
紙おむつは神だったな
ムスメを育てるにあたって、たいていのことはがんばった。面倒くさがりの私にしては努力した。
でも、ひとつだけ、敢えて、がんばらなかったことがある。トイレトレーニングだ。
ムスメが乳幼児だった頃、我が家は名古屋松山間を頻繁に車で帰省していた。片道約600キロを乳幼児と移動するのに、紙おむつは神だった。高速道路上でいきなり「トイレ!」と言われても、近くにサービスエリアやパーキングエリアがあるとは限らない。「サービスエリア(パーキングエリア)まで耐えて!」と言ったところで、子どもは大人ほど尿意を我慢できない。神をうかうかと手放したくなかった。
それに、1年や2年早くおむつを卒業したからと言って、それがなんだというのだろう?
私は(母によると)生後10ヶ月でおむつを卒業していたらしい。でも、その事実がのちの人生で有利に働いたことはない。まったくない。
むしろ私はトイレが近い。胃腸も弱い。きれいなトイレが近くにない環境はゾワゾワする。そんなヘタレな人間として半世紀以上生きている。キャンプも山登りも行きたくない。海水浴場も公園も、床の湿ったトイレが嫌だ。私が極端なインドア人間なのはトイレのせいもある。
それでも、ムスメが周りに影響を受けて「自分もオムツを卒業したい」と言うのなら協力は惜しまないつもりだった。しかし、ムスメはまったくそういうそぶりは見せなかった。新生児室でスタッフの皆さんに「お母さん、この子、ぶっちぎりのマイペースです」と言われただけのことはある。「人は人、自分は自分」がブレない。
そんなマイペースなムスメはお喋り出来るようになっても、オムツ替えのタイミングについて「出る」はもちろん「出た」すら頑なに言わなかった。そのうち、いつのまにか、朝のオムツ替えや外出先でのオムツ替えで、ムスメのオムツが濡れていないことが増えた。ムスメ3歳。本人の意思より先に、膀胱がオムツを卒業していた。マイペースが過ぎるやろ……。
そこからムスメに「もうオムツは必要ありません」と認識してもらうのに1ヶ月。これが長いのか短いのか分からない。ただ、卒業した後はお漏らしもオネショも皆無だったので、親としてかなり楽をさせてもらったと思う。
まあ、それでも新たな問題が登場するのが子育てなんですけどね。

オムツ卒業から3年近く「(トイレやお風呂から出たら)パンツをはけ!」と言い続けるなんて、想像もしていなかったよ。