
そよ風日記_蜘蛛の糸_20250922
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田舎育ちの私は
幼い頃、山や川へ行って
たくさんの虫や水生生物を捕まえた。
そして、ちゃんと世話もできないまま
命を奪ってしまうということを
毎年のように行っていた。
小学校中学年になり
戦争の話を聞いたり読んだりする
うちに、自分が昆虫たちにしてきた
ことがとても恐ろしくなって
小さな命と関わることをやめた。
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あの頃の罪の意識はなかなか消えず
今も家の中に現れた虫は
ティシュでつまんで外に逃すか
そのままにしている。
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私の主人は雪国の生まれで
虫との接触が極端にすくなかったので
小さな虫も大きな虫もとても嫌いである。
部屋で虫を見つけると
私に処理するようにいうのだが
何度も伝えて、外に逃すことを
認めてもらえるようになった。
蜘蛛に関しては、
「家の中の小蝿などを取ってくれるから」
と説得して外に出さないことも了承済みだ。
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過去の罪悪感は消えないものの
これまで救ってきた蜘蛛や小虫の
数は小学生時代以来、かなり多い。
そういうわけで私はいつも
芥川龍之介の「蜘蛛の糸」を夢想する。
私が地獄に落ちた後、天から一筋の糸が。
しかも何匹も救っているので
糸が束になって縄か、綱のように丈夫な
ものが垂れてくるのではないか、などと
強欲なことを思ったり。
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先日、家で夫婦で食事をしていて
蜘蛛が登場し、私は思わず、大声をあげた。
生き物や虫になれた私だがこの時は
かなりの驚きだった。
天井から糸で降りてきた蜘蛛が
まっすぐ私のご飯茶碗の中に入ったのだった。
幸い米のないところに着地したので
丁寧につまんでこのときばかりは
屋外に退出いただいた。
それから、
「ちょっと早い、今じゃない」
と思ったりした。
地獄に落ちてからじゃないと。
私は結構潔癖なところがあるので
以前なら残り少しだった白飯を
捨てていたとおもうが
茶道をはじめて以来、
限られた素材を大切にいただくことを
何度も教えていただいていたので
蜘蛛のことをなるべく考えないようにして
残りの白飯を口に押し込んだ。
(完)