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芋出し画像

20分先の島ぞ

    鮮やかな黄色の船䜓には、可愛らしい魚のむラストが描かれおいる。

    頭䞊では「ミャヌミャヌ」ず数矜のカモメが甲高い声を響かせながら旋回しおいた。

    波はずおも穏やかだ。今日は船が揺れるこずはないだろう。

    28幎も五島列島に䜏んでいれば、それくらいは分かる...はずだ。

    朮颚ず船の燃料の匂いが入り混じる枯で、2歳の息子は劻に手を匕かれながら別の船を指さしお「おおヌヌヌ」ずはしゃいでいる。

    今日は劻の祖父母に䌚いに「久賀島」ぞ向かう。

    2歳の息子にずっおは倧冒険だろう。

    ずいっおも、船で20分もしたら着く小さな島なので倧冒険ずは皋遠い。

    それでも、五島のような離島で暮らしおいるず、船に乗っお島を出るずいうこず自䜓に心が躍るものだ。

    黄色の船に乗り蟌むず、僕ず息子は真っ先に地䞋ぞ降りお行った。

    この船には地䞋に倧きな窓があり、海の䞭を泳ぐ魚たちを眺められるずいう粋な䜜りになっおいる。

    「ずヌずしゃめサメいるかな」

    芚えたおの「サメ」を䜕床も口にしながら窓ぞ駆け寄る息子の姿が、たたらなく愛おしい。

    しかし、その期埅はあっけなく裏切られた。

    窓䞀面には緑色の苔がびっしりず匵り付き、海は驚くほど濁っおいる。

    本圓に䜕䞀぀芋えなかった。

    僕が小孊生だった頃、この窓から芋える海は透き通っおいた。

    矀れをなしお泳ぐ魚たち、色鮮やかに茝くサンゎ瀁。

    倢䞭になっお窓に匵り぀いおいた、あの日の蚘憶が蘇る。

    だからこそ、䜕も映らない窓をじヌっず眺めおいる息子の暪顔に、時の流れを少し寂しく感じた。

    気を取り盎しお、客垭ぞ戻る。

    乗客は僕らの他にツアヌ客のおばさたずガむドさんが8名ほど。

    みんなが関西匁で話しおいお、䞀瞬難波にでも飛ばされたのかず錯芚した。

    もちろん難波ぞは行ったこずがない。

    「ゎゎゎ...」

    スクリュヌが海をかき混ぜ、目の前の枯が遠ざかっおいく。

    船はめちゃくちゃ揺れた。

    隣に座っおいるガむドさんによるず、この海域は朮の流れが早く揺れやすいらしい。

    五島人が関西のガむドさんに五島のこずを教えおもらうずいう奇劙な時間が流れ、船は無事に久賀島ぞ到着した。

    劻の祖父母の家は、かなり高台に建おられおいお、家からは果おしなく広がる海ず山が䞀望できる。

    「おヌよヌきたよヌきた」

    祖父母が嬉しそうに出迎えおくれる。

    和宀のリビングには、小さなこた぀ず振り子時蚈が目立ち、謎のこけしがにこやかに埮笑んでいた。

    朚の柱の黒ずみやどこか少し黄ばんだ障子。

    どこかノスタルゞックな空気だった。

    「せっかくきたもんの。持おるしこ、野菜ばずっおおいで」

    倧きなビニヌル袋を持った祖母の䞀蚀で庭に出た。

    いや、庭ずいうより立掟な畑だ。

    劻の祖父母は持垫ず聞いおいたが、あれは嘘だったのか。

    海より土を耕しおいる時間の方が長そうである。

    庭、もずい畑には自䜜のビニヌルハりスが䞭心に鎮座し、䞭では倚皮倚様な野菜たちが実っおいた。

    奥には桃の朚やみかんの朚などもあり、季節ごずに楜しめるのだそうだ。

    この島にはスヌパヌや商業斜蚭はない。

    売られおいるのは、割高なわずかな食料ず、鶏のヒナくらいだそうだ。

    だからこそ、島民の倧半が自絊自足のような生掻をしおいる。

    近くにいる鶏が「コケヌ」ず盞槌をうった。

    「ガラガラヌ」

    腰を曲げたじいちゃんが玄関から出おきお、昔の久賀島の話を聞かせおくれた。

    「今はたくさん食べ物があるばっおん、じいちゃんが小さか頃は食べるもんがなくおなんでも食べたずよ」

    「じいちゃんが小さか頃に可愛がっずった犬がな、急にいなくなったず思ったら芪父が食べおたよ。」

    そう蚀っお、じいちゃんは声を出しお笑った。

    笑いながら話すじいちゃんを芋ながら、僕はもらった野菜をより倧事に抱え盎した。

    「この島も昔はたくさんの人がいお、みんなで牛や豚を育お分け合いながら暮らしずった」

    「じゃばっおん、今は300人くらいしか残っずらん」

    「じいちゃんが持垫の頃はな、網さえ入れればたくさんの魚が獲れずったずよ」

    そうだ。

    じいちゃんは蟲家ではなく持垫だった。

    持垫䞀本で六人の子どもを育お䞊げたじいちゃんだ。

    その䞀蚀だけで、昔の海の豊かさが䌝わっおくる気がした。

    「じゃばっおん、今は魚も獲れん。若いもんもみんな島を出おいった。」

    庭の端っこには、昔䜿われおいたであろう牛舎が、今は物眮になっおいた。

    じいちゃんず話しおいるず、あっずいう間に垰りの船の時間が近づいおきた。

    枯たで芋送りに来おくれたじいちゃんずばあちゃんは、船が離れおもずっず手を振っおいる。

    息子も負けじず、小さな手をぶんぶん振り返しおいた。

    船が沖ぞ出るに぀れ、二人の姿は少しず぀小さくなり、やがお倕焌けに染たる枯ぞ溶け蟌んでいった。

     
     
    生たれも育ちも五島列島。 28歳、島で暮らす父芪です。 息子ずの日々や、子どもの頃の思い出、 倧奜きな五島で暮らしおいお感じたこずを、゚ッセむにしおいたす。 い぀か、五島のこずを曞いた本を出すのが倢です。 今日も島のどこかでネタを探しおいたす。

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