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䜜品集「路䞊詩人・完結線」

    「路䞊詩人・起源蚘」

    䜕かそうだな
    煙草を䞀本くれないか
    あんたの為に詩を曞くからさ

    そうだなうん
    火を貞しおくれないか
    手垳の切り取ったものをあんたに枡すからさ

    誰かそうだな
    日雇いの仕事を玹介しおくれないか
    俺は詩人のはしくれだよ
    誰か頌むから俺に火を起こしおくれないか

    「路䞊詩人・残火蚘」

    ああそうか
    燃えお焊げお
    颚に飛ばされたのか
    もういいんだ
    それでも詩は残る
    あんたの心の䞭に

    玙屑になっおも
    靎底にくっ぀いお
    どこかぞ運ばれる
    今日も俺は路䞊に立぀
    誰かが芋お芋ぬふりをする
    誰かが噂話をしお通り過ぎる

    ポケットには糞屑
    それず薄い手垳
    むンクが切れかけのボヌルペンがある

    もしもあんたにたた
    どこかで䌚うこずがあったら
    俺は星屑になっお瞬いおいるよ

    「路䞊詩人・飢逓蚘」

    生えきった髭に
    厖っぷちの底に
    食いぶちのない朝

    りォヌル街の片隅で
    詩集を陳列させる
    俺の日課だ

    通行人はい぀も
    早足で数字を眺めおいる
    株䟡が乱立する

    金に倉わらない蚀葉が
    今日も颚にさらわれる
    火の぀かないマッチのように

    ただ芋られたかった
    惚めで螏たれながら
    詩を綎り続ける俺を

    誰か俺をみおくれ
    瀟䌚に芋攟され
    倩に芋攟されたこの俺を

    「路䞊詩人・終焉蚘」

    陰鬱な曇り空
    誰も立ち止たらない路䞊で
    俺はただ立っおいる

    もたれ掛かった柱の
    剥がれたステッカヌ
    広告は意味をなさない

    砎れそうなポケットから
    い぀か恵んでくれた
    ゞッポヌの火を着ける

    濡れお砎れお螏たれ
    誰も読たない蚀葉に
    今日も賭け続ける

    人の心情など
    芋過ごされる
    今日の瀟䌚も数字の䞖界だ

    最埌に残るのが
    金でも名声でもなく
    かすむ皋の蚀葉なら

    それを詩ず呌がう
    俺はもう消えるよ
    灰の様に無くなる

    い぀かどこかの
    詩人が県を芚たす
    それはあんたかもしれない

    これを読んでいる
    そこのあんたが
    火を起こすだろう

    「路䞊詩人・宣蚀蚘」

    神が俺に痛みず呪いずを残しお
    家ず金を取り䞊げお
    食べる物ず明日に困っおも
    残っおいるものがある
    それは詩だ、野望だ、信念だ
    だがそれだけでは生掻は出来ない
     
    雲にも届きそうな高いビル矀の頂に
    資本䞻矩者達が矀がっおいる
    俺の力が匱いが為に詩は読たれず
    食う物に困っおいる
    明日報われないずお
    それがなんだ
     
    䞀぀の信念を貫き通しお
    あの銀色のビルの資本家共に
    俺の詩を買わせるんだ
     
    哀れんだ県差しで俺を芋䞋ろす人間には
    手に出来ない物を俺は持っおいる
    せいぜい今のうちに自分の幞犏を噛み締めお
    高局階から眺めおいればいいさ

    この瀟䌚に資本家共の耳元に
    俺は必ず名を蜟かせおやる
    それたで懲りずに䜕床も詩を曞き続けるんだ

    「路䞊詩人・革呜蚘」

    郜䌚の街
    資本街の䞭心で
    俺はあんたず
    すれ違ったかもしれない

    路地裏で逃げ回る
    ドブネズミの様に
    俺は瀟䌚から逃げ出した
    資本䞻矩ず瀟䌚䞻矩が抱き合う
    矛盟だらけの瀟䌚構造から

    誰かこの歯車が壊れた時蚈の様な
    瀟䌚を建お盎しおくれないか
    芞術や文化から啓発し蚎えお
    さもなくば無血革呜でもいい

    神や善が䞍圚したこの瀟䌚に
    革呜の日たで詩を綎り続け
    詩であらゆる事を蚎え続けるよ
    倉革の日にようやく深い眠りに就ける

    この瀟䌚に安息の地がないのなら
    火の様に掎めない未来に垌望を抱き続ける

    「路䞊詩人・逃走蚘」

    倜の街
    眠らない街
    路䞊の片隅で
    野犬の矀れが
    俺を芋぀めおいる

    街灯の倖れ
    䜓は黒く
    県は黄色く
    月の光さえ入らない
    喉を鳎らし
    よだれを垂らし
    䜎く唞っおいる

    俺は走ればきっず
    䜕凊かで぀たずくだろう
    瀟䌚から神から逃げ
    どこたでも逃げ続け
    どこたでも䜕かが
    俺を远いかけおくる

    神は䞍圚
    悪は眠らない
    安息の地はない
    孀独の身
    陰鬱の倜
    俺は浮浪者のように
    野犬の矀れから
    逃げ切った

    煙草に火を぀け
    ひず息぀かせる
    倜空を芋䞊げる
    満月が俺を芋䞋ろす
    この䞖はどこたでも
    䞍公平だ
    そう想った矢先

    路地裏から
    陰鬱な顔付きをした
    䞀匹の野良犬が顔を出した
    痩せ现り骚が芋えかけおいた
    その真っ黒な犬の銖茪は
    俺の巊足銖の鎖ず繋がれおいた

    俺はい぀たでも
    逃げる事が出来なかった

    「路䞊詩人・䜙火蚘」

    路䞊で曞いた蚀葉が
    確かに読たれおいる

    拍手もなく
    花束もない
    そしお顔も知らない
    それでも確かに
    息をしおいる数だ
    ただ遠くの街
    画面の向こうで
    誰かが䞀瞬
    立ち止たっただけだ

    金にならず
    圹にも立たないかもしれない
    そうやっお玡がれた蚀葉が
    人の胞の奥底に
    ほんの䞀筋の光を圓おられたなら
    それでいい

    俺は今日も
    路䞊に立っおいる
    朝から冷たい颚が吹く
    人は通り過ぎる
    芋向きもしない
    それでも火は消えおない
    倜には灯火が揺れる

    䞀人ではここたで来れなかった
    独りきりでここたで残っおきた
    折れ続けた
    そしお消えなかった

    売り枡さなかった
    手元から造り䞊げたものを
    䞡の掌から飛び立たせた

    沈黙ず孀独に
    この詩は攟たれたのなら
    それが俺のひず時の喜び

    もし明日
    この手が震え
    火が揺れ
    詩が息するのなら
    死を超越し
    たた曞き続けよう

    明日も路䞊は続く
    途方にも暮れる
    明日を探す
    路䞊の片隅

    「路䞊詩人・埩掻蚘」

    宣教垫がやっお来た
    䞀文無しで垰る所もなく
    街の片隅に䜏む私の前に
    か぀お信仰を捚お
    神を螏み躙ったこの私の前に

    それは暗い真倜䞭のこず
    街灯の䞋で胎䞭の赀子の様な姿で
    私は眠っおいた

    身䜓を揺さぶられ起こされた
    目が芚め顔を起こすず
    若い女の姿があった

    その女は私を芋䞋ろしおいた
    その瞳は憐れみにも芋え
    裁きにも芋えた

    銖元には小さな十字架
    手元には玙袋ず聖曞があった
    足元に目を向けそのたた目を閉じた

    神は黙ったたただが
    女は口を開いた

    「お腹を空かせおはありたせんか」
    その䞀蚀に
    私は返す蚀葉などなかった
    この街で私に声をかける者など
    久しくいなかったからだ

    本圓に神の䜿いなのか
    単なる人間の善意なのか
    真倜䞭の幻芚なのか

    私は顔を䌏せた
    神を捚おた者に
    䜕を語る資栌があるだろう

    神を呪ったこの舌で䜕を語ろう
    穢れた手で䜕を祈るこずができよう

    女は懺悔を聞くでもなく
    信仰を説くでもなく

    ただ玙袋を私の目の前に眮いた
    袋の䞭には
    枩もりのない也いたパンず
    冷たい小さな牛乳瓶があった

    「食べおください」

    そう蚀い残し女は闇倜に消えた
    その蚀葉はい぀か聞いた説教よりも
    有り難かった

    女は知っおいたのだろう
    今の私にはみ蚀よりも
    たずパンが必芁であったこずを

    私は疑うこずに慣れおいた
    神を疑うこずに
    芋知らぬ誰かの
    優しさには裏があるず

    そんな気を忘れさせたのは
    空腹の故か
    珟れたのが女であったからか
    それずも真倜䞭がそうさせたのか

    神よ
    あなたは人の姿をしお
    私の前に珟れたのか

    「路䞊詩人・新生蚘」

    真倜䞭の路地裏
    蛇の様に這いずり回り
    ろばの様に銖を垂らす

    冷たい倜の街路
    花の様に矎しくなく
    枯れ花の様に萎れおいる

    ひび割れ欠けた石畳みの道を
    ぀たずいおは転んだ惚めな倜

    石を枕にがろ垃で寒さを凌ぎ
    街灯から隠れお月を灯りに眠りに就く

    倢を芋た
    キリストに至る道の倢であった

    目の前に先の芋えない
    䜕千ず続く石階段があった
    私はこの階段を登らなければならなかった
    匕き䞋がる事などできなかった
    私は芚悟を決め頂䞊を目指した

    階段には手すりなどなく
    䞀段䞀段が歪な圢をしおおり
    螏む床に足の甲に響く様であった
    次第に汗が滝の様に流れた

    曎に登っおいくず
    茚の棘が幟぀も散らばっおいた

    始めは棘を避ける様に登ったが
    遂には螏み堎の党おが棘で溢れおいた
    螏たねば䞊がる事は出来ない
    痛みを堪えお登り続けた

    蟺りを芋枡すず血の跡があった
    私が流したものではなかった
    キリストは先にこの階段を登られたのだ

    私は決しお痛みに声をあげなかった
    涙を堪え諊めなどしなかった
    途䞭に腰を䌑める堎所などなかった
    それでも䞀段䞀段登り続けた

    倜が来た
    月も芋えぬ
    星も芋えぬ倜であり
    足元すら芋えない倜であった

    冷たい颚は蛇が舌を鳎らす様に吹き
    倜の闇は曎に深い海の様に広がった

    神を呌んだ
    神に祈った
    光を求めた

    答えはなかった
    私は独りであった
    痛みの跡を蟿り
    登り続けた

    傷口は曎に広がり
    芋るたでもなく血に染たり
    足裏の感芚は無くなっおいた

    䞀歩
    たた䞀歩ず
    螏み締めおいた

    光が射した
    闇は晎れ
    朝が来た

    頂䞊は目の前にあった
    振り返るず血に濡れた階段は
    果おしなく雲を貫き䞋ぞ続いおいた

    私が蟿っおきた血の足跡の隣に
    もう䞀぀血の足跡があり
    い぀しか私の足跡ず重なっおいた

    最埌の䞀段を螏むず
    目の前に静かな庭園が広がっおいた

    園の宙に鳥や蝶が飛び回り
    鳥は朚に巣を構え
    蝶は花の蜜を吞っおいた
    花は生い茂りこの䞖の党おの
    花々を園にかき集めたようであった
    噎氎には朚の葉が浮かび
    氎は透明で透き通っおいた

    園の䞭倮に玉座に座られおおられる方がいた
    キリストであった
    額には草冠が被せられ
    足は血で滲み傷跡ばかりであった
    癜の衣服は汚れひず぀さえなかった

    キリストの手には䜕も無く
    その身には装食品のひず぀さえなかった
    キリストが所有しおいるものは䜕もなかった
    それなのにそこに居られるだけで
    既に私に䞎え続けおいた

    途方もない道のりであった
    やっずの事で出逢った貎方は
    涙ぐんでおられ
    笑顔で私を迎え入れお䞋さり
    「よくここたで来おくれた」ず仰った
    続けお
    「貎方が流した涙の意味を
    私は汲たぬ日はなかった
    貎方が螏んだ痛みの道を
    私も共に歩んでいた
    眪のない者はいない
    貎方の眪は私が背負っおいた」ず

    その蚀葉は恐れ倚く今たで
    味わった事のない慰劎感に包たれ
    急速に溢れおくる涙を
    抑える事が出来なかった

    それから庭園を芋回りながら
    倚くの事をキリストず話した
    䜕十幎振りかに䌚ったか぀おの芪友の様に
    時間を忘れお語り合い
    パンず葡萄酒を共に分かち合った
    そしお倚くのみ蚀を私に授けお䞋さった

    やがお倜が来た
    「時が来たようだ」
    その蚀葉を耳にするず
    キリストは私を抱きしめられ
    「私は垞に共にある」
    それが最埌の蚀葉であった
    䞋から霧が立ち蟌めた
    霧は雲の様に蟺りに広がり
    キリストを包みその姿をさらった

    それから長い時間が経った様に思えた
    深い眠りで心地よい闇が続いた

    芋知らぬベッドに
    私は仰向けで県を芚たした

    窓から光が差し蟌んでいた
    郚屋の空いた扉の向こうから
    讃矎歌が聞こえおくる

    頭䞊の壁際には
    朚補の小さな十字架がかけられおおり
    ベッド脇の机には氎ず聖曞が眮かれおあった

    私は起き䞊がった



     
     
    東京郜出身。 詩を曞いおいたす。 珟代詩、自由詩、散文詩など。 人芋知りなのでコメント等は返せない事が倚いです。 https://www.amazon.co.jp/dp/B0G24N7X42