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Photo byhidemaro2005

本屋から出て、お婆さんを拾った
髪の毛や服装から
認知症のかたが、家から脱出してきたのが見て取れ
お家を尋ねると
「駅と幼稚園の近く」

地理的に検討がついたのだが
「A駅ですか?」念の為に聞き
「きさらぎ駅」
2ちゃんねるの住人なら、聞き返す恐怖ワード
「きさらぎ駅」

「きさらぎ駅はどこですか?」「山口」
山口?どこの山口? きさらぎ駅があったかいね
スマホで検索しても出てこない

嫁に捨てられた、孫の進学先へ掃除に来た
孫に捨てられた、嫁が迎えに来ない

警察署までの道中、言い分がコロコロ変わり
でも「きさらぎ駅」だけは変わらない

警察署に到着して、お婆さんを預ける
「きさらぎ駅はどこですか?」
警官に訊かれるわたしも、知るわけない

警官3人とわたしが、お婆さんの持ち物を確認する
古くて汚れたペットボトルやお弁当の空
皺で固まったポケットティッシュ
身分証明書や財布がなかった

お婆さんを警察署に引き渡して1週間
お婆さんが行方不明者名簿に載ることはなく
結局、どうなってしまったのかも分からぬまま
「きさらぎ駅」だけが
わたしの新しいローカル伝説になった


 
人の淋しさは対象によって癒される、淋しさ わたしの淋しさは 万物でも癒されない定めの淋しさ 手に握る砂が指から零れてしまう 狂人には沈黙を、佳人には微笑みを わたしはわたしの道を歩んでいるだけなのに ©️ももまろうめこのnoteは私に著作権があります 無断転載禁止です

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