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Photo byhidemaro2005

論破より理解、勝ち負けより敬意

    「話が通じない人」の正体は、『勝ちたい人』

     SNSや日常で「この人、話が通じないな」と思う間合いがある。
     最初は、自分の説明に工夫が足りなかったのかな、と反省する。

     でも再度同じことが起きたとき、気づくの。
    相手は話を聞いていない。
     再度聞かなくても、噛み合わないから薄々気づく。

     理解できないんじゃなくて、勝ちたいから通じない。会話の目的が共有ではなく、支配にすり替わっている。
    「自分は正しいんだから聞け」と。

     これって、相手の言葉を聞いているようで、実は勝機を探しているだけ。
    それが昨今の議論の正体かもしれない。

     「勝つ=頭がいい」「負ける=頭が悪い」
    そんな構図があるのか、勝ち負け意識が強い人ほど、相手の話を途中で切る。

     聞いているようで、反論の準備をしている。
    結果、言葉のキャッチボールではなく、ドッヂボールになってしまう。

     論破欲の強い人は、相手の主張を部分的に切り取り、論点をすり替える。

     論理的に見せかけた詭弁や、オウム返しの優位取りで「勝った」と思っている。
     でもそれ、対話が成立していない時点で実質『負け』なの。
     頭がいいどころか、話の筋を理解していない人に見えてしまう。

     たとえば、
     A「女性初の総理、すごいね」
     B「おい、コラ!ネトウヨ!」

     A「夫婦別姓の議論はどうなるのかな」
        B「パヨパヨチン」

    ……えっと、人の話、聞いてましたか?

    職場でも。
     A「この資料、締切までに間に合いますか?」
     B「君さぁ、いつもネガティブだよね。俺ができるって言ってるだろ!」

    家族でも。
     A「最近、物価上がってキツイよね」
     B「お前は金遣いが荒いからだろ! 俺なんか若い頃は……」

     なぜ、人はそこまで勝ちたがるのだろう。
    勝ち負けがないはずの会話にも、勝敗を持ち込みたがる。

     もしかして、「自分が間違っていない」と確認したいのだろうか。
    批判に耐えるより、論破で防御するほうが楽だから。本当は理解されたいだけなのに。

     でも理解されるより勝つほうが即効性があって、気分がいい。
    ……なんか、面倒くさいね。

     勝ち負けに囚われた心は、会話の目的を真理の探求から優越感の獲得へとすり替える。
     論理の穴を指摘されても認めず、感情的または無理筋で押し切る。

     聞いているほうは、頭の中に「???」が浮かんでいる。
    「ねぇ、人の話を聞いてる?」って。

     相手の意見の良い点を認める謙虚さがない。
    聞いている側からは、ただの自己主張の独演会にしか見えない。

     褒められたい、認められたい。
    「あなたってすごい!」
    「あなたって本質わかるね」
    そんな言葉が欲しいだけなんじゃないの?

     おそらく自己肯定感の低さを、他人の承認で埋めたいのだろう。
     だから、聞かれてもいない自慢話が多くなる。
    そして相手が白けると「嫉妬された」と言い出し、人が離れると、嫉妬されるほど優れていると思い込み、孤立していく。

     対話って、本当の知性って、勝たない気概だと思う。
     どれだけ相手の話を傾聴できるか。
    どんな鋭い質問で相手の思考を照らせるか。
    それが知性の美学よ。

     相手をねじ伏せるより、相手の前提を理解しにいくこと。勝ちたい人ほど、自分は話が通じない人間と念頭に置いて、対話とは翻訳と敬意の積み重ねだと意識する。

     理解は媚びることじゃないからね。
    自分の意見を言わないというのでもない。
    理解は自分と相手の共通認識を確認する行為。

     議論を制するより、相手を理解するほうがずっと難しい。でもそれこそが、知の成熟。
     自分の間違いを認める謙虚さと、相手を尊重する誠実さ。その上に知性は立っている。

     論破したい人に決定的に欠けているのは、謙虚さ。だから、議論が独善的なゲームに変わってしまう。
    そう気づくことが、対話の第一歩なんだと思う。


     
    人の淋しさは対象によって癒される、淋しさ わたしの淋しさは 万物でも癒されない定めの淋しさ 手に握る砂が指から零れてしまう 狂人には沈黙を、佳人には微笑みを わたしはわたしの道を歩んでいるだけなのに ©️ももまろうめこのnoteは私に著作権があります 無断転載禁止です

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