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バナナリストラ|ショートショート

    「キミ、クビね。もう明日からはバナナじゃないから」
    隣にいたリンゴは気まずそうに目を逸らした。果物カゴにいた他の皆も、聞こえないフリを決め込んでいた。
    「そんな、どうして!」
    リストラを宣告されたバナナは叫んだ。

    「キミが一番適任なんだよ」
    「クビに適任だなんて。ほら、あの黒くなってきてるバナナの方が、クビにしやすいでしょう!」
    突然名指しされた熟れたバナナは驚きと怒りの眼差しを向けてきた。
    負けるもんか。
    「あれは一番下の子供が好きなんだ」

    「そしたら、あの緑色の若造は!」
    指をさされた未熟なバナナは、さっとリンゴの陰に隠れた。リンゴは少し迷惑そうに体をモゾモゾさせていた。
    「あれはあれで、一番上のお兄ちゃんが好きなんだよ」

    「落ち着け。再就職先を見つけてやったから」
    「一番食べ頃で、形もいいのに、どうして……」
    抗議の声は、次第に涙声になっていった。

    長年勤めてきた果物カゴから離れ、おもちゃ箱に再就職した。
    電話の受話器の仕事だった。

    (409文字)

    こちらの企画に参加しています。

    本作品はamazon kindleで出版される『410字の毎週ショートショート~一周年記念~』へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です。

     
     
    週末作家。ショートショート/小説/エッセイ/映画&読書感想文。 note創作大賞2024ファンタジー小説部門中間選考通過。 Kindle自主出版『ロスト・アンドロイド』▶︎https://amzn.asia/d/8HWpUEQ

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