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Photo byhidemaro2005

誰が猫は冷たいと言ったんだろう

    『トムとジェリー』は、再放送で繰り返し観た
    トムのマヌケっぷりとジェリーのあざとさは
    マンガの世界だからと
    こしゃまくれた、わたしは思った

    奈々が家に来た時
    わたしは簡素な刑務所部屋で、ネズミを飼っていた

    動物実験で使うネズミは、手のひらより大きく
    名前を呼べば、のこのこやって来る程、頭が良い
    部屋へ放しても、律儀にトイレはケージへ戻り
    二本足で立つ時は、お腹を空かせて米をせがんだ

    そんな賢いネズミだから
    仔猫の奈々なんぞは、オモチャにしかない

    もとより、ネズミは奈々より身体が大きい
    窮鼠猫を噛む
    ネズミの長いしっぽにまとわりつく、奈々
    その度、ネズミから威嚇されて萎縮するネコ

    ネズミのケージを掃除するのに
    二匹を一緒にすると、ネズミが強くて
    「お願いします、檻に入れてください」とばかりに
    奈々がケージに入ろうとした

    「イヤなんです〜」奈々の声が聞こえそうだった

    ネズミは2年飼っており、寿命が短い
    やがて天からお迎えが来た

    次第に硬く冷たくなるネズミに奈々は寄り添う
    動かないネズミにゴロンと転がって
    無邪気に親愛の情を見せていた

    「なっちゃん。ブタ子、死んじゃったよ」
    ネズミに被さって離れない奈々を
    誰が猫は冷たいと言ったんだろうと思い、見ていた

     
     
    人の淋しさは対象によって癒される、淋しさ わたしの淋しさは 万物でも癒されない定めの淋しさ 手に握る砂が指から零れてしまう 狂人には沈黙を、佳人には微笑みを わたしはわたしの道を歩んでいるだけなのに ©️ももまろうめこのnoteは私に著作権があります 無断転載禁止です

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