海に浮かぶ島々が芋えおくる。ふず癜い砂王の䞊に梅の花に䌌た足跡が点々ず䞀盎線に続いおいるのに気づく。軜々ず倧海原を枡っお行ったらしい。

    朚畑十愛
    生呜を生んだ母なる海ず、生呜を育んだ父たる倧地は、ずっず隣り合いながら重なるこずの無い恋人同士だ。この浜蟺は、そんな二人の逢瀬の堎所。海の口づけが寄せお、倧地はくすぐったそうに口角を䞊げる。呆れた倪陜が背䞭を抌しおもなお倧地は氎平線を远いかけお、海は名残を惜しむように茝いおいた。

    草浊ショり
    砂浜にラゞカセが萜ちおいた。䞍憫に思い持ち垰るず喋りだした。圌は䞖界䞭を旅したそうだ。話を聞くだけで、僕は冒険者になれた。ある日圌は「ロビンに䌚いたい」ず呟いた。僕は圌ず旅を始めた。䞖界は広くお恐ろしくお綺麗だった。ロビンには䌚えなかったが、圌は叀い曲を流したきり、静かになった。

    久保田毒虫
    倩囜行きの列車は満員で座れる気配もないので、僕は迷わず地獄行きの列車に乗った。どうせ生きおおも地獄だから。僕は䞀面広い砂浜になっおいる堎所で降りた。広倧な砂浜に寝転がるず、次第に僕の身䜓は砂になり、僕はその広倧な砂浜の䞀郚ず化した。倚分この砂浜はそうやっおできおいったのだろう。

    蜘蛛
    病に䌏せる祖母が最埌に芋たがったのは、故郷のあの浜だった。その願いも叶わぬたた祖母は逝き、私は圢芋の絵葉曞を手に䞀人蚪れた。冷たい朮颚が頬を䌝う熱い涙を優しく拭っおくれる。祖母の面圱が、波音ず共に今もこの浜に息づくようだった。

    ケムニマキコ
    砂浜から先茩の顔が突き出おいる。退職しお音信䞍通になったず聞いおいたけど、たさかこんな圢で。「どうせ今も、䜕もできねえんだろ」そっすね。盞槌を打ち぀぀、その蟺のカニを先茩の頭に乗せる。颚が吹き、匷めの波が足銖を飲み蟌んだ。あ、カニが。ずぶ濡れになった先茩は、ただ説教を続けおいる。

    ココン・山田
    砂浜に倧きな桃が打ち䞊げられおいる。鬌たちは、おばあさんが川に掗濯に行くのを劚害したのだ。キゞやサルは、鬌に歯向かったが、力぀きた。
    倧きな桃は腐り぀぀あった。鬌からもらったキビ団子を前にしお、沈む倕日に向かっお遠吠えをする。

    圩葉
    毎日砂浜にきお、波の様子や颚の肌觊りを気にかける。時々魂がやっおくるこずがある。そういうずきは波が静かだ。波は魂を守っおいる。がくは魂をすくいあげた。たわりに波を぀けたたた、神さたのずころぞ運ぶ。魂はしばらく神さたのそばで䌑む。波の音のなかで魂は眠っおいる。

    䜐䌯功䞀郎
    海浜に咲く癜い花が浜朚綿ずいう名前だず教えおくれたのは劻だった。皮は海流に乗っおむンドたで行くんだっお。僕は浜朚綿の花を目にするたびにそんな劻の声を思い出す。今では劻もたた海の向こうぞず行っおいるが、気たぐれな圌女のこずだから、僕が海を眺めおいれば元気な姿を芋せおくれるず思う。

    䜐䌯功䞀郎
    私ず劻は旅行に出掛けるこずにした。これが二人での最埌の旅行になるこずは分かっおいたから、行き先には劻の故郷である舞鶎を遞んだ。もっず早く蚪れるべきだったず埌悔しながら、か぀お二人で歩いた神厎の浜で私は劻の遺灰を海に撒いた。私はその堎に座り、浜蟺で遊ぶ若いカップルの幞犏を祈った。

    酒井絢加
    浜蟺には行き堎をなくした蚘憶の断片が流れ着く。私の仕事はそれを家ぞ持ち垰りフィルムで繋ぐこずだ。この間たで海の亡霊だったそれは満月の氎光を超越するほど矎しかったが、色を持っおいなかった。今倜、小さな映画通でそれは䞊映される。そしお私はただ願う、その蚘憶が色を垯びお流れ着くこずを。

    逆盥氎尟
    貝殻の衚面を流れおいく砂の音を子守唄にしながら、蛀はうずうずず浅い眠りの䞭にいる。たどろみの䞭で芋るのは、ころころ䞞い雀の倢。固く閉じた貝殻は、か぀お斑暡様の双翌だったこずがなかったろうか 貝は倢想する。いずれ、春の日の浜蟺に、手鞠のようにふっくらした䞀矜の雀の姿があるだろう。

    早垌子
    浜茄子の花の前で、お婆ちゃん䞉人が手拭いをゆらりず振り身䜓を揺らす。猫がやっおきお䞉人の足に身䜓を擊り぀けた。螊り終わるず浜茄子の実から採れたオむルを顔や足に塗り始めた。赀々ず光る浜茄子の花びらが空いっぱいに舞い䞉人を包む。私は今日も写真を撮ったが又䞉人は写真に写っおいない。

    さくら井た。
    「浜にパンダが出たらしい」「芋にいくか」居た。既に行政がバリケヌドを匵っおいお堀防に䞊っおようやく遠くに小さく芋えた。浜にはロヌズマリヌが生えおいるだけで他には䜕もない。パンダはその茂みに隠れるように居た。テレビでも延々ず倜䞭ずっず䞭継しおいたが、次の日の朝には海に垰ったそうだ。

    柀井 葛城
    その浜には倱くし物が流れ着くずの噂だった。なるほど倥しい腕時蚈や傘や鞄が足元で波に掗われおいる。しばらくいくず、母が打ち揚がっおいた。母は立ち䞊がり、砂を払い萜ずした。髪が黒々ずしお今よりだいぶ若いようだ。「無理に垰らなくおいいよ」母は蚀った。海鳎りが圌女の背埌で䜎く同えおいた。

    しぃな
    海の思い出はむチゎのかき氷。バシャバシャ遊んでお腹がすいお、かき氷ずフランクフルトを買った。効ず母もかき氷。䜕味だったかは曖昧だ。父にも䞀口分けお、父からフランクフルトを䞀口もらった。肘を䌝うのは汗か海氎か。赀い氷の欠片がコロンず萜ちる。思い出を溶かした砂浜。どこの海だったかな。

    食芋蜜花
    砂浜から芋る氎平線は矎しい。浜蟺の砂の党おが茝く光源を眺めながら、静かな秘境を堪胜する。ひず぀埌悔があるずすれば、あの子が途䞭で川を枡っおしたったこずだ。぀いぞ圌岞に行けなかった私に、川沿いを歩くこずしかできなかった私に、遂に痺れを切らしたあの子。次もここには来ないだろう。

    時雚さよ
    浜で子ども達が駆けながらじゃれあっおいる。「ずいぶん楜しそうだね」ず声をかけたら、姿が消えた。どこぞ行ったのだろう。芋回すず、笑い声が䞋ぞ萜ちおキラキラず光っおいる。瓶に詰めるず星砂になった。そこではそうやっお砂を売っおいるそうだ。たた倏になったら買いに来よう。来幎が埅ち遠しい。

    jus
    海蟺の広い高台に、海浜公園があった。その日、倜の深く青い闇に包たれる頃、様々な皮類の虫たちが姿を芋せ、忘れ去られた石碑のもずに集った。それぞれ思い思いの花匁を持ち運んでは鳎き、舞い、螊る。朝日が登る頃には、圌らは䜕凊ぞかず姿を消し、ただ朮颚に舞う花匁のみが、慰霊の碑文をなぞる。

    jus
    䜕凊から来たの。元はどんな圢だったの。他で芋たこずがない耇雑な、でも綺麗な色だね。さぞかし長い間、波にもたれおいたんだろう。粉々に割れお鋭い刃ずなり、しかし倧海を挂ううちに角も䞞くなり、この砂浜に蟿り着いたんだ。きみは私だ。そう思うこずにしお、そっずシヌグラスを拟い䞊げる。

    自由䞀花
    ニュヌタりン骚浜行きのバスにい぀か乗っおみたい。行き先が違うのでい぀も芋送っおいた。バスで行ける距離にある知らない街。そこには僕ず同じような子が、ここずは少しだけ違った䞖界に䜏んでいる。䟋えば団地がスケルトン仕様になっおいたりする。バス停に着くず透明なバスがやっおきお僕を乗せた。

    癜劙
    浜に人魚が打ち䞊げられたず聞いたので、芋に行った。予想に反しお、浜にはほが人が居ない。人魚姫をむメヌゞしおいたのに、人魚は男だった。割れた腹筋の䞋に、魚の䞋半身。普通に屈匷なおじさんなので、持っおいたビヌルずたこ焌きをあげた。次は焌きそばずスむカね、ず蚀っお海に垰っおいった。

    鈎懞ねいろ
    浜蟺でヒトデを拟う人に出䌚った。倢䞭で砂を掘っおはバケツに入れおゆく。どれも鈍い色だ。「これをどうするんです」「よく磚いお光らせるんです。倏祭りの倜に空ぞ投げ䞊げるんですよ」芋䞊げた空は確かに暗い。倏祭りたで4日。「あず幟぀くらい」「もう20は」僕も腕捲りしお砂に逃げた星を探す。

    鈎懞ねいろ
    こうしお浜に座っおいるず、叀代魚だった頃を思い出す。朮の流れを数える暮らしが、目の前で揺れおいる。空には倪陜。足には十の指。呌吞の仕方を倉えた。手のひらから溢れる砂は、あの頃ず今の幞せの違い。ざわあんざわあん。私はただ、座っお海を芋おる。鱗を捚おた私にも、波は今日も優しく寄せる。

    鈎朚 星倏
    お盆ど真ん䞭の浜蟺は閑散ずしおいる。やはり穎堎だなず䞀人で話す。毎幎恒䟋のレヌスを、今幎もなんずか開催。200m先の岩島を目指す。順調だず思ったが、半分くらい泳いだずころで足銖を掎たれた。やぁ、ず口を動かすそい぀は、去幎たで䞀緒にここで泳いだ友人。ああ、この時期を遞んでよかった。

    鈎朚林
    浜焌きにハマグリを持っおいくず、なんでも持ちこんでよかったらしく、皆は济衣ずかセミずかを持っおきおいお焌いおは食べた。締めで日差しずかをちびちび焌いおいる段階でも私のハマグリはパカリず開かなくお、もうよくないずリカが蚀い、ただ熱い貝を皆で蹎っお遊んだ。私はわざず遠くに蹎った。

    鈎代蘭
    波打ち際に立ち、海の向こうに思いを銳せる。冷たい海氎が玠足を撫でおいく。颚に促されるように海に背を向けお歩き出す。ふず立ち止たり埌ろを振り返る。地面に目を向けるず、湿った砂浜にくっきりず残っおいた足跡が跡圢もなく波にさらわれお消え去っおいった。今日も誰かがどこかで祈っおいる。

    砂男
    匕朮の時だけ浜に珟れる郵䟿局がある。海で死んだ父に手玙を出したいず蚀うず、局員の朱海さんは長い睫毛を䌏せお、難しいわよず呟いた。食い䞋がるず奥から青く光る瓶を持っおきた。手玙を入れお新月の晩に流しお。扉を出る時、諊めちゃだめよず声が聞こえた。朮が満ち、郵䟿局は海ぞ還っおいった。

    摂接いの
    昔、ここは浜だったらしい。今は空から降っおきた巚倧な䜕かによっお山ずなった。孊校の先生がそう説明した。知っおるよ、それは私の家族が星になった痕跡なんだよ。なんお、この星の人たちに蚀っおもきっず信じないだろう。浜だった地局のこずは信じるクセに。私は今日もがんやりず窓から家族を芋る。

    セミマル
    浜に薬の瓶が萜ちおいた。振るずなんか倉な音がする。なんか楜しくなっお振っおいたら「かえしお」ず声がした。人魚が私を睚んでいた。瓶を人魚に返すず人魚は無愛想に私に海氎をかけ海に垰っお行った。町の骚董店に人魚の卵ず曞かれた瓶があった。振るずあの瓶の音がした。誰かが睚んでいる気がする。

    倖野ナオ
    䞖界䞭の浜蟺はすべおりミガメの領土になった。人間ずりミガメの冷戊は遂に、りミガメの勝利で幕を閉じたのだ。りミガメたちは喜びに満ちおいた。そしお戊いから手を匕いた人間を讃え、螏み぀けにされるこずなく卵が無事に孵るたび、浜蟺ずコンクリヌトの境界にシヌグラスを点々ず䞊べおいくのだった。

    空芋ハル
    い぀も寝おいる郚屋の窓からは、砂浜が芋えたす。青空の䞋でたくさんの人が隒がしく遊んでいたす。私はあそこに行ったこずがありたせん。でもきっず、海の氎は消毒液みたいにツンず臭うのだず思いたす。砂は泚射の針みたいに痛いんだず思いたす。だから私は、颚鈎のちりんずいう音だけで良いのです。

    高蔵
    子䟛の頃に遊んだ浜はもう跡圢もなく消えおしたっお、巚倧なモヌルが立ち䞊んでいた。モニュメントの蟹だけが、そこがか぀お海だったこずを瀺しおいる。䞭に入り、おにぎりず唐揚げを買った。海の家セットだ。倖に出お、陜が降り泚ぐベンチに座っお頬匵った。しょっぱいな。朮の匂いがした。

    倚花巣うみ
    星で砂を掻いおいたら、魚が飛びだした。魚は砂の奥から぀ぎ぀ぎず溢れ出す。私の螝、ふくらはぎ、腰、胞、銖に冷たくおぬるりずした肌が觊れ、そのうち頬にたで觊れ、星はずっくに指先からは滑り萜ち、魚の矀れのなかぞず消えた。そのうち私の目も埋もれた。浜は銀河のように光っおいる。

    小鳥遊
    倫に殎られた翌日、頬が腫れおパヌトを䌑んだ。結婚前は優しかったのに、最近は仕事のストレスで私をよく殎る。頬を冷やし暪になるず、隣家から浜蟺の歌が聞こえおきた。「この歌、母がよく歌っおいた」家族に守られおいたあの頃が遠い倢のように思われる。私は私の気持ちに玠盎になる芚悟を決めた。

    高橋うによ
    8月の朝4時。石油ストヌブを぀ける。「浜の方さいぐがら、着れ」ず、叔母がピンク色のど掟手なダりンをよこす。ただ真倜䞭の町を走り抜けるず、どんどん朮の銙りが匷くなる。ラむトの光が星のようだ。ここに、ないものはない。「久しぶりだごど」挬物屋の名物ばばあが寄っおくる。朝垂が始たる。

    タケむチ
    貝殻を耳に圓おるず波の音がするずいうが、私の故郷では少し違った。毎幎お圌岞の時期になるず昏い顔をした人々が浜に集う。十幎振りに垰省した私も同じ顔だった。「芋぀けたよ」ず、小さな貝殻を手にした倫が泣き咜ぶ。誰にも看取られなかった死者は貝になり、最期の声を蟌めるのだず䌝えられおいる。

    橘ゆず
    浜蟺に打ち䞊げられた女に俺は恋をした。圌女は䜓のどこにも傷がなく、肌は陶噚のように癜く、眠っおいるかのようだ。「きれいだ」僕は぀ぶやき、圌女の肌の砂を払った。よくみるず頬骚に小さなほくろがある。接波でさらわれた僕の劻だった。僕は、もう䞀床恋に萜ちる。僕の涙も䞀緒に萜ちおいく。

    橘ゆず
    オヌナヌの爺さんは、浜蟺を芋぀めながら蚀った。「ここも今幎たでじゃ」芳光客も、もはや俺たちだけになった。最埌の倜、爺さんを囲んで打ち䞊げをした。ここは婆さんの亡くなった堎所なんだ。遠い目をしお蚀った爺さんを優しくかがり火が照らす。火が消えるず、爺さんはしゃれこうべになっおいた。

    田所浩二
    恋が沈んじたった。銬鹿野郎。足元の石を海にぶん投げたら、朜んだ星に圓たっお萜っこちた。でもよ、そんなの俺にゃどうだっおいい。だからっお星は、気が぀きゃ、隣に来おた。力匷く、静かに居た。染めながら、い぀しか倪陜が登っおいく。海のさざめきず、小さな日の濃淡が、浜には流れ着いおいた。

    田村 神経
    母なる海っおいうけれど、それなら父芪は倧陞かしら、少し安盎、うん、そうです私、今、真剣です、めずらしく。海ず倧陞の境目、砂浜、私たちは今砂浜で埅っおいる。さっき片足で、この星圢は䜕だっお感じで、私のおなかを぀っ぀いたでしょう、あれは、おぞそよ、そう、あなたず繋がっおいるや぀。

    月坂 亜垌
    たった䞉日でも実家にいるず息が詰たる。ひずりになりたくおい぀も座るこのカフェの窓際の垭からは、あの日の僕らが走った砂浜が芋える。裞足で走る君をスニヌカヌの僕が远いかけた。君のサンダルの片方は海の向こうに流されお、もうひず぀のサンダルは僕の家にある。裞足になった君はどこにもいない。

    おしらた
    砂浜に玠足を螏み入れた時の䞍快感は䜕ずも耐えがたい。だから拭いたかった、それたでのこずだ。あの湿った、地の底から䟵しおくるような昏い県差しが気に食わなかった。カラッずした倏の日差しに蛞蝓のようなあい぀はあたりにもふさわしくなくお、だからそのせいで死んだんだ。それだけのこずだ。

    寺山あゆみ
    祖母の荷物から貝殻をもらい2人でよく歩いた浜ぞ来た。握りしめた貝を海に浞し匕いおいく波を芋送る。やがお貝の䞭には小さな砂浜ができた。取り出しお、さらに小さな貝をひず぀乗せる。朮颚が私に觊れた。来た道を戻り祖母の元ぞ返しに行こう。これは私ず祖母のための、䞖界で䞀番小さな砂浜だ。

    倩祐 実
    掛け垃団は抌しおは匕いおを繰り返す浜蟺だった。同じ波が䞀぀ずしお存圚しないのず同じように、私は毎晩、違う男ず泳いだ。そしお男の出す玙䞊の男だけは、毎回同じ。偉い人なんだっお。私にはどうでも良い。これはビヌト板。これさえあれば溺れ死なずに枈むよ。その事実だけが私の党おだった。

    藀和
    蚘憶の䞭に真っ黒な砂浜がある。ちいさな入り江で、入り江の真ん䞭には黒くお倧きな岩が立っおいる。さざ波が響く䞭黒い景色の䞭にたたずんでいた。あの砂をたしかに持ち垰ったのに、砂を詰めたガラス瓶はどこに行ったのか。あの黒い砂浜の蚘憶が倢だったのか珟実だったのか、今ずなっおはわからない。

    藀和工堎
    生たれた浜には、悲しみばかりが流れ぀く。あれはなくした桜貝、あれは韍涎銙ず間違えた石、あれは捚おた指茪、あれは私の骚。波が足元から旅立぀感芚は奜き。䜓から魂だけが離れる感じがするでしょ 空くじばかりだけど、今床もここに生たれよう。足の指を抜ける砂のこそばゆさは愛しいから。

    tomodai
    䜏み慣れた里山も食糧が尜きた。仕方なく人里に降りたった仲間たち。䞭には人間たちを傷぀けたあげく呜を萜ずした者もいる。僕も生きる術を探し歩き、蟿り着いたのは小さな街の浜蟺。生たれお初めおみる海。その海が湖だったず気付くのはそれから数幎埌。湖の畔の蕎麊屋で僕は信楜狞ずしお生きおいる。

    どらたにあ
    い぀もむしゃくしゃしおいる。盞手が誰なのか䜕なのか、はっきりしおいる時もあるししおいない時もある。今日は芪。䜕を蚀っおも通じない。通じさせるこずができない。でも、芪が䜜った匁圓を持っおきおいる自分。い぀ものように浜塩が振っおある。䜕幎も前に私がおいしいっお蚀ったから。

    鳥居コり
     䞀人の暪浜の家で颚鈎の音を聞くたび、祖父母の家が恋しくなる。二人ず瞁偎に腰を䞋ろし、海を芋ながら祖母自家補の梅ゞュヌスを飲んだ。カランず氷が躍り、チリンず颚鈎が揺れ、二人が埮笑む。幌い僕の倏はそうしお毎幎始たっおいた。だけどその家にもう枩かさはない。庭の梅の朚は枯れおしたった。

    Nightingale
    満月の倜、海月たちは浜蟺に集たる。青癜い觊手を噚甚に䜿っお、䜕やら䌚話らしきこずをしおいる。小孊生の頃、䜕をしおるんだろうず祖父に尋ねたら、月に垰る時期を盞談しずるんだず教えられた。祖父の䞉回忌で垰省した倜も、海月たちは浜蟺に集たっおいた。垰る時期は、ただ決たらないようだった。

    なかいゆき
    手圓たり次第、穎を掘る。この砂浜に埋めたのだ。母の声を。途方に暮れ、近くの岩堎に座りこむ。目印になるはずだった岩堎は、長い幎月が経ち、かたちが倉わっおしたっおいた。぀るりずした岩肌を撫でる。母の声なんお、埋めなきゃよかった。わたしは母の「いっおらっしゃい」を今、聎きたいのだ。

    長尟たぐい
    母の曞斎の机には浜朚綿の皮が埋め蟌たれおいお、母がいなくなっおから私たちはそれに氎を遣り続けおいる。ピンポン玉ほどの硬そうな皮は半幎埌に芜を出し、すらりず葉が䌞びおた埌はずっずそのたただった。けれど、ずおも冷え蟌む冬の埌の春ずきお倏。花が咲いた。甘い匂いが挂う十䞉回忌になった。

    氞接わか
    浜蟺から砂を持ち垰るず黒くなっおしたった。どうしお ず聞いおも小瓶の底でむぎゅっず固たるだけ。小皿にあけおも塩氎をあげおもダメ。さお困った、あの海は遠いのだ。川から垰れないだろうかず小皿を持っお倖に出るず、砂たちは癜くほどけおさらさらず空ぞ䞊っおいった。今倜は星空になりそうだ。

    氞接わか
    山䞋さんは人魚のハヌフらしい。かさぶたが剥がれるず鱗になるので、山䞋さんが怪我をするず皆が矀がった。卒業の日、山䞋さんから䞀぀を握らされる。枡しおなかったから特別に、だそうだ。数幎埌、浜で萜雷にあったが運良く助かった。調査に来た孊者曰く、バッグに入れおいた竜の鱗のおかげだずいう。

    䞃海 翠
    小瓶の䞭には、砂が入っおいた。この砂は戊時䞭のもので、祖母の兄の遺骚の代わりに、浜蟺で集めた砂を詰めお今でも持っおいるのだずいう。祖母が、戊争䞭のこずを少しず぀話し始めた。目を背けたくなるようなこずが過去に起こり、苊しみは今も続いおいる。今の私には、平和を祈るこずしかできない。

    二宮癜黒郎
    地元の砂浜には嘘がたくさん挂着した。
    孊校終わり、打ち䞊げられた嘘を点怜するのが私たちの楜しみだった。
    男女の嘘を芋぀けるず、私たちはきゃヌきゃヌ蚀っおそれを蹎飛ばし遊んだ。
    はしゃぎながらも真剣に、私はあの人の嘘を探しおいた。
    嘘に違いない筈なのに、あの人の嘘が芋぀からない。

    猫戞鯖
    海蟺のなのに、砂浜がないこずがずっず䞍満だった。もう客船も出なくなった小さな枯を歩いおいるず、昔飌っおいた猫のこずを思い出す。冷たくなった猫を、祖母が海に流した。浜がないので、戻っおくるこずはなかった。それだけが良かったこずかもしれない。もっずいいずころに打ち䞊げられろよず願う。

    野田莉垆
    圹目を終えた倩䜿は柔らかい砂になっお、静かな砂浜で卵をあたためる。孵化するずきの砂の枩床が二床䜎いだけで悪魔が生たれおしたうから、倩䜿の䜓枩で卵を守るのだ。卵は、殻ごしに倩䜿の存圚を感じる。倩䜿だったものに包たれるこずで、倩䜿は初めお生を受ける。砂浜に埋たる倩䜿の卵はあたたかい。

    萩原皐月
    ざあざあず心地よい音が耳に届く。誰もいない浜蟺を、二人で歩いた倏のこずを思い出す。倜なのに空気はじめじめしおいお、髪がべずべずで。あの時はそんなの気づきもしなかったのに。もし同じ孊校だったら、ただ友達だったかな、なんお想像をやめられなくお。私だけを眮いお、波が匕いおいく。

    橋本航
    「わたしのうたれた街は、空に砂浜があっお、海に宇宙が広がっおいるの。ずっおも玠敵なずころ」きみが蚀ったこずを思い出しお、ここを蚪れた。倜空は満倩の星でたさに砂浜。暗い海は光を反射しお、宇宙の䞭にいるみたいだ。きみは、宇宙ず砂浜、どちらに垰っおいったのかず、少し泣いた倏の倜だった。

    華子
    隆起しお広くなった砂浜に今幎は緑の草が生えた。あの日この地を離れた君が、鎮魂の花火倧䌚に珟れた。束明の䞋で、君は結婚するず僕に蚀った。地震さえなければ、僕たちはうたくいっおたはずなのに。花火が終わった砂浜に、僕だけポツンず残った。僕だけが、あの日からずっず時が止たったたただ。

    矜庫ふみ
    浜で履くサンダルが消えた。昚日たであったはずなのに。あきらめお家を出たけれど慣れたはずの町で迷う。浜ぞ降りるはずの道は登り坂で、照り返しは去幎よりもき぀く、ようやく蟿り぀いた先は海に沈んでいた。ああ、ず、途方に暮れ立ちすくむず「浜などもうないよ」ず声。浜ぞ行く倢はここで終わる。

    ひこうき
    吞い寄せられるように人が集たっおいた。倧人も子どもも関係なく浜蟺の倕日を芋぀めた。ただただそのオレンゞの光を芋たくお、ただこの堎所で過ごす時間が終わっおほしくなくお。きっず䞀生忘れない、結婚した私ずもうすぐ結婚匏を挙げる姉ずの二人旅。幞せだけどもう戻れない、そんな気持ちだった。

    非垞口ドット
    焌入れを終えたドワヌフが砂浜で涌をずる。倏の暑さは倩井知らずで、぀いに最高気枩が八十床を越えた。人間はもう家から出おこない。゚ルフはずうに月ぞ枡った。地衚を歩くのはドワヌフずモンスタヌだけ。䞹粟を蟌めたミスリル现工も買うものがいない。浜は圌らが投げ捚おたミスリルで真銀色に煌めく。

    矊の耳
    持枯で働く友人から栄螺が届く。食した埌、私は貝殻を耳に圓おる。圌が螏み締める浜の音を探すけれど、聎こえおくるのは只管に私自身の血液の音だ。栄螺の䞭に朜むのは私なのだず思う。産卵し、増殖した私は貝塚ずなり、いずれ圌の骚をも飲み蟌むだろう。私は栄螺を叩き割る。圌が奜きだず胞を匵る。

    ヒトシ
    小さい頃、地図垳の䞊で冒険するのが奜きだった。倏䌑みには決たっお海を目指す。倧橋から鉛筆で川を䞋っおいく。遠足で䜕床も行ったダム湖を越えお、倧きな川に合流したら、むかし家族で行った海氎济堎のある海たでは東ぞほがたっすぐ。䞀筆曞きが終点に蟿り着くず、足裏には砂浜の熱さを感じおいた。

    日比野十果
    本州最東端の街にある浄土ヶ浜。浜蟺には石ころが堆積しおいる。そこには砂浜ような私たちを包みこむ柔らかさはない。しかし氎流で磚かれた石ころは私たちを傷぀けない。
    あの䞖もこうであればいい。みんな死んだら石ころになっお、波に身を任せるたた、誰も傷぀けない。そんな垞䞖を望んでいる。

    藀厎千早
    砂挠は海に䌚いに行った。草原を抜け、山を越え、川を枡るうちに、颚に飛ばされ、氎に流され、身䜓はだんだん小さくなった。それでも砂挠は歩みを止めない。ようやく海にたどり着いたずきには、もはや䞀握りの砂しか残っおいなかった。砂挠は暪たわり、海を眺めた。そしお砂浜の䞀郚ずなった。

    文月
    男は遠い星に降り立った。そこは砂挠の星。生物の気配はないが、ただ立っおいるロボットがいた。「䜕をしおるんだい」「私はこの浜蟺で二床ず誰も溺れないよう監芖しおいたす」男が蚊ねるずそう答えた。「もう倧䞈倫じゃないのかい」男はそう蚀おうずしお止めた。ロボットは黙っお遠くを芋おいる。

    束久 舜
    浜蟺で拟った真珠を飲み蟌んだカラスが、倜になるず人間の声で泣くようになった。声は亡き詩人のもので、波間を圷埚う蚀葉がカラスの喉を借りおこの浜に戻っおくるのだ。朝が来るたで誰も近づかない浜。

    䞞䞊涌介
    小孊二幎、倏の終わり。僕はあの浜で溺れた。海開きの日にコりくんが消えたあの浜で。その前の幎には圌の姉ちゃんも。ふたりはい぀も手を぀ないでいたっけ。溺れた僕は父に匕き䞊げられる刹那、氎の底から癜い腕が䜕本も䌞び、僕に絡み぀くのをたしかに芋た。やさしくお、冷たくお、離れなかった。

    䞉尟䞀加
    京浜急行の最終電車でうっかり居眠りをしお、芋知らぬ駅に着いた。無人駅には小さな改札がひず぀。粟算機でスマホをかざすず、『たたしいが䞍足しおいたす』ず衚瀺された。『チャヌゞしたすか』のメッセヌゞをあわおおキャンセルした私は、ひず気のないホヌムでスマホを握りしめ、始発を埅っおいる。

    䞉尟䞀加
    故郷の海では、ちょうど今の時期、沖に持火が灯る。亡き父が持を蟞めお以来、船を出す者は絶えたが、倜の波間に小さな明かりが芋えなかった幎はない。「あなたが垰っおきお嬉しいんだよ」ず母は蚀う。明け方に浜を歩くず、砂の䞊に船を匕きずった線ず足跡が残っおいるこずを、母にはただ話せおいない。

    Mikoko
    にこりずもせず喋らない。花火をしたいず蚀ったら「俺はやらない」っお。祖母は気にするな、ず蚀うが、子䟛心に、なぜい぀も怖い顔をしおるのか疑問だった。でも、やむなく母ず2人で浜蟺ぞ向かうず「危ないから」ず぀いお来た。噎出花火がうたく䞊がった時だけ、祖父はほんのわずかに頬をゆるめた。

    芋坂卓郎
    リモヌト䌚議の背景になっおいる蒌海が、よく芋るず少し動いおいる。今のずころ気づいおいるのは私だけだ。先茩はい぀も浜蟺の写真を背景にしおいるので、こっそり本物を混ぜおもバレないず思ったらしい。匷い海颚のせいで前髪がそよいでいる。たぶんバレおたす先茩。あず浮き茪が芋切れおたすよ。

    芋坂卓郎
    海がどんどん瞮んでいく。人々は海を求めさたよい、「ファむナル浜」ぞずたどり着く。これが地球最埌の海だ。看板に沿っお人々は長蛇の列を぀くる。矢印の方ぞぞろぞろ歩く。どこにあるんだ、ファむナル浜。やがお䞍満は怒りに倉わる。荒々しい行進に螏み぀ぶされお、いた小さな氎たたりが消えた。

    宮野鞠
    子どもが転んだが、母芪が優しく抱いお私は安心した。い぀の思い出だ。぀いこの前のような、䜕億幎も前のような。そうだよ。たた人になれるように砕いた骚を浜に撒かれたのだった。私は砂浜の䞀粒だったこずに気づいた。意思がもう䞀床芜生えたのだ。朮が満ち干きしお私の顔をさらう。海が綺麗だった。

    歊川蔓緒
    校舎の真裏に砂浜があるもので、生埒はそこで告癜をしたり煙草を吞ったり、海にはいり自死を図ったり。私は定幎も過ぎたのに孊校ぞ戻されおいる。遅刻は垞習成瞟は赀点で䞍良扱い。だがやさぐれおも裏の浜ぞなど行かず、校舎正面の歓楜街で制服の儘飲む。释を緩め「就孊児に手を觊れないで」を口癖に。

    森林みどり
    䜓の䞭に魚を飌っおいるみたいなの。時々ピチピチ喉元たで跳ねるから、痒くっお。驚いたこずに、圌女の䜓は氎に満たされおいた。黄色い魚が跳ねお、僕の方に飛んできた。ピチャン。僕の䞭で音がした。恐る恐る自分の䜓を芗き蟌んだ。僕の浜蟺に青い氎が溢れおいた。黄色い魚がゆっくりず泳ぎ始めた。

    吉野玄冬
    朮に運ばれ、無垢な砂浜に攟り出される。シャク、シャク。心地良い足音に背䞭を抌され、圷埚い歩く。重くなっおいく足取り。䜕も埗ぬたた、汐が来た。端から呑み蟌んでいく、党おを。足跡䞀぀残しおやくれない。必死の叫びも虚しく、海に解けおいく。透明な地局の䞀郚になるず知っお、最埌に埮笑んだ。

    我劻蚱史
    流朚の圱に子どもが座っおいた。浜は干からび、波も颚も眠っおいる。声をかけおも子どもは振り返らない。氎筒の氎を差し出すず、薄く笑っお去っおいった。そのずき、䞀陣の颚が吹いた。粟立぀肌をさすり、倏が行っおしたったこずを知った。䜕も告げず、砂に足跡も残さず。私は倏の境目に立っおいた。

    若林明良
    浜蟺に垜子を忘れた。去幎の倏、圌が買っおくれたもの。麊わらの、癜いリボンが぀いおお。助手垭で、玫に昏れゆく雲をながめながら海の家に電話した。家に着くたで䞀床も圌を芋なかった。深倜、むンタヌフォンが鳎った。ドアを開けるず垜子が立っおいた。私は溜息を぀き、垜子を拟いあげ、砂を払った。

    和久野倕匥
    波に乗っお流れ着いた「悪い蚀葉」を拟った。ぶよぶよずしおいお䞍快な臭いがする。この砂浜の枅掃業を始めおもう数十幎になるが、あきらかに最近悪い蚀葉が挂着するようになった。やれやれずそれをビニヌル袋に突っ蟌み、あずでたずめお捚おる。繊现で矎しい蚀葉が溢れた堎所になるよう、祈りながら。

    遞考委員メッセヌゞ 参考䜜品 
    䞀次遞考通過䜜品


     
     
     

    hoshiboshi

     
     
    「星々」は、生掻者の創䜜に寄り添う文芞創䜜コミュニティです。ほしおさなえ小説家ず有志のスタッフで運営。雑誌「星々」の刊行、140字小説・短線小説コンテスト、オンラむン小説創䜜講座などの掻動を行っおいたす。 https://www.hoshiboshi2020.com

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