
Starlinkだけじゃない。低軌道衛星通信の現在地
Amazon Leo・OneWeb・Telesat・中国勢を徹底比較
「衛星インターネット」と聞くと、まず思い浮かぶのはStarlinkではないでしょうか。
実際、現在の低軌道衛星(LEO)通信市場ではStarlinkが圧倒的な先行者です。
しかし、2026年に入って状況が変わりつつあります。
Amazonの「Amazon Leo(旧Project Kuiper)」が本格展開を始め、OneWebは法人・政府向けサービスを拡大。さらにTelesatや中国勢も大規模なLEO衛星コンステレーションを構築しています。
つまり今後は、
«「衛星通信=Starlink」»
ではなく、
«「複数のLEO衛星通信サービスから用途に応じて選択する時代」»
へ移っていく可能性があります。
今回は、主要なLEO衛星通信事業者の現状と、今後のサービス開始時期を整理します。
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1.そもそも「低軌道衛星」とは?
LEOとは、
Low Earth Orbit(低軌道)
のことです。
一般的には地球から数百~2,000km程度までの低い軌道を飛行する人工衛星を指します。
従来の衛星通信では、赤道上空約36,000kmの静止衛星が多く使われてきました。
一方、LEO衛星は地球に近いため、
- 通信遅延が小さい
- 高速通信に向いている
- 多数の衛星を組み合わせることで広い地域をカバーできる
という特徴があります。
その代わり、1機の衛星が見える範囲が狭いため、**数百~数千機の衛星を組み合わせる「衛星コンステレーション」**が必要になります。
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2.現在の主役はStarlink
まず現在の主役は、間違いなくSpaceXのStarlinkです。
Starlinkは2019年から衛星打上げを本格化させ、現在では世界規模でサービスを展開しています。
特徴は何と言っても、
衛星数・打上げ能力・サービス展開速度
です。
SpaceXは自社のFalcon 9ロケットを利用できるため、衛星を大量かつ継続的に打ち上げられることが大きな強みです。
さらに、
- 一般家庭
- 法人
- 自治体
- 建設現場
- 船舶
- 航空機
- 災害現場
- 移動車両
など、幅広い用途に対応しています。
現在のLEO衛星通信市場を理解するうえでは、
«「Starlinkが基準値になっている」»
と考えてよいでしょう。
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3.OneWebは「法人・政府向け」で強い
Starlinkの対抗馬として、すでに実用化されているのがEutelsat OneWebです。
OneWebはStarlinkとは少しビジネスモデルが異なります。
Starlinkが、
個人+法人+政府+移動体
と幅広く展開しているのに対し、
OneWebは、
法人・政府・通信事業者
を強く意識しています。
日本でも法人向け衛星通信サービスへの活用が進んでいます。
例えば、
- 山間部
- 離島
- 海上- 通信インフラが整備しにくい地域
- 災害時の通信
などです。
そのため、
«Starlink=汎用衛星インターネット»
«OneWeb=法人・政府・通信インフラ»
という違いで理解すると分かりやすいでしょう。
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4.Amazon Leoが本格参入
そして今後、最も注目したいのがAmazonです。
以前は「Project Kuiper」と呼ばれていた衛星通信事業が、現在は、
Amazon Leo
という名称になっています。
Amazonは数千機規模の衛星コンステレーションを構築する計画です。
2025年から衛星の本格配備を開始し、2026年中の初期サービス開始を目指しています。
Amazon Leoが注目される理由は、単純に「Starlinkの競合だから」ではありません。
Amazonには、
AWS
という世界最大級のクラウド基盤があります。
つまり将来的には、
衛星
↓
Amazon Leo
↓
地上ネットワーク
↓
AWS
という連携が考えられます。
これは企業や自治体にとって非常に大きな意味を持ちます。
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5.Amazon Leoの端末も興味深い
Amazonは用途に応じた複数のユーザー端末を計画しています。
代表的なものとして、
- Leo Nano
- Leo Pro
- Leo Ultra
などがあります。
上位端末では非常に高速な通信を想定しており、最大1Gbps級の通信も掲げています。
もちろん実際の通信速度は、
- 利用地域
- 混雑
- 電波環境
- 端末
- 契約プラン
などによって変わります。
しかし、
«「衛星通信=低速」»
という時代から、
«「衛星通信でも高速ブロードバンドが当たり前」»
という時代に変わりつつあることは重要です。
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6.日本ではNTTグループの動きにも注目
Amazon Leoについて、日本国内で特に注目したいのがNTTグループです。
2026年にはNTTグループがAmazon Leoとの再販事業者契約を締結しました。
これは日本の企業・官公庁にとって重要な意味を持ちます。
衛星通信は、
「海外サービスを直接契約して使う」
だけではなく、
国内の通信事業者・SIer・ネットワーク事業者を通じて導入する
という方向へ進む可能性があります。
自治体の防災通信を考える場合、この点は非常に重要です。
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7.Telesat「Lightspeed」は政府・法人向け
もう一つ注目したいのが、カナダのTelesatです。
サービス名称は、
Lightspeed
です。
Starlinkのように何千機もの衛星を打ち上げる方式とは異なり、比較的少数の高性能衛星によって、
- 法人
- 政府
- 防衛
- ミッションクリティカル通信
などを狙っています。
現在の計画では、
2028年第1四半期
のグローバルサービス開始を目指しています。
また、北極圏などの厳しい環境における政府・軍事通信への活用も進められています。
つまり、
«Starlinkが「広く大量に」»
なのに対して、
«Telesatは「高性能・高信頼・政府/法人」»
という方向性です。
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8.Rivada「Outernet」という別のアプローチ
少し変わった存在がRivada Space Networksです。
同社が計画しているのが、
Outernet
です。
特徴は、衛星同士をレーザー通信で接続すること。
通常の衛星通信では、
衛星
↓
地上局
↓
インターネット
という経路を使います。
これに対して衛星間レーザー通信を使えば、
衛星A
↓
衛星B
↓
衛星C
↓
地上局
というように、宇宙空間そのものをネットワークとして利用できます。
これは、
- 国際通信
- 金融
- 政府
- 防衛
- 海上通信
などで大きな可能性があります。
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9.中国も大規模展開
そして忘れてはいけないのが中国です。
中国では、
Guowang(国網)
や、
Qianfan(千帆)
などの大規模LEO衛星計画が進んでいます。
計画されている衛星数は非常に多く、両計画を合わせると数万機規模です。
これは単なる通信サービスではなく、
- 通信インフラ
- 国家安全保障
- 軍事
- 海外展開
- デジタルインフラ
などを含めた国家戦略として見る必要があります。
現時点では、日本の一般ユーザーがStarlinkのように利用できるサービスとは性格が異なります。
しかし、今後の世界の衛星通信市場を考えるうえでは非常に重要な存在です。
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10.主要LEO衛星通信を比較

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11.今後の競争は「通信速度」だけではない
LEO衛星通信というと、
「何Mbps出るのか?」
に注目しがちです。
しかし、今後重要になるのはそれだけではありません。
特に重要なのが、
① 通信の冗長性
地上の光回線が切れても通信できるのか。
② 災害耐性
地震・津波・台風・土砂災害などで地上設備が被災したときに使えるのか。
③ 移動体対応
車両・船舶・航空機で利用できるのか。
④ 衛星間通信
衛星同士をレーザーなどで接続できるのか。
⑤ Direct-to-Device
専用アンテナなしでスマートフォンと直接通信できるのか。
⑥ 国内サポート
日本国内で誰が販売・設置・保守するのか。
⑦ クラウドとの連携
AWSなどのクラウドサービスとどのようにつながるのか。
これらが重要になってきます。
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12.そして「衛星からスマートフォン」へ
LEO衛星通信は、もう一段階先へ進もうとしています。
現在のStarlinkのイメージは、
衛星
↓
専用アンテナ
↓
Wi-Fi
↓
スマートフォン
です。
しかし将来的には、
衛星
↓
スマートフォン
という通信が可能になります。
これが、
Direct-to-Device(D2D)
です。
スマートフォンが衛星と直接通信できれば、
「携帯基地局がない場所でも通信できる」
という世界が実現します。
山間部、離島、海上、災害地域などでは非常に大きな意味があります。
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13.防災通信はどう変わるのか
ここからが個人的に最も注目しているところです。
自治体の防災通信を考えてみます。
これまでは、
光回線
↓
携帯電話網
↓
衛星通信
というように、衛星通信は「最後の手段」という位置付けでした。
しかし今後は違ってくる可能性があります。
例えば、
平常時
光回線
↓
光回線障害
5G・LTE
↓
携帯基地局も被災
Starlink
↓
Starlinkが利用できない場合
Amazon Leo
↓
さらに別系統
OneWebなど
という、
複数の通信経路を組み合わせる「通信冗長化」
が可能になります。
これは自治体の防災情報システムにとって非常に重要です。
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14.「Starlinkを入れれば終わり」ではない
ここは特に強調したいところです。
Starlinkは非常に優れたサービスですが、
«Starlinkを導入したから防災通信は万全»
ではありません。
なぜなら、
- 衛星サービスそのものの障害
- アンテナ故障
- 電源喪失
- 設置場所の問題
- 見通しの問題
- 混雑
- 契約条件
- 災害時の運用体制
などがあるからです。
そのため、本当に重要な防災拠点では、
複数の通信経路を持つ
ことが重要になります。
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15.2026~2030年は大きな転換期
今後の流れを簡単に整理すると、
~2025年
Starlinkが圧倒的に先行。
↓
2026年
Amazon Leoが本格参入。
OneWebも法人・政府向けで展開。
↓
2027年以降
Amazon Leoの衛星数増加。
D2Dなど新しいサービスが拡大。
↓
2028年
Telesat Lightspeedもサービス開始予定。
↓
2030年前後
Starlink、Amazon Leo、OneWeb、Telesatなどが競争。
さらに中国勢も大規模展開。
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まとめ
低軌道衛星通信は、すでに「未来の技術」ではありません。
Starlinkによって、
衛星通信を普通のインターネット回線として利用する
ことが現実になりました。
そしてこれから、
Starlink
↓
Amazon Leo
↓
OneWeb
↓
Telesat
↓
その他のLEOコンステレーション
と、競争が激しくなっていきます。
さらに、
専用アンテナ型通信
から、
スマートフォン直接通信(D2D)
へ進化していく可能性があります。
特に自治体や防災分野では、
«「衛星通信を導入するか?」»
ではなく、
«「地上通信・携帯通信・複数の衛星通信をどう組み合わせて、災害時にも通信を維持するか?」»
という視点が重要になるでしょう。
Starlinkは、その始まりにすぎないのかもしれません。
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参考にした主要情報源
・SpaceX / Starlink
・Eutelsat / OneWeb
・Amazon / Amazon Leo
・NTTグループ
・Telesat / Lightspeed
・Rivada Space Networks
・Reuters等の報道
※サービス開始時期や衛星数などは計画変更される可能性があります。衛星通信サービスを実際に導入する場合は、各社の最新の公式情報をご確認ください。