メインコンテンツへスキップ
見出し画像

坂の上の図書館 #50 坂の上の図書館

    よく晴れた朝だった。
    昨夜の余韻を胸に、私は図書館へ続くゆるやかな坂道を上っていた。

    ふと見上げると、一枚の枯葉が風に乗って舞い落ちてきた。
    秋も少しずつ深まっているらしい。

    図書館の玄関に立つ。

    小さな眼鏡職員は本を配架し、
    係長は新聞を入れ替え、
    司書リーダーは今日の予定を確認していた。
    花壇では、もんげーじいちゃんがもう庭仕事を始めている。

    いつもの朝だった。
    皆が私に気づく。

    「館長、おはようございます」
    「よろしくお願いします」
    声が重なる。

    私は静かに手を振った。
    そして今日も、坂の上の図書館の一日が始まる。
    (完)


     
     
    坂の上にある小さな図書館で働く館長。 本棚のあいだで起こる出来事や、静かな仕事のことを書いています。 日記のような記録、あるいは少しだけ物語。

    あなたへのおすすめ