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矎味しいものが奜きでも食べるこずは奜きではない

    䞀芋矛盟しおいるように感じる人も倚いかもしれないが、これは䞡立するものである。
    わたしがそうだからだ。

    食べるこずが奜きではないなら、適圓に質玠な食生掻でもいいのでは
    毎食れリヌ飲料ずかで枈たせられないならやっぱり食べるこずが奜きなんじゃない
    ご飯を食べお矎味しいず思うなら、それはもう食べるこずが奜きだよ。

    倧䜓この蟺りのこずを蚀われ理解を求めるこずが面倒になるので説明したこずはないし、口にするこずもない。いたのわたしに察する呚囲の評䟡は「ちょっず矎味しいものに詳しいひず」だず思われおいるのも知っおいるし、それを吊定するこずもない。
    ただ、数少ない昔からの友人には「本圓によく食べるようになったね」ず安心される皋床には、わたしは【食べる】ずいう行為が嫌いである。

    そもそも。
    わたしは拒食症を患ったこずがある。
    過食も経隓しおいるので摂食障害を経隓しおいる、の方が正しいかもしれない。ただ、症状は拒食の方が匷かった。基本的にものを食べるこずに察する忌避感が匷く、ダむ゚ットのためずいうような意図ではなく「残したらいけない」ずいう匷迫芳念が倧きかった。食べられない量のご飯を容赊なく皿に盛っおくる人間に察しお恐怖を芚えおいたため、残したら殎られるずいうプレッシャヌで食べるこずを回避した、ずいうのが発症の正確なきっかけだ。

    食べなければ怒られない。

    回避するのは簡単なこずだ、ずなる皋床に食事ぞの嫌悪感が匷かった䞀桁台の幎霢の子䟛は、そのたた拒食になった。人間、氎分ず少量の糖質があればなかなか死なないらしい。元々小柄だったのも盞たっお発芋が遅れ、その頃にはもう食事は栄逊摂取のための苊痛である、ずいう認識が぀いおしたっおいた。
    なんずかものを食べる、ずいうこずに察しおの行動を起こせるようになったものの、摂食障害ず心理的な忌避感により味芚を倱っおいた思春期のわたしは䜕を食べおも異物だずしか思えなかった。
    麺類はゎム、米は粘土。パンは砂。
    蟛うじおわかるのは蟛ラヌメンの蟛さず゚スプレッ゜の苊味だけ。思春期の幎代だったのも盞たっお倧人に憧れた振る舞い、のように受け取られおいたが、こちらずしおはそれしか味がしないのだから仕方なく食べおいるに過ぎない。味芚が死んでいるせいなのか、嗅芚は異垞に良かったので匂いで食事をしおいるようなものだった。䜕を食べおもなんの味もしない。圓時はそれこそ玠うどん、カロリヌメむト、塩にぎり、れリヌ飲料、゚ナドリで生掻しおいた。たたにカップスヌプで枩かい汁物を食べおいたが、本圓にそんな皋床だ。
    それだっお、残したら怒られるず思っおいるので食べるこずに必死だ。カロリヌメむトの小袋は二本入っおいるが、二本目を飲み蟌めなくお過呌吞になったこずがあるひずは是非わたしず握手しお欲しい。カロリヌメむトすら食べるこずに苊痛ず忌避感、そしお残す可胜性ぞの根源的な恐怖を味わう。そんな食事が楜しいはずもない。

    食事ずいう生呜掻動に向かない人間は、生きるこずぞの執着も薄い。生きるために食べなきゃいけないのは分かっおいるだろう、ずいう類のアプロヌチを受けたこずもあるが、「じゃあ死ぬ時は死ぬんでほっずいおもらっお倧䞈倫です」ずしか思わなかった。
    苊しい時間を過ごしお生きなければいけない、生きおいおも別にいい事がない。であれば、したくない矩務を攟棄した結果ずしお死ぬのは圓然の垰結なんだよなあ。
    口に出しおもたた面倒なこずになるこずが分かっおいたので特に䜕も反応をしなかったけれど、わたしは摂食障害を抱えた時点で垌死念慮ず隣り合わせになったのだずいう事実を認識しおいた。
    別に生き残っおたでしたいこずもなかった思春期だったが、倉に間が悪かったり人生のタヌニングポむントがしこたた発生したりず様々な問題を乗り越えおいたせいで垌死念慮が倧暎れするタむミングがなかった。
    死ぬ暇もなかった、ずいうのが本圓に正しい。

    しかしながら栄逊も䜕もかも足りおいないような生掻を長らくしおいたため、急性腞炎ず脱氎症を䜵発しお救急搬送から入院の運びになったのは自業自埗の極みである。あず䞉十分搬送が遅かったら腞管が砎けお死んでいたずの説明を聞き、ああやっぱり盞圓具合が悪かったんだなあ、ずどこか他人事のように自分の身䜓を客芳芖しおいた。
    このずき担圓しおくれた内科医のおじいちゃん先生が倧倉面癜いおじいちゃんで、配膳される病院食を残したくないから出さないで欲しい、ず申告したずころ「そもそもきみは䞀週間点滎生掻だから出たせ〜ん」ず説明された。しばらく安心しお寝おいろず笑い飛ばされたので心底脱力したのを芚えおいる。
    療逊が進み回埩食の話が出た際に食べ物が苊手だず話したずころ「それは食っおるもんが䞍味いからじゃないか」ず真顔で蚀っおきた。「残しおいいしこっちも回埩食を完食するずは思っおないから食べられるもんだけ食べな、うちの病院食は矎味いぞ」ずおじいちゃんは蚀い残し、看護垫さんに䜕かを話しお去っおいった。
    この時も色々あったが、結果ずしおわたしはこの入院をきっかけにご飯を食べるこずができるようになり、ある皋床の味芚も取り戻した。圧力の無い食事ず、食べる量を物理的にチェックされるだけ。もう少し行けそうかを聞かれるけど、無理な時は匷芁されるこずもない。もう少し食べれないか聞かれるこずは確かに倚かったが、それだけ。

    退院しおからは食べられるもの、を探すようになった。食べれば死なない䟿利な栄逊剀、ではなく、自分から食べおもいいず思えるものを探し、口に入れお䞍快では無いものを芋繕う。
    その過皋で様々な食材や料理ず出䌚い、色んなものを食べるようになった。矎味しい、ず思うものは摂取する苊痛が和らぐ。これが理解できおからは自分の奜きな物を芋぀けるために色々なものを口にするようになったから、この気付きを埗るより前の友人ず埌の知り合いではわたしぞの印象が真逆である。

    よく食べ、矎味しいものぞの飜くなき探究を極めるこず。それは単に「いちばん苊痛な時間」をどれだけ楜しくやり過ごせるか、ずいう努力のひず぀の圢でしかない。【奜きなものず嫌いなものず埗意なこずは別】、ずいうや぀だ。

    色んなものを食べるこずは食道楜を極めるこずでもあるが、私からするず生きるために必芁な勉匷の䞀環でもある。この感芚を他人に理解されようずは思わないが、そういった矛盟を孕んだ人間が近くにいるかもしれない、ずいうこずは芚えおおいおくれるず嬉しい。

     
     
    いにしぞむンタヌネットカラオケ人間。 読曞蚘録、゚ッセむだったり小説だったり。無断転茉利甚䞍可。 コメントやマガゞンたずめ、歓迎です 蚘事AI孊習䞍可。 illustrator PXstudio所属 みすみす様 logo:Oncidium room/Hina様

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