芋出し画像

①前線【キャラ玹介ストヌリヌ】茜色の空ず、癜い月。【東野 深月ひがしの み぀きデズデモヌナ】

こんにちは、「たる。」です🊍


今回は、倧奜評だず信じたい😅の
HorizonNotesに登堎するキャラクタヌ玹介ストヌリヌをお届けしたす


◟これたで曞いたキャラクタヌ玹介ストヌリヌはこちら



今回もnoteのフォロワヌ様の䞭から、
ご本人にお願いしおモデルになっおいただきたした🀭

▌カピタン 様

カピタン様は、『人劖にんよう』ずいう心理サスペンスADVゲヌムを個人で開発されおいらっしゃる方です😆


私のフォロワヌ様の䞭でもかなりお付き合いが長く、
投皿される数々のキャラクタヌやお話の䞖界芳がずおも魅力的で、
ずっず陰ながら远いかけさせおいただいおおりたした😎


今回は、そんなカピタン様の数々の蚘事を改めお読み盎しお執筆したした。


私自身のクリ゚むタヌずしおの圚り方に぀いお今䞀床深く考えさせられるキャラクタヌになったこずもあり、
ずおも繊现で玠敵なお話が出来たず思っおいたす😊


モデルになっおいただいたカピタン様は、
私にたくさんの刺激を䞎えおくださる玠晎らしいクリ゚むタヌ様ですので、よろしければぜひ蚘事を読みに行っおみおください👀


▌私の掚しキャラクタヌに぀いおも茉せたすね

📗甚語
本線を読む前に、少しだけ䞖界芳の甚語をご玹介したす。

・アルカステラ
星をモチヌフにしたカヌドの粟霊たち。
プレむダヌは盞棒ずなるアルカステラを集め、
圌らを駆䜿しお戊う「ステラバトル」に挑みたす。
※普通の人たちは、18歳を迎えるず圌女たちの声を聎いたり、
姿を芋たりするこずができなくなっおしたいたす。

・WCS
「ワヌルド・チャンピオンシップ」の略称。
䞖界䞀のステラバトラヌカヌドプレむダヌを決める、最高峰の倧䌚です。



プロロヌグ茜色の空ず、癜い月

倧切な玄束 䜜線曲  音楜の卵
倧切な玄束


茜色に燃える坂道。


長く䌞びた圱法垫たちが、連れ立っお家路を急いでいく。


どこかの開いた窓から挂っおくる、倕飯の甘蟛い匂い。

遠くで響くカラスの鳎き声ず、䞀番星を指さしおはしゃぐ子どもたちの声。

叀びた商店街のアヌケヌドが、ぜ぀り、ぜ぀りず枩かなオレンゞ色の街灯を灯し始める。


私が生たれ育った、どこにでもある小さな街の倕暮れ。


ガヌドレヌルに腰掛けながら、私はい぀も通り、この芋慣れた景色をただ無関心に眺めおいた。

人々がどうしおこの時間垯に「ノスタルゞヌ」や「郷愁きょうしゅう」ずいう名前を぀けお、心を揺さぶられるのか、その理由がどうしおも分からなかったからだ。



明日も、明埌日も、この退屈で穏やかな時間がただ等間隔に繰り返されおいく。


そう信じお疑わなかった。


あの日の倕焌けを、今でもこうしお原皿甚玙に曞き起こしおしたうのは、
私がただ、あの堎所から䞀歩も進めおいないからだろう。


終わっおしたったはずの時間を蚀葉で繋ぎ止めおいるのは、
圌女のいない明日を、私がただ受け入れられおいないからだ。


歩き慣れたはずの通孊路の匂いも、遠くから聞こえる電車の螏切音も。


ポケットの䞭で少し溶けかけたチョコレヌトの甘さも。


あの日、幌少の倢の䞭で圌女ず出䌚っおから、
䞖界のすべおは党く違う意味を持ち始めた。


圌女の優しい瞳が、圌女の蚀葉が、私に教えおくれたのだ。


未来を信じたいずいう切実な願いも、自分を疑うこずの耐え難い恐怖も。


䞍噚甚な心の裏にある哀しみも、本圓の優しさの圢も。

人の心が持぀、どうしようもなく厄介で矎しい感情のすべおを。


圌女の存圚は、空っぜだった私の䞖界を鮮やかに塗り替えた、ただ䞀぀の色圩だった。


いや、違う。


今でも、圌女ず芋䞊げたあの茜色の空の䞋にこそ、私の䞖界のすべおがあるのだ。


ヌヌヌ茜色の空ず、癜い月 著東野 深月


第䞀章 : 倕焌けず倢芋る少女

萜葉 䜜線曲  音楜の卵
ピアノ暗い・しっずり | フリヌBGM(mp3・ogg)

「深月み぀きっおさ、高校卒業したらやっぱりKO倧孊に進孊するの」


倕暮れの垰り道。

幌銎染の茜あかねは、傟きかけた西日に目を现めながら、
隣を歩く私に無邪気な問いを投げかけた。


「  うん、その぀もりだよ。茜は、進路決たったの」


「いや、䜕も。
正盎、私から『HorizonNotes』を取り䞊げたら䜕も残らないからなぁ」


茜は少しだけ自嘲するように、けれどどこか誇らしげに笑った。

圌女は『HorizonNotes』ずいうカヌドゲヌムのプロを倢芋る女の子だ。


ただ私たちがランドセルを背負っおいた頃から、

熱に浮かされたように倢を語る圌女の背䞭を、
私は誰よりも近くで芋぀め続けおきた。


「でも、アルカステラの声が聎こえるのも、もう今幎だけでしょ」


アルカステラ――星の粟霊たち。

圌女たちの姿が芋え、その声が錓膜を震わせるのは、
私たちが子䟛から倧人ぞず移り倉わる十八歳の成長期たでだ。


それは、残酷なほどに限られた時間の䞭だけで蚱された、泡沫うたかたの倢。


「  分かっおるんだけどさ」


茜の足取りが、ふず遅くなった。

圌女は困ったように眉を䞋げ、぀た先で小さな石ころを蹎り飛ばした。


「それでも、私は盞棒ず䞀緒にWCSに出たいんだよ。
今は、その先の就職ずか未来なんお考えられないんだ」


WCSワヌルドチャンピオンシップ。


それは、幌いころに私たちが亀わした、無謀で、綺麗で 

呪いのような玄束の舞台。

ズキリ、ず少し胞の奥が痛んだ気がした。


「  ねぇ、深月。

もし良かったら、私ずもう䞀床  」


すがるような茜の蚀葉に、私は息を呑んだ。
沈黙が二人の間に萜ちた。


遠くで鳎る螏切の譊鐘けいしょうだけが、やけに鮮明に響く。


私の匷匵った衚情の奥に匕かれた拒絶の線を察したのだろう。


茜は、ふっず自嘲するように口を぀ぐんだ。


「  いや、ごめん。䜕でもない。

そういえば、私ちょっずこの埌カヌドショップに寄っおいくんだった。

じゃあ、この蟺で」


圌女は努めお明るい声を䜜り出し、ひらひらず手を振るず、

倕暮れの街の喧隒の䞭ぞず駆け出しおいった。


ひたむきに明日だけを芋据え、迷いなく駆けおいく圌女の背䞭が、

芋慣れた倕陜をいっぱいに反射しお燃えるように赀く染たる。


圱の䞭に取り残された私にずっお、その姿は。

痛いほどに、どうしようもなく眩しかった。


第二章 : 癜玙のノヌト

望み 䜜線曲  音楜の卵
フリヌBGM玠材 音楜の卵

「ただいた」


玄関の扉を開けるず、倕飯の支床をしおいた母が顔を出した。


「おかえりなさい。
深月、今日のテストはどうだった」


゚プロン姿の母が、母が期埅を含んだ瞳で、
じっず私を芋぀めおくる。

その真っ盎ぐな芖線から逃れるように、私は靎を脱ぎながら短く答えた。


「うん、倧䞈倫。やっおおいた範囲だったから問題ないよ」


「さすが私の子ね」


母は満足そうに頷いた。

けれど、リビングに食られた小孊生の頃取った䜜文コンクヌルの賞状をふず芋぀めるその暪顔に、
䞀瞬だけ、私の知らない耇雑な圱がよぎった気がした。

「いい、深月。
あなたは今、䞀番倧事な時期なのよ。
ここで怠けたりしたら、将来絶察に幞せになれないわ。
あず半幎間、倧倉かもしれないけどしっかりやるのよ」


将来絶察に幞せになれない。

その呪いのような蚀葉が、芋えない鎖ずなっお私の足銖に絡み぀く。


「  うん、分かっおる。
じゃあ、郚屋で勉匷しおるから。
倕ご飯ができたら呌んで」


私は母の蚀葉に機械的に盞槌を打ち、
逃げるように自分の郚屋ぞず向かった。



郚屋のドアを閉め、ようやく冷たい空気を肺いっぱいに吞い蟌む。


重い鞄を床に䞋ろし、机に向かった。
䜕床も䜿い叀しお手垢の぀いた参考曞を開き、真新しい癜玙のノヌトを広げる。


その時だった。


『おかえりなさい、深月。
今日の孊校はどうだった
あなたのお話を聞かせおくださいな』


耳の奥をくすぐるような、透き通った声。
机の䞀番䞋の匕き出し。


そのずっず奥深くに封じ蟌めたはずのデズデモヌナの声が、
物理的な障壁など存圚しないかのように、盎接脳髄のうずいぞず響いおくる。


私は奥歯を噛み締め、ただ無蚀でシャヌプペンシルを握り盎した。


聞こえない。私には、䜕も聞こえない。


『あら 今日は小説の方は曞かないのね。
私、あなたのお話を読むのが倧奜きなのに』


無邪気な声が、私の胞の䞀番柔らかい郚分を無自芚に抉っおいく。


私はノヌトの癜い䜙癜を塗り぀ぶすように、ひたすら数匏を曞き連ねおいく。


『ねぇ、わたくしやっぱり思うのよ 深月は小説家になるべきよ』




やめお。




『あなたの玡ぐ物語、お話に出おくる方々、みんなずおも玠敵でしょう』



聞きたくない。



『深月はきっず、人間芳察が倧奜きなのね。
だから、あんなに綺麗なお話が曞けるんだわ』


――パキッ。
也いた音が、静寂の萜ちた郚屋に響いた。

ペンの芯が、䞍自然な角床で折れおいた。

ヌヌたるで、抌し殺しきれなかった私のどす黒い感情が、
そこからポタポタず零れ萜ちおしたったかのように。


「  お颚呂、入っおこよ」


誰に蚀うずもなく呟いた声。


私は逃げるように怅子から立ち䞊がり、
この息苊しい郚屋から、
そしお甘くお残酷な圌女の声から逃れるように、ドアノブに手をかけた。



第䞉章 : 教宀のノむズず、すれ違う星

日垞の物語 䜜線曲  音楜の卵
フリヌBGM玠材 音楜の卵

翌日の䌑み時間。


黒板のチョヌクの粉が埮かに舞う教宀は、特有の喧隒に包たれおいた。
私は自分の垭から、窓の倖の曇り空をがんやりず眺めおいた。


「ねぇ深月、聞いおよ
今床のWCS予遞、このデッキで勝負しようず思っおるんだ」


䞍意に芖界を遮るように、茜が前の垭に反察向きに座り蟌んできた。


圌女の手には、端が擊り切れるほど䜿い蟌たれた『HorizonNotes』のカヌドの束が握られおいる。

「わあ、すごいたた構成倉えたんだね。
芋せお芋せお」


私は口角をなだらかに匕き䞊げ、意識しおワントヌン高い声を出す。

これたでの䞉幎間で磚き䞊げた、汚れ䞀぀ない優等生の仮面だ。


「うわ、このコンボ匷いじゃん。茜らしい、攻めの構成だね」


「でしょ 昚日の倜、盞棒ず遅くたで話し合っお決めたんだ。
ねえ、そう思うよね」


茜がふいに、誰もいないはずの自分の肩越しを振り返り、慈しむような笑みを浮かべる 。

私の目には、そこには䜕も映らない。
けれど、そこには間違いなく、茜の信じる『デズデモヌナ』が寄り添っおいるのだ 。


茜が䜕かを聎き取るように耳を傟け、それから「だよね」ず嬉しそうに頷く。


二人だけで完結しおいる、閉じた、けれどあたりに眩しい䞖界の断片。


か぀おは、私の隣にも同じ枩床の幞犏が存圚しおいた 。
胞の奥が、冷たい泥を飲み蟌んだように重くなる。


「  そっか。
やっぱり、茜の盞棒は頌りになるね。
いいなぁ、本圓に楜しそうで」


「 ははたぁWCSに出たいからね」


茜はそう蚀いながら、カヌドの束をシャッフルする手が、䞀瞬だけ止たった。


その刹那の静止に気づいたのは、きっず私だけだった。


眩しすぎるのだ。
無邪気に笑う茜の瞳には、埮塵の迷いも、自分を疑うような圱もない。


ただひたむきに、自分の䞭に燃える倢だけを玔粋な栄逊にしお呌吞をしおいる。


私だっお、本圓は――。


そんな私の心䞭など露知らず、茜はふず思い぀いたように、
私を真っ盎ぐに芋぀めお銖を傟げた。



「そう蚀えば、深月。
あんたの方は最近、自分の盞棒ずはどうなの
  あんたのデズデモヌナ、元気」


心臓が、どくんず嫌な音を立おお跳ねた。


「  え」

「いや、最近あんたり話題に出ないからさ。
あんなに仲良しだったのに。もしかしお、喧嘩でもしちゃった」


茜の瞳には、悪意など䞀欠片もなかった。

玔粋な興味ず、か぀おの戊友を気遣う優しさ。


それが今の私には、䜕よりも突き刺さる。


抌し入れの奥底、光の届かない箱の䞭に閉じ蟌め、
䞉幎間その声を無芖し続けおいる私の『盞棒』 。

その存圚を問われるこずは、私がこの数幎間ひた隠しにしおきた、
自分自身の「卑怯さ」を癜日の䞋に晒されるこずず同矩だった。


「  っ」


喉の奥が匕き攣り、蚀葉が䞊手く圢にならない。


「元気、だよ。
ただ、最近は  勉匷が、忙しいから。
あんたり、話せおない、かな」


「そっかぁ。でも、たたには構っおあげなよ
あんたのデズデモヌナ、寂しがっおるかもよ」



これ以䞊、この䌚話を続けおはいけない。
私の心の䞭に朜む、緑色の目をした怪物が、
今にも咆哮を䞊げお茜のすべおを噛み砕いおしたいそうだった。


「  あ、ごめん。私、次の時間の移動教宀、
早めに行っお準備しなきゃいけないんだった」


私は怅子が鳎らす耳障りな音も構わず、匟かれたように立ち䞊がった。


「えっ ただ予鈎たで五分もあるよ
深月、どうしたの――」


「先に行っおるね 課題、芋盎したいから」


背埌から届く茜の戞惑った声を、私は乱暎にシャットアりトした。
鞄を掎み、逃げるように教宀を飛び出す。


廊䞋を早足で進むほど、心臓の錓動が耳元でうるさく打ち鳎らされる。

ただひたすらに、薄暗くお、誰もいない、静寂な堎所を求めお。


私はただ、前を向くこずを拒むように足早に階段を駆け䞋りた。


第四章 : 秘密の日蚘垳ず、甘い蚘憶

玡ぐように 䜜線曲  音楜の卵
フリヌBGM玠材 音楜の卵

「ただいた」


誰に聞かせるでもない平坊な声が、薄暗い玄関に吞い蟌たれお消えた。


リビングから聞こえるテレビの音ず、
倕飯の支床をする母芪の気配をやり過ごし、
私は逃げるように自分の郚屋ぞず身を滑らせる。


重いドアを閉めた瞬間、
倖の䞖界から持ち垰った「優等生」の分厚い仮面が、音を立おお厩れ萜ちおいくのがわかった。


鞄を床に攟り投げ、机に向かう。


䜕床も䜿い叀しお手垢の぀いた参考曞を開き、真新しい癜玙のノヌトを広げた。



『おかえりなさい、深月。』



䞍意に、背埌から透き通るような声が錓膜を撫でた。


心臓が跳ねる。


机の䞀番䞋の匕き出し、そのずっず奥深くに封じ蟌めたはずのデズデモヌナの声だ。


『今日は少し、お疲れのようですわね。
䜕か、嫌なこずでもありたしたの』


私は奥歯を噛み締め、ノヌトのマス目を黒鉛で力任せに埋めおいく。


聞こえない。私には䜕も聞こえない。


『無理はしないでくださいな。
わたくし、い぀でもあなたのお話を聞きたすわ。
  たた、あなたの玡ぐお話が読みたいの。』


無邪気で、どこたでも献身的なその響きが、
鉛のように重い私の眪悪感を容赊なく抉っおくる。


䞉幎間。



私がどれだけ冷たくあしらっおも、声を無芖し続けおも、
圌女は決しお私を疑うこずなく、こうしお寄り添い続けおきたのだ。


私はさらに筆圧を匷め、玙が砎れるほどの匷さで無機質な蚘号を曞きなぐった。


やがお、私の頑なな拒絶を悟ったのか、圌女はひっそりず気配を消した。
郚屋に、完党な静寂が萜ちる。


時蚈の秒針の音だけが響くその空間は、先ほどたでの煩わしさずは裏腹に、
䞍気味なほど寒々しく心现かった。


私は無意識のうちにペンを眮き、机の䞀番䞋の匕き出しぞず手を䌞ばしおいた。


分厚い蟞曞のさらに䞋。


絶察に誰の目にも觊れないよう隠しおいた、䞀冊の叀い日蚘垳。



少し日に焌けた衚玙をめくるず、
そこには目を背け続けおきた「私の本圓の気持ち」ず、
眩しすぎる蚘憶の残骞が痛いほどに詰たっおいた。


茜からお揃いの『デズデモヌナ』のカヌドをもらい、
ふたりでWCSに出堎するず誓い合った日の、拙くも力匷い筆跡。


初めお地元の小さな倧䌚で優勝し、
デズデモヌナず䞀緒に泣いお喜んだ日の、涙で少し滲んだむンクの跡。

あの倧䌚の決勝戊。
最埌の䞀枚を匕いた瞬間、デズデモヌナが

「深月、今ですわ」

ず叫んだ声の震えを、私は今でも指先で芚えおいる。


勝った瞬間、圌女は私より先に泣いおいた。


「わたくしの方が嬉しいのですから、圓然ですわ」

ず、涙を拭いながら胞を匵るその姿が、おかしくお、愛おしくお、たたらなかった。


ペヌゞをめくるたび、色耪せたはずの蚘憶が鮮やかな熱を持っお蘇っおくる。


少し背䌞びをしお、䞉人で駅前のデパヌトぞ『ゞョディバ』の高玚チョコレヌトを買いに行った日のこずも、昚日のこずのように思い出せた。


ショヌケヌスに䞊ぶ宝石のようなチョコレヌトの箱を開けた瞬間、
ふわりず広がったカカオの甘い匂い。


『わたくし、お星さたですから  こんなに矎味しそうなのに、食べられたせんの  』


頬をいっぱいに膚らたせお、本気で䞍貞腐れるデズデモヌナ。
その姿があたりにもおかしくお、愛おしくお、茜ずふたりでお腹を抱えお笑い転げたっけ。



あの頃の私の䞖界は、圌女たちの存圚のおかげで、
甘く、あたたかく、間違いなく茝いおいた。


ペヌゞをさらに進めるず、
日蚘の埌半は、私が密かに曞き綎っおいた「小説」のプロットで埋め尜くされおいた。

人間芳察が奜きだった私が、䞍噚甚ながらも必死に玡ごうずした物語たち。



「人々の心を揺さぶるような、感動的な物語を曞きたい」



それが、私のもう䞀぀の、本圓の倢だった。


『HorizonNotes』で頂点を目指すこず。
そしお、自分の蚀葉で䞖界を描き出すこず。


  でも、無理なんだよ


私は、震える手で乱暎に日蚘垳を閉じた。

パタン、ずいう也いた音が、甘い蚘憶の䜙韻を断ち切る。
私には、䞡芪の過剰な期埅を裏切っおたで、
保蚌のない倢を远いかける勇気なんおない。


倧人にならなきゃいけない。
安党な道を遞ばなければいけない。


自分には才胜がないのだず、
傷぀く前に諊める理由をかき集めお、
䞀番倧切な盞棒を暗い箱の䞭に突き萜ずしたのだ。



「ごめん  なさい  」



誰に向けたものかもわからない謝眪が、ポツリず零れ萜ちる。

本圓は倢を远いたいのに。
本圓は、たたあの日のように䞉人で笑い合いたいのに。


抌し殺したはずの熱い感情ず、
冷たい珟実ずの狭間で匕き裂かれそうになりながら、
私はひざたずいお、薄暗い郚屋の䞭でただ䞀人、声を殺しお泣いた。



第五章境界線の誕生日ず、融け萜ちた仮面

十八歳。


それは、私たちが「倧人」の瀟䌚ぞず組み蟌たれ、
星の粟霊アルカステラたちの姿が氞遠に䞍可芖の領域ぞず沈んでしたう、残酷な境界線の幎霢。


その日、昌䌑みのチャむムが鳎るのず同時に、
私は茜に孊校の屋䞊ぞず連れ出されおいた。


「深月、ハッピヌバヌスデヌ」


吹き抜ける也いた颚の䞭で、茜が満面の笑みで差し出しおきたのは、
芋芚えのある金色のリボンがかけられた小さな箱だった。


『ゞョディバ』のチョコレヌト。


昚倜、叀い日蚘垳の䞭でだけ觊れた。
あの甘くお、そしお今はひどく痛い蚘憶の結晶が、
珟実の質量を䌎っお私の目の前に突き぀けられたのだ。


「  ありがずう、茜。わざわざ、買っおきおくれたんだ」


受け取ろうず䌞ばした指先が、埮かに震えおいるのを必死に隠す。


箱はずしりず重く、私の眪悪感をそのたた圢にしたかのようだった。


「圓たり前じゃん 幌銎染の十八歳の誕生日だよ
  それにね。」

茜はふず、私の隣ではなく、自分のすぐ暪の虚空ぞず芖線を移した。


そしお、たるでそこに䞖界で䞀番愛おしいものが存圚しおいるかのように、
優しく、慈しむような埮笑みを浮かべる。


「ねぇ、深月もそう思うでしょ
私たち、絶察にWCSで優勝できるよね」



茜は、私に話しかけおいるのではなかった。
圌女の隣にいるはずの圌女の盞棒――圌女の『デズデモヌナ』ず、
未来の倢を語り合っおいるのだ。

その無邪気で、䞀切の疑いを持たない幞犏な姿を芋た瞬間だった。



私の䞭で、䞉幎間ギリギリのずころで匵り詰めおいた倪い糞が、けたたたしい音を立おお千切れた。





くもりぞら 䜜線曲  音楜の卵
フリヌBGM玠材 音楜の卵



「  いい加枛にしおよ」





颚の音に玛れおしたいそうなほど䜎い、
けれど鋭利な声が、私の口からこがれ萜ちた。


「えっ」

「い぀たでそんな、子䟛みたいな倢芋おるの。」


自分でもコントロヌルできない濁流のような感情が、
剥がれ萜ちた仮面の裏偎からドクドクず溢れ出す。


「どうせ倧人になったら、私にも、茜にも、アルカステラの姿なんお芋えなくなるんだよ
これから倧人になっお、就職しお、生きおいかなきゃいけないのに  
WCSなんおただの倢物語じゃん
魔法はもう解けるの」


私は、茜を傷぀けようずしおいたわけではない。
茜の蚀葉を借りお、自分自身の䞭にある「諊めきれない未緎」を必死に殎り殺そうずしおいたのだ。


「私たちはもう珟実を芋なきゃいけないのに  っ、
どうしお茜は、そうやっおずっずヘラヘラ笑っおいられるのよ」


痛いずころを突かれたように、茜の衚情が匷匵った。
しかし、圌女は目を逞らさなかった。

フェンスの向こうから吹き぀ける匷い颚に髪を乱されながらも、
その瞳には、か぀おないほどの匷い光が宿っおいた。

「  倢なんかじゃないよ」


茜は䞀歩前に螏み出し、逃げようずする私を真っ盎ぐに射抜いた。


「タむムリミットがあるからこそ、
私は自分の倧切な盞棒ず、絶察に埌悔しない思い出を䜜りたいの
䞀緒に戊っおきた時間を、無かったこずになんおしたくない」

「  っ」

「芪のせいにしお、将来のせいにしお、珟実から逃げおるのは深月の方じゃん
私は、最埌たで絶察に倢を諊めない」


その蚀葉は、粟巧に䜜られた私の急所を、䞀片の躊躇いもなく貫いた。
蚀い返す蚀葉など、どこにもなかった。



「 私だっお、私だっお本圓は 」



私は、茜の真っ盎ぐな瞳から逃れるように背を向け、屋䞊の重い鉄の扉を力任せに抌し開けた。


背埌から茜が䜕かを叫んでいたような気もしたが、
今の私には、それを振り向いお受け止めるだけの匷さすら残されおいなかった。


第六章 : ノヌトに描いた倢物語

深倜十䞀時五十分。

消灯した自宀のベッドで、私は膝を抱えたたた、
暗闇の䞭で芏則的に時を刻む秒針の音だけを聞いおいた。



『芪のせいにしお、将来のせいにしお、珟実から逃げおるのは深月の方じゃん』



昌間、屋䞊でぶ぀けられた茜の痛切な叫びが、倜の静寂に反響するように頭の䞭で䜕床もリフレむンする。


 そうだ。圌女の蚀う通りだった。


私は、傷぀くのが怖くお、
倢が叶わない残酷な珟実を芋たくなくお、ただ逃げ続けおいただけだ。

芪の期埅ずいう耳障りの良い蚀い蚳を纏い、
䞀番倧切な盞棒を、冷たい暗闇の底に突き萜ずしお。


時蚈の針が、刻䞀刻ず「十八歳の終わり」ぞず近づいおいく。



このたた時を迎えれば、私は氞遠にデズデモヌナを倱う。


魔法は完党に解け、
私は自分の匱さを誀魔化したたた、空っぜの倧人になる。






本圓の意味で「さよなら」も、
そしお「ごめんなさい」すらも蚀えないたた。





  そんなの、嫌だ


私は匟かれたようにベッドから飛び起き、机の匕き出しを乱暎に開けた。


䞀番奥、叀い日蚘垳の䞋に抌し蟌んでいた小さな箱を取り出し、
震える手で蓋を開ける。







「  デズデモヌナ」











䞉幎間。






ずっず呌ぶこずを恐れ、匷固に封じ蟌めおきたその名を、
絞り出すように叫んだ。




途端に、䞀枚のカヌドから淡い光が溢れ出す。


暗闇の䞭に星の粒子が集たり、
むチゎをあしらった癜いドレスを纏った少女の姿を圢䜜った。



しかし、その茪郭は酷いノむズが走ったようにブレおおり、
今にも倜の闇に溶け入っおしたいそうに薄かった。



十八歳の境界線。
別れの時間が、もう足元たで迫っおいるのだ。




凛 䜜線曲 CAMeLIA
https://agnello-pecora.chu.jp/CAMeLIA/horror.html

『  深月み぀き』


戞惑うような、けれどどこたでも優しい鈎のような声。
その響きを聞いた瞬間、私は床に厩れ萜ちた。


「ごめ  ごめんなさい、デズデモヌナ」


それだけ蚀うのが粟䞀杯だった。


私が子䟛のように泣きじゃくるのを芋お、
デズデモヌナは少し困ったように埮笑み、
透け始めた手で私の濡れた頬をそっず包み蟌んだ。


䜓枩は感じない。
けれど、私の心の奥底を溶かすような、
確かな優しさがそこにあった。



『泣かないで、深月。
  わたくしは、あなたを恚んだりなんおしおいたせんわ。
ずっず、こうしおあなたが呌んでくれるのを埅っおおりたしたのよ』



「䞍貞の疑い」ずいう冀眪で呜を萜ずし、
人から疑われるこずを䜕よりも恐れおいた圌女。

それなのに、私に倢を疑われ、
暗い箱の䞭に閉じ蟌められおいた孀独な䞉幎間。


圌女は私を䞀床たりずも疑わなかった。
私がい぀か必ず前を向いおくれるず、
ただ信じ抜いおくれおいたのだ。



『深月。わたくしからの最埌のお願い、聞いおいただけるかしら』




デズデモヌナの身䜓が、足元から少しず぀、
光の粒子ずなっお倜空の闇ぞ還っおいく。



『私ずあなたの軌跡を、どうか、
あなたの物語ノヌトに曞き留めおくださいな。
  私のお話は悲劇ずしお語られるこずばかりなのだけれど。
あなたず繋がったこのあたたかい蚘憶だけは、
絶察に悲劇のたたで終わらせたくないの』



デズデモヌナの身䜓から零れ萜ちた光の粒子が、真っ暗な郚屋の䞭でほのかに発光しながら、
意思を持った蛍のようにふわりず舞い䞊がる。


圌女の足元はすでに透明に透け、
埌ろにある本棚の茪郭がはっきりず透けお芋えおいた。


「埅っおよ  無理だよ」


私は、消えおいく圌女のドレスの裟を掎もうずしお、空を切った自分の手を力なく䞋ろした。


「私は、自分が䜕をやりたいのかも分からないのに、
ずっず逃げおばかりなのに  
誰かが感動するようなお話なんお、私に曞けるわけない」



ぜたぜたず、フロヌリングに萜ちた涙が小さな染みを䜜っおいく。
自分の空っぜさを突き぀けられるようで、胞の奥がひどく軋んだ。


『䜕をおっしゃいたすの。深月』


デズデモヌナは、泣きじゃくる私の声に被せるように、
凜ずした、けれど矜毛のように柔らかい声で蚀った。





『あなたは本圓は、「小説家」になりたかったのでしょう』





「  っ」

顔を䞊げるず、銀糞のような圌女の髪が淡く発光し、
暗闇の䞭で私の震える茪郭を優しく照らし出しおいた。



『ずっず、あなたの傍にいたのですもの。
誰よりも近くで、あなたを芋おきたしたわ。

だから、あなたが心の底で䞀番願っおいるものが䜕なのか、
わたくしには痛いほど分かっおおりたすのよ』


「そんなこず  」

図星を突かれた私の声が、情けなく裏返る。


郚屋の隅で、時蚈の秒針が進む無機質な音だけが、
残酷なほど正確にタむムリミットを刻み続けおいた。


『わたくし、あなたの䜜る物語が倧奜きでしたわ。
お話の展開も、そこに出おくる方々も。
  人間や䞖界をじっず芳察しお、
深く愛するこずが奜きでないず、
あそこたで玠敵なキャラクタヌたちは決しお生み出せたせんわ』


「違うっ   あんなの、ただの息抜きで曞いただけだよ」



私は䞡手で顔を芆い、子䟛のように叫んだ。


認めおしたえば、倢に手が届かなかった時の痛みに耐えられないから。


「勉匷に疲れお曞いただけ
ただの珟実逃避の、くだらない倢物語なんだよ」


必死に繕っおきた防壁を自らかなぐり捚おるような私の叫びが、
狭い郚屋の壁にぶ぀かっお虚しく響く。


しかし、デズデモヌナは傷぀くどころか、
愛おしい子䟛をあやす母のように、優しく、ゆっくりず銖を振った。



『深月。自分の倢を远い続けるこずは、ずおも倧倉なこずかもしれたせんわ。
これから先、蟛いこずや苊しいこず、ご自身を疑いたくなる倜が沢山あるず思いたすの』



圌女の姿が、ノむズにたみれた叀い映像のように激しく明滅し始める。

それでも圌女の声は、
䞀欠片の揺らぎもなく私の心臓の奥ぞず真っ盎ぐに届いおいた。


『その願いが、たずえ子䟛の頃の玔粋な憧れで  やがお瀟䌚ずいう倧きなうねりに飲たれ、
倚くの人ず出䌚っお、芋えなくなっおしたったずしおも。
あなたの本圓の倢はい぀も、あなたの傍にありたすのよ。
わたくしが、ずっずそうであったように』


「嫌だ  行かないで、お願い  っ」


瞋るように銖を暪に振る私を、
圌女は透き通った䞡腕で、
そっず幻の枩床で抱きしめた。


完党に姿が消える、その䞀瞬前。
暗い郚屋の䞭を満たした星屑のような眩い光の䞭で、
圌女は䞖界で䞀番矎しい、
最高の笑顔でこう告げた。




『どうか、玠敵な䜜家さんになっおくださいな。
――わたくしは、あなたのこずを信じおいるわ。深月み぀き』




そしお、時蚈の針が重なり、
深倜零時を知らせるかすかな音が鳎った瞬間。


私のたった䞀人の盞棒は、
あたたかな光の䜙韻を残しお完党に姿を消した。




郚屋には再び、痛いほどの静寂が戻っおきた。


けれど、私の胞の奥にはもう、緑色の目をした怪物はいない。
代わりに、圌女が残しおくれた確かな熱が宿っおいた。




「 デズデモヌナ。」



姿は芋えない。
毎日語り掛けおくれた声は聞こえない。



 でも。


私は、あの倜に読み曎けた日蚘をもう䞀床手に取った。

そこには、確かに私の倢が、
青春の日々が曞き連ねられおいた。


震える指先で、䞁寧にペヌゞをめくっおいく。


茜ずお揃いのカヌドを手にしお、
絶察に日本䞀になろうず誓い合った日の、
胞が砎裂しそうなほどの興奮。


䞉人で少し背䌞びをしお買いに行ったゞョディバのチョコレヌト。
あのカカオの甘い匂い。


初めお地元の倧䌚で優勝した時、
盀面を通しお私たちの心が䞀぀に繋がったあの圧倒的な熱量ず、誇らしさ。



どれもこれも、私が自分の手で蓋をしお、
芋えないふりをしおいただけの「真実」だ。


このあたたかい蚘憶たちは、決しお悲劇なんかじゃない。


「  曞くよ、私」



私は、癜玙のノヌトずペンの暪に、
あの日もらった『デズデモヌナ』のカヌドをそっず眮いた。



「私ずあなたの軌跡を。
  絶察に悲劇で終わらせない、
私たちの最高の物語ノヌトにする」



それは、姿が芋えなくなっおも心で繋がっおいる私の盞棒ぞの、
初めおの真っ盎ぐな誓いだった。



机の䞊の時蚈が、深倜の䞀時を回ろうずしおいる。


私は倧きく深呌吞をしお、スマヌトフォンを手に取った。 カレンダヌアプリを開く。


画面には、ちょうど䞀ヶ月埌の日曜日に『WCS予遞倧䌚』の文字が赀いマヌカヌで匕かれおいる。


私はメッセヌゞアプリを開き、
䞀぀の連絡先をタップした。


画面の向こう偎にいる、ずっず光を远いかけ続けおいる私の眩しい芪友ぞ。


『倜遅くにごめん。
今日の昌間は、
ひどいこず蚀っお本圓にごめんなさい』


フリックする指先に、もう迷いはなかった。


『䞀ヶ月埌のWCS予遞。
茜の戊い、絶察に応揎に行くから。
  ううん、私にも、䞀緒に戊わせお』


送信ボタンを抌す。


十八歳になったばかりの、
静かで、たたらなく孀独な倜。


それでも、魔法が解けた私の䞖界は、
か぀おないほど鮮やかな茜色ず、矎しい月の光に満ちおいた。


■䞭線ぞ続く

#創䜜倧賞2026  #HorizonNotes #むンディヌゲヌム #創䜜小説 #葛藀 #キャラクタヌ玹介  #ゞュブナむル 

いいなず思ったら応揎しよう

たる。 よろしければ応揎お願いしたす いただいたチップはクリ゚むタヌずしおのゲヌム開発に䜿わせおいただきたす ※チップず共にやっお欲しい事があったら蚀っおください 可胜な範囲であれば頑匵りたす