
ふふふな気分
地下鉄を降りて改札へ向かうエスカレーター。
その天井を今日、初めて見た。
そのきっかけをくれたのは、エスカレーターで一段あけて前に乗っていた男性だ。
足元は、ボートシューズなる紺と白のオシャレな靴だった。
思わず、調べてしまった!
そこから、さらに上に目線を上げる。
ズボンは、綿の黒のカーゴパンツ。
ダボっと履いている。
その腰にそっと左手を当てていた。
さらにもう少し頭を上げて、見てみた。
紺色のポロシャツ。
裾が少しひらひらっとしている。
右肩には、白のトートバッグ。
そして、頭に目がいった。
あぁ。
そうして、顎を上げて、天井を見た。
なぜ、上を見上げたのか。
自分でもわからないが…。
だが、しかし……。
そこには、小宇宙が広がっていた。
さわやかなエメラルドグリーンの天井。
LEDライトがUFOみたいで。
こんなにも身近で、毎日のように利用していたのに、上を見たことなんてなかった。
エスカレーターで前に乗った人が
目が釘付けになるような赤ちゃんでも、
オーラを放つような美男美女でも、
小宇宙へは、繋がらなかっただろう。
この男性が私の前に乗ってくれたからこそ、出会えた小宇宙。
一瞬の前後の関係。
私しか、意識していない、なんとも不思議な小さな出会い。
勝手に出会いとしてしまった、この出会い!
こんな独りよがりの出会いから二つもの収穫があった。
オシャレなローファーと思っていた靴がボートシューズというジャンルだという知識を得た。
そして、思いもよらない所で、思いもよらない小宇宙に出会えた。
なんだか、「ふふふ」な気分で仕事に向かえた。
いやぁ、なんとも、ふふふだなぁ……。