メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

創䜜倧賞2026小説『敬具、貎方様に殺される私より』

    䞀、自身ガ魔法少女デアルコトヲ誰二モ蚀りベカラズ
    二、答匁ヲ求メラレタラ忌憚キタンナク語ルベシ
    䞉、䞋サレタ刀決ニハ必ズ埓りベシ
    以䞊ノ”オ玄束”を砎ッタ者ニハ”オ仕眮キ”が課サレル。
    呉々モ泚意スルペり二。

    魔法を䜿えなくなった。死のうず思った。

    窓を啄ツむバむ朝焌けが孊び舎コりシャを染めおいる。 がんやりず膚らむ衝動を掻き消すように、巊手の芪指を匷く抓ツネった。
    がんやりず滲む痛みが、私を蟛うじお珟実に繋ぎ止める。

    そう、死のうず思ったの。

    至聖節ゲシを過ぎた箱庭キョりシツ。朝陜が射し蟌むそこはひどく綺麗で、たるで琥珀の奥底に閉じ蟌められたみたい。
    胞に抱いた臎呜的な願望さえも、矎しく描写しおくれそうな錯芚を芚える。

    だっお、魔法を䜿えない魔法少女なんお、意味がないんだもの。

    いっそ、この䞖界ごず琥珀糖の亡骞シタむになっおしたえばいい。
    しかし、そんな甘い感傷は、セヌラヌ服の襟から這ハい䞊がっおきた焊げ臭い珟実に容赊なく撥ハね退けられた。

    ────星盀トケむの針を、ほんの二ヶ月だけ巻き戻そう。私の右手にただ、䞖界を曞き換えるきらびやかな魔力が満ち溢れおいた、あの始たりの日の箱庭ぞず。

    1.魔女裁刀䞭毒


    黄昏時ホりカゎの結界の䞭、私は銀色の魔導具シャヌペンを転がし、冷えた心を枩めるポヌションを口にする。䞖界は私の催眠魔法の䞭にある。

    結界の倖から耳に聞き銎染んだ燊然の咆哮管トランペットの音色が響いた。プププププず芏則的な音を鳎らし、右耳から巊耳ぞず突き抜ける。
    曎には、矢継ぎ早に金属性、朚属性、打撃性の各魔導具ガッキの音が孊び舎に蜟く。

    そのアンサンブルは、新入団員が入っおきた頃よりかは魔力の呚期リズムも波長オンテむも成長しおいるようだった。
    思わず去りゆく春を名残惜しく思えおきおしたい、葉桜になった゜メむペシノを芖界に入れないよう静かに芖線をずらす。

    ずは蚀い぀぀も、私は最埌たで魔力枬定噚チュヌナヌ無しじゃ粟密床の良し悪しを枬るこずができなかったのだけれど。

    そしお、その音響魔術垫団スむ゜りガクブの長であり、“咆哮ホりコりの魔女”こず飯塚葉月むむヅカハヅキは、クラスの女子魔導士ギルドスクヌルカヌストの頂点に君臚しおいる。
    そんな圌女が奏でる、初倏の調べが倖耳を突き抜ける床に、匵ったばかりの結界は僅かに乱れる。

    圌女の旋埋に錓膜を觊れさせた者は、赀子も、教壇垫キョりシも、倩䜿も、曎には女神様たでもが、誰しも「流石は魔女様」ず口を揃えるずいう。
    些か倧袈裟な寓話グりワだず思っおいたが、今だけは埓っおみおもいいような気がした。

    圌女は垞に、ミルフィヌナず玔癜のブヌケを混ぜ合わせたような、甘ったるいポヌションを身に纏マトっおいる。どうやら、高等魔術垫コりコりセむの契玄者カレシから授かった魔道具らしい。
    私に蚀わせれば、そんな安盎なものよりも、自身が纏っおいるポヌションの方が、よほど良い銙りがするずいうのに。

    埌悔ず、憂いず、埮量の期埅で調合しおある私だけのポヌション。
    高床な催眠魔法が斜されおいるらしく、付䞎効果が幞犏の堎合は肉䜓に、悲しみの堎合は粟神に圱響を及がすず蚀われおいるそう。

    催眠魔法サむミンマホりノススメ

    Ⅰ.効果ノ段階ニツむテ
    䞀、察象ノ粟神防壁セむシンボりヘキガ緩ミ、呚囲ヘノ䞍信感ダ緊匵感ガ完党ニキ゚サル
    䞀、催眠魔法ニ䞀定以䞊ニカケラレタ者ハ、゜ノカケラレタトむり自芚ガナむ
    䞀、察象ハ自ラ思考スルコトヲダメ、指瀺サレタ状況ダ他者ノ存圚ヲ゜ノママ受ケ入レルペりニナル
    䞀、術䞭、及ビ術前埌ノ蚘憶ガ曖昧ニナリ、埌カラ振リ返ッテモ「倢ヲ芋テむタ」トシカ認識デキナクナル
    䞀、二ツノ催眠ガ重耇チョりフクシタ堎合、匷者ガ優先サレル。

    䜿甚スルトキハ、最䜎デモ術者ト察象トノ距離ヲ「五歩」以䞊維持スルコト
    甚法・甚量ヲ誀ッタ堎合、最悪ノ事態トシテ死ニ至ル可胜性ヲ念頭ニ十分泚意スルコト

    「催眠魔法ノススメ」より匕甚

    セヌラヌ服の襟えりに錻を近づけ、欲望のたたに息を吞い蟌む。

    青林檎の薫りかおりず共に抌し寄せた、あの人ずの冷たい硝子现工がらすざいくのような蚘憶が、党神経を服埓させる。抵抗など、いずも容易たやすく打ち負かされた。

    それでも、䜕かに耜溺たんできするずいうのは、存倖、心地の良い敗北だ。
    緩み切った自分の頬に、嫌悪を芚えるこずすら勿䜓ない。

    犁忌の秘薬キンキノヒダクに手を䌞ばした魔女たちも、きっずこんな面持ちだったのだろう。今なら確かなシンパシヌを感じる。

    ただ、あの蠱惑こわくだけを、远い求めおしたう。

    でも、この隠し事が同胞ナカマたちの目前ぞず晒されおしたったら、私は被告人ずしお蚌蚀台に立぀こずになる。
    友奜の契りを立おた者トモダチでさえ躊躇なく断眪し、有無を蚀わせず火あぶりに凊す、あの魔女様たちの前で。

    䞀、意芋ヲ求メラレタラ必ズ答匁ヲ行りコト
    䞀、䞋サレタ刀決ニハ必ズ埓りコト

    脳裏に、骚の髄ホネノズむたで染み付いた二぀の玄束事が浮かび䞊がる。 これを遵守ゞュンシュしなければ、次の魔女裁刀で凊刑察象にされる恐れがあった。

    ルサンチマンを生莄むケニ゚にカタルシスを埗る────これで刀決を蚀い枡されたのは、䞀䜓䜕人目だろうか。

    ひんやりずした朚補の机の䞋。 私は手のひらを重ね合わせ、錓膜を貫く魔笛フルヌトの拍を取るように、芪指から順に指を折っおいく。䞀、二、䞉、四  十を過ぎようずしたずころで、ぎたりず動きを止めた。

    黒石碑コクバンの衚面を爪で擊スったような、䞍愉快な戊慄センリツが党身を駆け抜け、皮膚が粟立アワダ぀。

    恐怖に突き動かされるたた、箱䞭を芋枡す。 階士団リクゞョりブの看守コモンの怒号ず、音響魔術垫団のアンサンブルだけが静寂を冒オカしおいる。

    誰もいない。その実情だけに安堵アンドするず、加速しおいた心臓の狂隒がようやく幕を䞋ろした。
    無意識に朜めおいた息を挏らせば、僅ワズかに二酞化炭玠の濃床が䞊がったような気がした。いくら魔法少女である私でも、生理的反応ばかりは操り人圢のように調埋するこずなどできない。

    きっず、君䞻ぞの反逆ずもいえるこの思想が、結界ずいう氎面䞋から魔力溢アフれる地䞊ぞず挏れ出すこずを、本胜が危惧キグしたのだろう。

    もし地䞊に這い出おしたったら、それこそ有無を蚀わせずに、実刑刀決ずいう非難の毒を济びるこずになる。

    堎所ず時間は䞍定期。匁護人は䞍圚の堎合が倚く、被告人も裁刀には招かない。 怜察官が倚数いるずきもあれば、刑務官同士の話し合いで終わるこずもある。

    これだけだず裁刀制床など厩壊しおいるように芋えるが、ひず぀だけ䞍倉の法則があった。

    それは、裁刀長ハヅキを構築するもの党お。 面盞ヒョりゞョりも、身構えタむドも、玡がれる蚀霊コトバも。圌女の理を綟なす党おが、倉化を遂げるこずがない。

    勿論、別個䜓ホカノコの魔女ずの亀替もあり埗ないだろう。

    䜕床公刀コりハンを重ねようずも、圌女は居䞈高に君臚しおいる。 隠埮な喜びを浮かべ、高みの芋物ず蚀いたげな様子で。

    私たちの楜園は党お、裁刀長様ハヅキサマのお気に召すたたに。

    䞀昚日オトトむだっお、嚯楜の堎であるはずの遮音匏魔導箱カラオケボックスが、緊匵感溢れる法廷ぞず倉容しおしたった。

    始たりは、誰かが共有笊LINEグルヌプに流した転移魔法だった。
    ゚ヌテル・カヌムゎヌルデンりィヌクに乗じお、βの魔法少女たちで新緑の祝砲を䞊げに行かないか、ず。

    魔法少女たち、ず蚀っおも、呌ばれなかった数人には秘密魔法が付䞎されおいたようで、誰もその存圚に觊れられなどしなかったが。

    目的は、芪亀を深めるため。実際にそれは達成された。
    ただし、瞺モツれずいう倧釜オオガマの䞋で、宿怚シュク゚ンず嘲笑を煮詰めお出来䞊がったものだった。

    「ねヌ次の定期詊隓マゞで無理なんだけどヌ」
    䜕ずもいえない祝詞ノリトず共に、私たち魔法少女の祝宎シュク゚ンは幕を開けた。飛行魔法の劂く、話題は取り留めもなく転々ずする。

    「䜐々朚、男教垫に色目䜿っおおりザい」
    「ね、りチらガキだからっお舐めおんのかな」
    「ねぇ只野ず付き合っおるのっお本圓」
    歌唱の合間を瞫ヌうように、蚀葉の矢は飛び亀っおいく。
    しかし、次第に矢矜ダバネたちは箱庭ぞず方角を倉えた。

    2.金魚の糞は箱庭で螊りたい


    ─────はじけおるんじゃないむッツゞョむふる

    同胞ナカマらの煌キラびやかな連鎖舞螏が埐々に鎮シズたっおいく。 共鳎するように、極圩色に映し出された安っぜい背景映像も終幕を迎える。

    「しヌちゃん歌うた」
    「玫織シオリあんた本圓䞊手だね」
    「玫織ちゃん声きれい」

    魔女っ子たちからの評䟡は高いようだ。 同盟盞手シンナりである 蘭ランも、祝犏魂を蟌めた指先で私の肩を小突コヅいた。

    やはり宎の堎では、有名な曲を歌うのが吉らしい。結果は九十䞉点。私にしおはなかなかの䞊出来だ。

    ひずたず、枇いた喉を最そうず硝子杯ゞョッキに口぀ける。焊燥ショり゜りが乳癜色ニュりハクショクの安息に飲み蟌たれ、ほっず地に足が぀く。

    葉月ハヅキも魔導笊スマホを片手にご満悊のようで、口角を吊り䞊げ、隣の偎近ずこそこそ内談ナむダンに花を咲かせおいる。それを暪目で確認するず、党身から、穎の空いた颚船のように安堵の空気が抜けた。

    そう、䞀安心したのも、ほんの束の間の出来事であった。

    「ねヌ矢野ダノさんからLINE来たんだけど」

    圌女ら特有の䞍協和音のような声色が、私たちを惑たどわす。
    この宣告の真意に気づけない者は、そもそもこの堎には招かれないだろう。

    瞬く間に、葉月ぞず脚光キャッコりのシャワヌが泚がれる。
    たるで氷華魔法ヒョりカマホりの詠唱を終えたずきのような。結界内の魔力濃床が数段䞋がり、氷柱ツララが私たちに突き刺さる。

    そんな錯芚に喰くわれるほどの圧倒的な畏怖むフが、私たちの魂を飲み蟌む。
    蚀霊そのものが、匷迫のようだった。

    開廷の合図だ。季節倖れの銀花ギンカずいう静かな絶望が降り積もる䞭、ひずりの偎近も文字盀トヌクガメンを芗き蟌む。そしお、ケラケラず、類は友を呌ぶように高笑いを響かせた。

    「吹郚のこずだっお。どうしおりチらなの」

    同盟ノススメ

    I.基本的情報
    䞀、互むノ存圚ヲ、他ノ劂䜕むカナル集団ペリモ優先スルコト
    二、䞖界ガ゜ノ個䜓ヲ拒絶シタトシテモ、同盟内ニオケル絶察的䟡倀れッタむテキカチハ倉動サセナむコト
    䞉、本契玄ヲ裏切ッタ堎合、゜ノシステムハ氞久ニ凍結サレ、二床ト結ビ盎スコトハ䞍可胜トスル
    四、裏切者ニ䞋サレル『聖裁』ノ有無、及ビ゜ノ執行猶予ハ、党テ裁刀長ノ胞䞉寞ムネサンズンニペッテ決定サレル

    蚌蚀
    感情ノ担保タンポナド無意味ダ。コノ䞖界デハむツダッテ、芏玄ノ穎ヲ突ク小賢コザカしむ個䜓ダケガ、䞍条理ニ報ワレ続ケルペりニデキテ 以䞋省略

    「同盟ノススメ」より抜擢

    議題は同期ドりガクネンである矢野桃花ダノモモカの是非に぀いお。これでも、葉月ずの付き合いは今幎で䞉幎目だ。この手の聖裁セむサむが始たった際の最適解など、私は嫌ずいうほど熟知しおいる。

    緊匵からか、その堎にいた同胞たちの魔力がきりきりず軋キシみ始める。数分前たでの、華や狂乱キョりランが幻のようだ。

    連ツられた私も、
    思わず硝子杯ゞョッキを墚色の机にこずんず眮き、圌女ぞず向き盎る。

    ぀たり、私もたた────埓順な魔女の虚食キョショクを被るのだ。

    契玄盞手に色圩を付䞎されたずいう、圌女の茶髪が小さく揺れる。
    裁刀長が、ガベルではなく魔酒硝子杯コヌラゞョッキを片手に告蚎を始める。

    眉をわずかに顰ヒ゜めながらも、赀リップの映える口角が吊り䞊がっおいた。
    さも興奮しおいたす、ず蚀いたげに。この薄黒い愉悊ナ゚ツに気づいたのは、私だけだろうか。

    葉月は自身の被害性を匷調したいのか、声を僅かに萜ずし、䞍芁な防埡結界を瞬時に匵った。

    卑屈ヒクツな女だ。 い぀もの圌女に、い぀ものように呆れた。硝子杯ゞョッキの瞁を、爪玅マニキュアの剥がれかけた爪で無意識になぞる。

    たずは、被告人の玹介をしよう。
    名は矢野桃花ダノモモカ。幎霢も職業も私たちず䞀緒。

    普段はひず぀に束ねおいる生たれ぀きの茶髪に、同期では珍しい黄色い蝶リボンを胞元に靡ナビかせおいる。 そんな、自身の「奜き」を貫き通すずころも、倧衆ミンナから反感を買われる理由の䞀぀なのだろう。

    そしお、電脳反射遊戯オトゲヌを愛する、いわゆる虚像厇拝者オタク。 私に趣味の話が通じるず分かったずき、二次元垂堎アニメむトで買った聖遺物オシグッズを興奮気味に玹介しおきたのを、今でもよく芚えおいる。

    そんな圌女の、䞻な眪状は───
    「魔笛が䞋手なせいで団内の士気が䞋がる」こず。

    ぀たり葉月は、圌女のせいで困り果おおいる“被害者”ずいう䜓なのだ。だが確かに、圌女は入団圓初から少しだけ浮いおいた。

    きっかけは、䞋玚生が魔道具ガッキの写真を魔導網のプロフィヌルに茉せおいたのを、看守に告発したこずだった。孊び舎内で魔導笊スマホを䜿うのは犁忌キンキなのだ。

    たかが、これ皋床。
    されど、これ皋床。

    そんな少しず぀の積み重ねが、二床ず戻れない倧きな溝ミゟを生んだ。隔ヘダたりずいう名の鬱憀りップンが目芖できおしたいそうなほどに。

    その裂け目には、溢れんばかりの葡萄酒ブドりシュのような情念が、倧窯オオガマでぐ぀ぐ぀ず煮詰たっおいる。 溢れたいず、必死に釜蓋カマブタや制埡魔法で抑え぀けおいたのに。

    葉月の「あい぀のこず、どう思っおる」ずいう䞀蚀で、
    ぀いに赀玫色の䞀雫ヒトシズクが窯肌カマハダを䌝った。

    序盀は、ぎちょんず埮现ビサむな音が立぀だけだった。
    けれど次第に、沞隰フットりに䌎い、情念は抑えきれなくなる。

    そしお぀いに「あい぀っお金魚の糞フンみたいじゃん」ずいう誰かの䞀蚀を皮切りに、ぶわぁっず憎悪ゟりオが溢れ返った。

    釜蓋カマブタは、もう意味を成さない。
    埅っおたしたず蚀わんばかりに、矢継ぎ早ダツギバダに蟺りを浞しおいく。

    「あのコ、ずヌっず付いおくるからさ。逆に心配じゃね」
    葉月は、あたかも自分が桃花のせいで悩んでいるかのように、話を組み立おる。

    魔女裁刀のお決たりの流れだ。長い長い、“正圓感”に溢れた告蚎に、䞀蚀で枈む短い刀決。

    刀決ず蚀いながらも、ちゃんず蚀い枡されるわけではない。
    倧半は暗黙アンモクの了解で成り立っおいる。

    この催眠魔法にじわじわず呑たれないようにしないず、瞬く間にそっち偎に取り蟌たれおしたう。

    こんなの、独裁政治ず䞀緒だ。


    #20ΞΞ-032  【異端審問及ビ魔女裁刀・蚘録所】

    審問地箱庭β・魔導網
    宛先共犯者殿

    誓むノ蚀葉我ラ、コノ箱庭ノ調和ヲ乱ス悪埳ヲ断ゞテ蚱サズ。聖ナル秩序ヲ脅オビダ「穢ケガれ」ヲ炙アブリ出シ、コレヲ完党ニ排陀・浄化スルコトヲ、我ラノ平穏ノ名ニオむテ誓り。マタ、コノ者ニ同情 以䞋略

    Ⅰ.被告人基本情報
    氏名矢野桃花
    幎霢14æ­³
    職業䞭等魔術垫
    芪族ノ蚘録血瞁関係ニアル四柱

    Ⅱ.告発内容及ビ眪状
    告発者飯塚葉月
    眪状芏定違反

    Ⅲ.身䜓怜査蚘録
    未ダ行ワレテオラズ

    â…€.刀決オペビ執行
    刀決有眪
    刑眰魔導網ヲ発端トシタ粟神汚染・座暙陀去
    初執行日同幎5月10日19時27分11秒

    Ⅵ.告発者ニペル匁論口調等ノ倉曎有
    「あノ者ガクラス及ビ団員ニ所属シテむルセむデ、私タチノ神聖ナ空気ハ穢サレマシタ。私ガコりシテ声ヲ䞊ゲタノハ、私個人ノタメダケデハアリマセン。アノ者ノ忖床゜ンタクノナむ振ル舞むニペッテ、蚀葉ニデキナむ恐怖ト䞍快感ヲ割リ振られおいる『仲間たち』を代衚しお、その被害を蚎えおいるのです。あの者を排陀しない限り、私たちの受けた傷が癒えるこずはありたせん。特に団員内での  以䞋長文ニペリ略」

    3.毒入りのくるみ割り人圢


    ゚メラルドを溶かしたような薫颚グンプりが吹き抜けた、快晎の躍動の祝祭タむむクサむの翌日。

    祝杯りチアゲに、桃花は呌ばれなかった。

    あの日を境に、桃花ぞの刑眰は悠々ナりナりず、重苊しく䞋されおいった。
    たるで、空籠の旋回車カンランシャがゆっくりず虚空を這い䞊がるように。

    有眪がのしかかった新緑の祝砲の晩バン。
    䞖にも恐ろしい魔女様たちによる聖裁セむサむが幕を開けた。

    私たちの楜園から远攟者が出るのは、䜕床目だろう。 入孊しお䞉ヶ月目には、既にこの魔女裁刀制床は確立されおいた。優ナりに十は超えおいる。

    その二ヶ月埌には、
    異端尋問制床むタンゞンモンセむドが始たったこずさえ蚘憶に新しい。

    圌女ぞの実刑は、䞻に魔導網で行われた。数々の転移魔法を付䞎された魔導笊は、綺麗な同心円ドりシン゚ンを描くよ波王ハモンを広げおいったのだ。

    枊䞭カチュりに沈められた桃花も、次第に自身に噛み付く地獄に勘付カンヅいたようだ。 日に日に息苊しそうに、抌し寄せる波にただ襲われるこずしかできなかった。

    針の筵ムシロに座らされおいるような、愕然ガクれンずした居心地の悪さに蝕ムシバたれおいく圌女。 その蒌癜゜りハクな面持ちには、ただの同期である私でさえも生気を削られた。

    それでもきっず、䞀孊期を跚マタぐ頃には、圌女ぞの実刑刀決はずうに取り消されおいるだろう。

    ある日ぱっず、氞遠に終わらない満朮に飜きたずでも蚀いたげに、凊刑の波はじわじわず匕いおいくのだ。 実際に、眪を被る魔法少女は既に代わり぀぀ある。

    それでも、圌女に刻たれた刑眰の痕は深い。ある皮の蚘憶魔法によっお、生涯取り消されるこずはない。

    しかし、その圧倒的な枊りズに、どうしおも浞ツかりきれない者が数名いた。

    たず、䞀人。匊奏魔術垫団に所属しおいる、䞊原柪り゚ハラミオ。

    ミディアムほどの黒髪を靡ナビかせ、蜜月契玄譚コむバナが奜きだずいう圌女は、先日、同じクラスの小朚湊に専属契玄を申し蟌んでいた。

    結果は、惚敗ザンパむ。小朚には既に契玄者がいるため、儀匏は倱敗に終わった。 この䞉幎間で环蚈五回目の倱恋だ。

    分かりきった結末に、瞳を拙ツタナく最たせる柪。 「だから蚀ったじゃん」 私が呆れたような笑みを湛タタえるず、圌女は涙ぐみながら呟いた。 「でも、埌悔したくなかったの  」

    蜜月契玄レンアむに関しおはこれほど積極的な圌女だが、友奜の契りナりゞンカンケむずなるず、その魔力特性は䞀倉むッペンする。

    法廷における圌女の圹割は、垞に無蚀の盞槌アむヅチ係だ。裁刀長から答匁を求められおも、曖昧な愛想笑いアむ゜ワラむずいう防埡結果を匵るこずしかできない。

    それでも圌女が未だ被告垭ヒコクセキに萜ずされないのは、その気の匱さが裁刀長ハヅキにずっお郜合が良いからだ。結局は、ただの操り人圢ずしお機胜しおいるに過ぎない。

    そしお、もう䞀人。
    裁刀長にずっお郜合の良い操り人圢がいる。

    葉月の偎近、芊田菜々矎アシダナナミだ。 圌女もたた魔力が埮匱ビゞャクで、䞊䜍ギルドに属しおいながらも、葉月の呜什を遵守ゞュンシュするこずしかできない。

    いや、遵守どころか、圌女は特定の呪名ゞュメむを付䞎され、ギルド員たちの鬱憀りップンの捌ハけ口グチず化しおいる。

    その呪瞛ゞュバクは、音響魔術垫団の内郚にたで䟵食しおいた。 菜々矎の担圓する魔導具は、円環の咆哮管ホルン。咆哮ホりコりの魔女の偎近ずしおは、これ以䞊ないほど盞応フサワしい。

    しかし、その配眮こそが圌女の砎滅ハメツだった。 圌女は垫団にも箱庭にも、己の座暙むバショを芋出せないでいる。

    圌女が愛おしそうに抱える魔導具。その金色に巻かれた管クダの矎しさず、圌女が济びせられた「シダ怍物」ずいう薄暗い呪名。

    そのどちらもが同じように、内偎ぞ、内偎ぞず蝞牛カタツムリみたいに心を閉ざしおいく「枊巻き」の圢をしおいるのが、たたらなく皮肉だった。

    それでも。 そんな圌女が、唯䞀、心を開けおいるように芋える少女が䞀人。

    名は怍野咲良り゚ノサクラ。通称、くらら。

    春の劖粟に誘むザナわれ、この箱庭ぞず召喚ショりカンされた――そんな迷信すら信じおしたえそうなほど、無垢ムクで、矎しい魔法少女。

    圌女を厇拝する亡者モりゞャは数知れず、私もその有象無象りゟりムゟりの䞀人だ。

    そしおそんな祈祷キトりが届いたのか、先日の黄昏時ホりカゎ、圌女ず同じ垰路を歩むずいう奇跡キセキが蚪れた。
    圌女の聖性セむセむを暪目に、私たちは幟むク぀かの蚀葉を亀わした。

    盎近に控ヒカえた旋埋の祝祭センリツノシュクサむに぀いお。
    教壇で習いたおの完了定理カンリョりテむリや、因敞解䜓むンスりカむタむに぀いお。

    他愛タワむのない察話は、やがお蜜月契玄ミツゲツケむダクずいう、より秘匿ヒトクされた話題ぞず移り倉わっおいく。

    そしお、その道䞭に明かされた。 圌女には特定の人間ずの排他的な契チギり――すなわち、契玄者コむビトが存圚するずいう冷培な事実が。

    蜜月契玄者、ずいう生々しい抂念。

    それは、春の暩化ゎンゲたる怍野咲良にすら、俗悪ゟクアクな血が通っおいる蚌明だった。䞍愉快なノむズだった。

    圌女の隣に立おば、誰もが己の醜ミニクさを自芚する。䞋等生も、教壇垫も、曎には䞊䜍ギルド員でさえも。
    誰もが圌女を浪費ロりヒし、圌女なしではこの退屈たいく぀な日垞すら成立しない。

    それなのに。 完璧だったはずの聖域せいいきは、契玄者の存圚によっお、容易たやすく均衡きんこうを倱っおいた。
    焊こがれ続けた、薄黒い執着しゅうちゃくそのものだった。

    そう、圌女が実刑刀決に同調しないのは、他の凡癟がんひゃくの魔女たちずは蚳が違う。ただただ、その執行察象が有眪だろうが無眪だろうが、初はじめから興味がないのだ。

    クラスを支配する䞊䜍ギルドの子たちは、今たでそんな圌女の謀反むほんを目溢めこがししおいた。 だが、その瞌たぶたが今、たさに開かれ぀぀ある。

    圌女くららがい぀、次の執行察象ぞ反転しおもおかしくはない。

    貎方あなたは────怖くはないのか。

    結界に足を螏み入れただけで、くすくすず嘲笑の呪詛ちょうしょうのじゅそを济びせられるのが。

    垞に異端いたんを探知したかのような、冷ややかな粟神汚染せいしんおせんが亀わされるのが。

    怖くはないのか。

    貎方あなたは、居堎所いばしょがなくなるのが怖くないの。

    4.䞍協和音アレルギヌ


    「はい、グラス持ったヌ  じゃ、実質䞀䜍っおこずで、お぀かれヌ」
    「お぀かれヌ」

    ここは幹線道路かんせんどうろ沿いに䜇む、築二十幎超の倧衆食堂たいしゅうしょくどう「焌肉くいん」。地域に根ざした、銎染なじみ深い老舗しにせだ。

    目印は、倖壁がいぞきのプラスチック看板。数幎前の台颚の爪痕぀めあずか、「ん」の文字だけ留め具が倖れ、くすりず笑えるくらいに僅かに傟いおいる。

    「おか、䜓育祭に続いお二䜍じゃん。うちらシルバヌコレクタヌすぎん」
    「それな。たヌた3組に持っおかれた」
    「ね。あ、焌き肉焌けおきたヌ これもういける」
    「いやただ赀いな、これ。  あ、タンはもういけるよ、誰かずりな」
    「もらうわ。  うわ、あ぀」

    カルビの熱に、ひずりの少女が思わず悲鳎を䞊げる。
    あみの䞊ではゞュワゞュワず肉が焊げ、脂の爆はぜる重䜎音がダクトの奥ぞず吞い蟌たれおいく。生ぬるい冷房の颚が、額ひたいの汗ず、そこにたずわり぀く煙を容赊なく薙なぎ払った。

    「だヌかヌらヌちゃんず冷たせっお蚀ったじゃん」
    「蘭らん、母芪みたいじゃん。ポテトずカルビも頌んで良い」
    「あ、チョレギサラダも頌んでほしい  」
    「オッケヌ、ポテトずカルビずサラダね」

    「あ、おかさ、校長の薄毛うすげ、芋ない間にガチで加速しおなかった」
    「それうちも今日、垭から『肌倚くね』っおなったわ」
    「りケる。絶察範囲広がっおるよね」
    「広くなっおる。䜓育祭のずき、ただもうちょっず螏ん匵っおた気がするもん。なんか、頭の真ん䞭だけ、今日の日差しで綺麗に『完熟かんじゅく』しおた」
    「完熟っお蚀うなし」

    賑にぎやかだったテヌブルの䞊が䞀瞬だけ静かになり、ダクトの吞気音きゅうきおんが䞀際倧きく耳に届いた。あみの䞊の肉は、じわじわず静かに焊げ目を広げおいる。

    「  ねぇ。぀ヌか、みんな今、奜きな人いる」
    「  は急に䜕」
    「ほんずだわ、䜕その急なトヌン」
    「いや、なんか合唱コンも終わったし、䞀息ひずいき぀いたなヌず思っお。ぶっちゃけどうなの うちから蚀うけど、うちはマゞでれロ」
    「ガチ前蚀っおたのは」
    「あヌヌ、なんか」
    「なんか」
    「  なんか、冷めたわ。いざ付き合う劄想ずかしおみたら、アむツの食い方めっちゃ汚かったの思い出しお無理になった」

    沈黙が堎を蜟ずどろかせる。
    画面をスクロヌルし、远加の肉をカヌトに入れるタップ音だけが、空間を支配する。

    「  ポテト、もう䞀個頌む」 「あ、いいね。頌んじゃっお」

    通信䞭のむンゞケヌタが回るわずかな時間、誰も口を開かない。
    あみの䞊の静けさず、手元の画面だけが同期しおいる。

    「  あヌあ。っおいうか、うちも別れたわ」
    「  え」
    「は 急にぶっ蟌んでくんじゃん」
    「誰ず あの、他校の高校生の圌氏」
    「そう、それ」
    「え、なんで順調そうだったのに」
    「いや  なんかさ、シンプルにだるくなった。向こう高校生だからさ、なんかすぐ倜䞭に散歩行こヌずか蚀っおくんの。こっち明日も普通に孊校だし、眠いっ぀ヌの」
    「え、それだけ」
    「うヌん、あずさ、私服がダサい。おもしろtシャツずかスベっおるっ぀ヌの。あれ着おドダ顔で迎えに来られた時、マゞで他人のフリしたくなった。で、付き合っおるメリット皆無だなず思っお。LINEで『もう無理』っお送っおブロックした」
    「えヌ早  」
    「たあ、そんなもんっしょ」

    「あ、ちょっずコヌラ取っおくるわ。肉食いすぎお喉枇いた」
    「あ、うちもメロン゜ヌダ入れる。行こ」

    トングが金属音を立お、皿に眮かれる。 二人の少女が垭を立ち、もう䞀人の少女もたた、磁石じしゃくに吞い寄せられるようにその埌に続いた。

    煙ず賑にぎやかな話し声が充満する通路を抜け、移動した先。
    光源こうげんの異なるドリンクバヌのコヌナヌには、すでにトレむにれリヌやプリンを山盛りに乗せおいる少女が䞀人、所圚しょざいなげに䜇たたずんでいた。

    「あ、志穂しほじゃん。お぀かれヌ」
    「あ、二人ずもお぀かれヌ。ここれリヌ皮類めっちゃあるよ。」
    「あ、カヌレもあんじゃん。葉月いる」
    「え、食いたい食いたい。」

    ドリンクバヌのマシンの駆動音かどうおんだけが響く。それぞれが自分の皿にデザヌトを盛り終えるたでの、短い空癜。

    「぀ヌかさ」

    「正盎、サビ前のピアノずれおたくね」
    「 えわかるわかる。䞭盀ちゅうばんからちょっずおかしかった」
    「思った正盎さ、咲良さくらちゃん、い぀も涌しい顔しお完璧ぶっおる割に、本番倧事なずこでトチっおんじゃん、っお感じ。」
    「ね、あい぀のせいで金賞逃したようなもんでしょ」
    「ちょ、それは蚀い過ぎじゃね。でも、顔だけは無駄に良いからっお、䜕でも蚱されるず思っおんのかな。クラスの女子みんなが矢野やののこず無芖しおんのに、普通に朝『おはよう』ずか声かけおるしさ。たじ空気読めよっお思う」
    「分かる、超浮いおるよね。自分だけは正矩の味方です、みたいな どんだけ芯があるフリしたいわけっお感じ。クラスの空気ぶち壊しおるの気づけよっお話。そういう態床がピアノに出るんだよ」
    「ほんずそれ。いじめに乗らないで良い子ぶっおるからバチが圓たったんだよ。あヌ、たじむラむラするわ」
    「っおいうか、この前もさ、音楜の時間にみんなで歌の緎習しおた時、あい぀䞀人で勝手にテンポ早めお匟いおおマゞうざかったんだよね。あれも絶察わざずだし。自分が䞊手いからっお呚り眮いおけがりにしお、ほんず感じ悪い」
    「あヌあったわ、それあの時も『みんな、もうちょっず指揮芋お合わせお』ずか蚀っお、超䞊から目線で仕切っおきおさ。マゞ䜕様の぀もりだよっお思った」

    蚀葉の熱量ずは裏腹うらはらに、グラスの氷がカラカラず音を立おお融解ゆうかいしおいく。
    ストロヌでそれを䞀口ひずくち吞い䞊げおから、誰かがたた口を開いた。

    「っおいうかさ、あい぀圌氏ず䞊手くいっおお調子乗っおるんじゃね」
    「確かに小朚おぎも小朚で、あい぀が桃花に話しかけおる時も䜕も蚀わないし、二人しお䜕カッコ぀けおんのっお感じ」
    「え、それな。リア充りあじゅうアピヌルうざすぎ」
    「 りチ圌氏ず別れたから䜙蚈ムカ぀くんだけど。あい぀らのあの感じ」
    「  え そうなんなんで」
    「いや  なんかさ、シンプルにだるくなった。空気読めないし、私服ダサいし。付き合っおるメリットなさすぎじゃん」
    「葉月本圓サバサバしおんね。 おかタむミング最悪。こっちは合唱コン二䜍だし、あい぀は小朚ずむチャ぀いおるし」

    手招きに応じるように、五人の少女の圱が重なる。 グラスの氷が溶けおいく傍かたわらで、床に䌞びた五぀の黒いシル゚ットが、静かに混ざり合っおひず぀になった。

    「あ、おヌい こっちこっち」
    「䜕なに なんか盛り䞊がっおんじゃん」
    「ちょっず聞いおよ。葉月が圌氏ず別れた話ず、咲良ちゃんがいかに空気読めおないかっお話」
    「うわ、埅っお、それめっちゃ気になる。怍野うえのさんさ、今日の䌎奏もたじで音ズレおたよね」
    「思った あい぀が空気読たないで桃花ももかを庇うみたいな真䌌しおるから、その呪いがピアノに出たんだよ。マゞ金賞返せっお感じじゃない」
    「でしょうちら今たさにその話しおたの」
    「りケる。聞かせお聞かせお」

    ドリンクバヌの前に八人で固たり、トレむを持ったたた話し蟌んでから、もう数分が経っおいた。呚囲のガダガダした喧隒けんそうをかき消すように、圌女たちの声のトヌンはさらに䜎く、粘り気ねばりけを垯びおいく。

    「あヌね。ちゃんず緎習したのかな」
    「私もよく咲良ちゃんず喋るんだけど、なんか『楜しめればいい』ずか蚀っおたよ。真面目にやっおないんじゃない 」
    「うわヌありえないんですけど」
    「 あ、おかしヌちゃんもこの前䞀緒に垰っおたよね」
    「あヌ 断るのが面倒で」
    「え、どんな感じだったん」
    「えヌ ずヌっず圌氏の話しおたよ」
    「うわヌ、うざ。どんだけ意識高い系アピヌルしたいの」
    「マゞで䜕様の぀もりなんだろうね。シダもしヌちゃんも、あんな奎に付き合っおあげお優しすぎ」
    「次から断っちゃおヌかな」
    「私もそうしようかな」
    「別に良いんじゃね 本圓、調子乗るのも倧抂たいがいにしおほしいわ。」
    「ね、最埌の合唱コンなのに嫌すぎるんだけど。」

    機械のレバヌが抌し䞋げられ、緑色の液䜓が勢いよくプラスチックのコップを満たしおいく。シュワシュワず匟ける炭酞の泡が、癜く濁にごっおは消える。

    そこに䞊ぶ少女たちの誰もが、同じようなタむミングで頷き、同じような声音で、適切な盞槌あいづちを重ねおいた。

    熱を垯びた八぀の声が现かく噛み合い、溶け合い、やがお䞀぀の倧きなざわめきずなっお、焌肉屋の片隅かたすみぞず広がっおいく。

    #20ΞΞ-005  【異端審問及び魔女裁刀・蚘録所】
    審問地箱庭β
    宛先共犯者殿

    誓いの蚀葉我ら、この箱庭の調和を乱す悪埳を断じお蚱さず。聖なる秩序を脅オビダ「穢ケガれ」ヲ炙アブり出し、これを完党に排陀・浄化するこずを、我らの平穏の名においお誓う。たた、この者に同情 以䞋略

    Ⅰ.被告人基本情報
    氏名怍野咲良り゚ノサクラ
    幎霢14æ­³
    職業䞭等魔術垫
    芪族ノ蚘録䞍明

    Ⅱ.告発内容及び眪状
    告発者飯塚葉月
    眪状芏定違反

    Ⅲ.身䜓怜査蚘録
    䜓長159cm・質量39kg
    銖筋ず右目䞋に黒子ホクロ有
    被告人ハ自己質量ニ察シ粟神的拒絶セむシンテキキョれツ有

    â…€.刀決及び執行
    刀決有眪刑眰粟神汚染・座暙陀去・䟛物クモツ配眮・所有暩隠蔜・画鋲ヲ䜿甚シた排斥呪詛
    初執行日同幎6月15日8時13分58秒

    Ⅵ.初告蚎に同垭した者䞀芧
    芊田菜々矎あしだななみ、飯塚葉月いいづかはづき、倉田志穂くらたしほ、氎和玫織すいわしおり、山厎蘭やたざきらん  以䞋略

    5.チェリヌガヌルズ


    「ね、あんたにもこれ。あげよっか」
    「え良いのありがず。」

    氎泳郚終わりで、ただ埮かに残る塩玠の匂い。
    拙぀たなく切り分けたパンケヌキを差し出すず、目の前の女はふんわりず頬を綻ほころばせた。

    ぀いでに桜桃さくらんがも乗せおやるず、猫のように目を现めフォヌクを手に取る。

    氎無月みなづきの結むすび、じっずりずした湿床を孕はらんだ颚が吹き抜ける。目の前の女のワンピヌスの襟えりを、そしおあたしの錻腔びくうを容赊なく揺さぶった。

    溢れた果実の幜銙ゆうかを吞い蟌めば、初めお蚀葉を亀わしたあの日の驚嘆きょうたんが、喉の奥で鳎り響く。

    『実は私も片芪かたおやなんだよね』

    圌女の唇から玡がれた蚀葉は、あたしの胞の奥を腐らせおいる䟘わびしさず、同じ姿をしおいた。
    あたしだけじゃ、なかった。頭の芯がじわりず熱くなり、䞖界が静寂せいじゃくを圩る。孀独の淵ふちを䞀人で這い回るのは、もう終わり。目の前の圌女もたた、同じ疟颚はやおを秘めおいた。

    それは悲劇の共有ではない。もっず暎力的で、酷く矎しい「共鳎きょうめい」だ。
    寂寥せきりょうずいう檻おりの鍵が、内偎からカチリず倖される。震えるほどの安堵があたしを満たしおいく。

    同病盞哀ドりビョりアむアワれむように、あたしたちは急速に融ずけ合った。趣味、孊校生掻、互いの䟡倀芳、その党おを。 絶察に口倖しない。
    そう玄束しお、あたしたちは「芪友しんゆう」になった。

    だから、圌女が氎泳の授業を頑なに拒み、䞀幎䞭長袖を手攟さない理由を知っおいるのは、䞖界でたったふたりだけ。

    ◇

    「だよねなんで皆あんなにいずみんのこず嫌いなんだろ」
    「それな。絶察皆嫉劬しおるよね」
    いずみん。今幎赎任ふにんしおきた䞀組の担任タンニンで、瀟䌚科教垫。

    ルックスの良さから、生埒たちの間では「可愛い」「綺麗」だの話題の的だ。
    特に男子生埒は圌女のすらっずした脚に、思春期ししゅんきの欲を塗り぀ぶしたような芖線を向けおいる。

    しかし、女子ずいう生き物はそう単玔ではない。 幎霢や性別を問わず、過剰に称賛される存圚を、圌女たちは垞に嫉劬しっずず執念しゅうねんでコヌティングする。いずみんは、その玩具がんぐぞず成り果おおしたったのだ。

    「キモいのは、そうやっお捉ずらえる偎なのにね」

    歯に衣着はにきぬきせぬ物蚀いに、思わずあたしは吹き出した。
    カヌスト䞊䜍の空気に忖床゜ンタクしない、媚こびない心地良さ。あたしはそれを特別気に入っおいた。

    もっずも、本人たちの前では䜕の意味も成さない、ただの負け犬の遠吠えだずしおも。

    「あはは。玫織しおりやっぱ面癜いね。マゞその通りじゃん。あの子たち銬鹿なんだから、そんな暇あったら勉匷すれば良いのに」
    「ね。銬鹿の䞀぀芚えっおや぀教垫でも別に恋愛しおいいでしょ」
    「それな。もう結婚しおおもいい幎霢だし」
    「そうなのいずみん䜕歳だっけ」
    「二十九」
    「若」
    「それなガチ綺麗だよね、いずみん」
    「ねヌ憧れる  おかさ、宮本みやもず先生のセクハラ疑惑っお本圓」

    宮本先生。圌も今幎赎任ふにんした、保健䜓育の教垫。『授業䞭に女子生埒をじろじろ芋おいる』初めはただの圓お぀けかず思っおいた噂は、やがお『距離が近い』ずいう実害の蚎えぞず倉わっおいった。圌が先日から䌑職したのも、間違いなくそれが原因だろう。

    「んヌ本圓だず思うよ。この前から䌑み始めたし。あずちゃんず芖線も感じたし」
    「え蘭も被害受けたの」
    「違う違う、盎接は受けおないよでもなんか芋おんなヌっお」
    「あヌそういうこずね 。 はぎちゃんを芋習っお欲しいわ」
    「いやそれな歳近いんだし」
    「ね。おかはぎちゃんうちの顧問こもんになったんだよ」

    ”うちの顧問”ず蚀えば───圌女が所属する吹奏楜郚で、䜕をしおも酷評こくひょうされおいた金子先生かねこせんせいのこずだ。
    葉月たちのサンドバッグにされおいたせいで、あたしの耳にはタコができるほど『金子』ずいう苗字が染み぀いおいる。

    その顧問が、『はぎちゃん』の愛称で芪したれる萩野先生に倉わったらしい。
    だから圌女たちが、少しだけ萜ち着いたように芋えたのか。

    「え。良かったじゃん。だから葉月たちちょっず萜ち着いたっおこず」
    「えヌ萜ち着いおはなくない」
    「たヌ確かに。ずっず悪口蚀っおるもんね」
    「そうそう。 次のタヌゲット、誰になっちゃうんだろう」

    次のタヌゲット。自分になりそう。
    背䞭に、じっずりずした嫌な汗が䌝う。

    本圓は、薄々気づいおいた。

    あたしがこのカヌスト䞊䜍に玛れ蟌めおいたのは、すべお玫織のおかげだったこず。
    䞀軍の子たちが、あたしず二人きりで話すのを奇劙に避けおいたこず。
    䜕より、あたし抜きのLINEグルヌプがい぀の間にか䜜られおいるこず。

    鉄栌子お぀ごうしが、あたしたちを閉じ蟌めるように再び降りおゆく。
    やっぱり、貎方ずあたしは別次元の人間だよ。

    だから。玫織、ごめんね。芪友だもんね。

    6.どうかシオリを忘れないで


    半̯̩̆̕͞倏̥̝生͔̥͎̓̄̆͘ハンゲショりの葉が癜く化粧けしょうを装う頃、倏͚̳ͩ͆͆̀͒̚͠至̛̪̈̂͞ゲシの萌葱色もえぎいろは、小暑しょうしょの眩たばゆい朚挏れ日こもれびぞず口づける。たるで頁ペヌゞを繰くるように、淡々ず時は過ぎおゆく。

    梅雚͓͊͊̊̿́明̹͓͙̠̯̮̃̕͜けず同時に期̟̟̏͑̕末̥̟͐͋ͮͥ̊̚詊̰̉͛͠キマツシ隓を終え、区切りの぀いた生埒たちは郚掻動に専念しおいる。匕̧̘̂ͫͩ退̶̵͓͊͌をかけた倧䌚を前に、連日連倜、党霊を賭す圌らの䞭で、ひずりだけがおかしかった。

    噎むせ返るような熱気に包たれようずも、私だけが倏蜜柑な぀みかんに閉じ蟌められたように凍いお぀いおいる。
    たるで、頁に添そえられた栞̜̟̭ͧ̃́͐̚ͅシオリだけ、忘れ去られたかのように。

    シ͖͉オ̹͔̱̀́͑̎͆リは或る頁で止たったたた、時蚈の䞉぀の針は幟床ずなく倩頂おんちょうを奪い合っおいた。陜が昇り、たた沈む。その繰り返し。

    詊̝̳̚隓̵͈͕̄͋͏̯̒́シケンが返っおきお䞀喜䞀憂し、女テ̋̈́ͮ͑̕テニは予遞を通過し、男̬͙̀̕͘バ̧̛͉̖̖ͧ̈͆レ̞ͩ男バレは負けた。吹郚は挔奏に明け̛ͬ̒暮れ、幜霊͚͇̖̿郚員のフルヌ̥̞̠̻͉͌̕͡ト̳̗̝̚トをクラが補っ̧̘̖͈̂͋̇̂お̛͕͔̩͎̊͊̇͜いる。
    もう、私の仮病けびょうには誰も觊れない。桃花も、心配しおく̟̯̠ͧれ̛̖͙̘̓ͩͮ̎ͧなくなった。そんな桃花ぞのむ͚̰̮͊̂́ͫ̋ゞ̺͓͙͚̗ͫ́̃メ̧̺͓̗̩̄͒͒むゞメが終わり、日垞が戻ったず思えば、今床は怍͓͕͆͒ͭ͝野̵̖さ̩̀̓ん͈̯くららが䌑むようになった。

    桜の散った茶道̩̍̈́͐̂͜郚̘̜̈́́ͪ̚͟は廃郚になり、圌女が残した短冊たんざくだけが寂しく̙̓̄͜揺れおͫ͏̢̹̆̌̀̎ͣい̛̘͇̞̭͟͠る。私は短冊̪͉̲̂͜͞に̶͙͕͊͛̀ͮ䜕も曞けな̢̟ͩ͐͑か̀̀̐͞͠った。
    蘭は氎̛̀泳郚で、泳ぐのが䞊手で、授業̢̞͎͍͒̎͡で̡̹͔̔̆͞も̛̭̗̟̞̂̂̋ͅ目立っおいたけれど、私はずっず̣̙̟ͪ̓͠芋͖̥̭̯̲͂̌̊̎孊̯͚̬͇̜̠ͬ̃。プヌルカヌ̹ͪ͛̌͗͜ド̷̜̳̰͂͠に圩りはなく̈ͮ̇̓̌、͈͊レ̙̈ポ̫̩̰̳̬ヌトで枈たせた。芪の̯̀サ̗̀̒͛͆͜͡む̞͇̳̟̫̞͔̓͝ンを停造̺͙̫͍ͬ̏̏す̵̖̋͛̓るのは怖̫̟̙̲̎̌̚͠͞くお、でも͙̌̀͑̊͑䞉̵̷̞̐̌者̶̢̙̋̋͢ͅ面̯̱͂͊͟談の調査祚͎́͊は̝̟̀̇̓̀́バ̿͆͆̇レ̵͇͛ͫ̈́ͮ̄ずに枈んだ。

    そ̳̟̑́̋う、それ͖͊̄で。私は孊校ぞ̢̲̺͖ͥ̄̀͛行͇̀̌っ̞̣͂た̶̀͆͌ͫ͂んだ。

    教宀̓̚に̩̰̄͛入ったら̧̗̈́́͋、̶̞̞͍̠̊͗ͬ́机の͚́̇䞊̞͛ͮͪに̻̲͗͊ͬ̊̏͢͜花が眮いおあっ͙̙̳͐͡͝お͏̟̞̥͋ͫͩ̃̚。きょ̞͚ͮͅ͏̷̒͏̢う̢͇͉̀ͬ͡は̳͙͖̲̊͒、誕生日じゃないか͖̺̖ͣらͪ͏̺、͇͐だ̶̶͎̀̓̈̆か̥̟̹͍ͮ̎͋̀ͩらでも、あの子͂͞た̘͚̣͙̋̏̀̓͞ち̱̪̅が私の誕生日̓ͩ̌͋ͧ͒͟͠͠を̱͚̀͢͝芚̯̻̌ͧえ̷̙̩͖̑̎͡間違えおた͈̎、̭̖̆͗͜͞͞ͅな̫̲̥̜̮̜͗̄̕んͥ̏͢お可胜性̶̢̙̗̲̞̑͐͢は̯̻、̟̅̀͆̌ͫ̓な̮̊̑い、はは。なのに、䞍謹慎だけど、私はクヌラ̡̮ヌ̰̐の̛̜́͞匂͙̝͈̊̒̓い̶͚̞̓̌̀͢に̋̓͊安̺̜͖̱̳̎ͣ͑̕心̜̂し͐̋͢た̡̜̩ͭり̲̭̀ͮ͟し͏̖͙̏ͬお̵͈̻͉͕̻͊。̎ͭ

    やっぱ͙ͣ̂͡り͍̻̞̅̄̉̐̚仮̵͙̌̐͛̍̚͢͠病がいけな̛̻̗͚̙か̩͢͡っ̟̹͙͗た̍͝の̪̞̀̉̎͌͡かな。そ̡̝̥ͫ͗̈れず͎̯̘̥͛も̄́̏͒銙̝͙̬̓̆́̂氎 孊校に持̖̜̄̈́̌͊͊͠ͅっ̡̹̙͂͡お̟̀̌ͮき̞̈́た̬̲̗͍̀̓から̥̳̀̎ͮ̚͜ͅ あ͈ͩ͗̔͛̆̚れ͈̹̂̊̋̓͐̚͝、̪̜̞̓͗̃͏̖お̫̣̘̜̊̀̈守りだ͎͇͈̻̖̿̍̓ͅっ̢͙͑͂̀た̱̜͘͜のに。あ̫̣̎́̇̚͏̱、̫͔教̖̱̞̻̐̀̌̚科曞も̝̙ͪ͊̀̀ͥ䜿い物̷̛͇̟ͩͭ͂̕に͈̀ͩ͊͂なら̶̜̰͆̈̚͢な̶̙̬̱ͪ̌̚い。あヌあ̷̵̜͎̗̇̌、͏̻̝̏̓̎お̺͈͈͈̟ͧ̀金どうしよ̟͚う͔́̇ͥ。

    本圓に、どう̛̘̜͆ͩ̓͟しおこ̵̮̝̙͖͏̙̝͛う̝͚͚͙̑̋̀͌̓なった͍͚̥͛͘んだろ͑̀う̝̺̬͊ͪ̿͒ͭ̔。̭͕̅ͣ̈́ͩ

    あぁ、党お̜͙̜̉͊͊͂が͍̜催眠魔法͇̬͓ͫみ̓̓͏͓͆た̡̥̙̌̊̄̚͢いだ。この̞̟ͧ͒ͮ͢た̫̊̀̋ͫただず溺れおしたう。ポヌション̠̘͡な̷͐̃̔͗̌̅ん̗̭͇̹̅̎̚お̫̀ͭ͒̃なくおも、深い̩̐̚海に̛̘̭̮͕̀̑͞͡沈͙̞̄̚む͓̥̬̪͕̊́方法ならも̰͞う̠̰̌ͥͥ̈̓͡知̟̓ͩͣっ͏̞̩̰ͭ̂お̣̟̿いた。̯͕̲̙̊̅͝も͓͍う͊́͆いっそ、このた̰͜͡た̙̊́死͏͇͓̻̎͜ん̧̢̱̬̘̆̌͗ͧで͙͚̹́ͣ̚͞したおうか。

    本圓̧̧̍͢に̧̰͙̹͒̑̚ど̛̩͚͗̈́͌̌͛うしよう。孊校̧̊́͗̕͘生掻、人間̧̢͉͍̜̎̌関͙͂̊̈係、党郚ぐち̛̏̚ゃ̛̩͇̆͟ぐ̢̔̂̊ͥち̶̗̫̈́̍̃̃̍͟ゃ̶̜̰̠̓̐̍̚だ。

    どうし̧̜̪̎̄̕よ̳͍͋̋̚う̢͒͌͘本̪̋̍͊ͩ̈̀圓̟̺̞͗̏ͫ̀͛͝に。孊͕͊̋校生̵̷̬̉ͮ̀̑̕掻̷͊̒͏̟̌̍͂も̌̊͂̚、人͔̜͙̀͋間関係̒̌̈ͧ̉も、むゞ̛̰͙̰ͪ̀̇メ̞̊̿も̵̹̬̈̕、̖̑̊党̞̃郚ぐち̢̣͉̓̔̍̊̇ͅゃぐち̱̜̻̟͋̄͌͘ゃ͈̟͊͂で̘͡。̲͆̚孊̟͒̅校̳͓̃̏͌͢䌑んだ̵͕̓̂͊ͪ̒ら̹̠̮̞̍̉̓̇̎内͓̜̬͖̘ͭ̄ͅ申̟̃͆ͅが̡̃̃̃͛̚䞋̋̎̆̏̎が͇̥̳͌ͣ̔̀͞͠っお、進路が消̛̺̩͉ͣ̌̀͊え̠̰̞̌お̢̯̻̭̺̎̓̓͠受̻ͩͮͮ́͜͝隓に倱敗し̳̹͙̘̳ͬ̆̚お̌ͣ人生が̳̂͢͜終̝͚̜̞̈̈́͛͘わるでも̵̖̭̎́̏̊先̗͙͡生̵̡͚̜̟ͮ̀͢に̢͙̟̎̈́̐͌ͥ蚀̷̢̜̗́̉ͬ͌̓ったら 問題̎ͩ͢が̶͖̞̍͊も̢̟͈̞͑っず悪̬̿̑̅化̱̀̏̚し̧̻̟̿お̫̺̗̞̂郚͙̺̰̱̋͆̄͡掻̹͙̟͗̀͗ͥに̜̖̂̀̑ͮ̀もͫ͏͍̣いられ͚̱̱̐͂な͓̐̚くなっ͙̖̥̎̎̆͊ͫお̷̢̟ͣͥ̐͊̎̚蘭̹̟ͥ̌も͓̮͙̎̊͗̄桃́͜花̹̜ͪ̒̐̃̚͜も̛̗̹ͣ̉̄ͫみ͍͖̎̚͏ん͈̲͂ͬ͡な̖͊͋敵̩̊͠に̷̉̂͊ͬ̂̕͝ͅな̜̟̑っ͍͍̭̟̎̑̚お͇͈̮̋友̹̇̊だ̶̛̆ち͎͍̻̭̫̟͉͉̚な͙̬͔̌͋͌̍̕͡ん̵̶͚̞̉̌͊͡お̵̧̯ͥ͊͂̀̚̚最̗̰͖̍͆̉͘初̶̡̪̘̆͟か̹͖͇̒ͩ͒̇͠ら̵̯̘͌い̹͑な̶̷͂ͭ̀͠く̳͓̰̝͈̈́お̧̺͈̩̘͟そ̹̉̋̀͘も̩̅̌͞そ̙̻̇̿ͮ̊ͪ͘も͇̜͍͍̎́ͩ̇̒家̓͐が̢̐蚱̰̿̎̈͊し͆̄̅お̬̄く̶̝̄ͪれ̞̬͓̎̉ͫ̍̔な̶̜̫̜ͥ͟い̊͢͞芪͔̝̯̝̩͌͒͑に̪ͧ̏̍怒̹͑ら̷̀̃͝͡れ̞̪͛͘る̧̻̋͊̏̿͝芪̰̋̚͜͟に̖̍ͧ̈́̀芋̵̈ͭ捚̛͓͌͗͊͟お̬͛̇͗ら͙ͣ̎れ̰͡る̓͋芪͓͒に̺ͭ̓̄殺̶̥̙͛̅ͫ̌́̀さ̟͔͓̎ͮ́̚れ̳̗̜̜͓̇͒̎る̙̊͠本̡̥̗̪̱̂͛ͅ圓̏̓͆͋̊̊͛に̖͓͙͊ͥ̔ͭど̪̰͔̂̅う̖͖͚ͅす̅ͭれ̻̀͟͡ば̷͍̟̟̗ͪ̌͡い̶̲ͮい̻̜̞̑͗̀誰̲̀͌も̡͕̯̐͊ͫͣ̍教̡̊̊́ͩ͞え̶̞̰͇̜́̒̔͑お̪͙͓̐く̱̺͚͒̅れ͚͢な̧͑̈́い̘̍̃̎̇ひ̗̔̀ず̝̻ͣ̀り̶͇ͬがͧ̚っ̷͔̲̳̱͉̀̓͠ち̡̞̣̋̍̀̈́も̮̰ͥͧ͡う̠͕̖̯ͩ̌̑͡こ̧̛̝̘̫̺̎の̵̻̜̑̊̆͌̀ͣた̶̭̳̳̱͋̉̆̇た̢̛̳̜͗な͙͚̺͊͗̚の̧̭̌̈́͟͡蘭̩̿̕は͖̙ͥ̒͂̍̚͟味̢̥̈̿̓̄͑̌方̜͒̀͂̈̎͘͝だ̪̪̄̅̌ず̲̗͂思̛̝̞ͪͧ̓̌͌̚っ̵̡͚ͩ̀̄͊̓͡お͍̍ͮ́たͮͥ͊̊̀͛ͮ͝の̱̺ͥ́͠に̡͈̝͓̌͏ͭ͢͡期͈͚̘ͅ埅̶͊ͩ̑し͔͑̐̊͟た͉̖の̀̌が̲͟͏̢͉͌悪̘̟͚͗̋̊̒ͫ̅か̶̵̡͎͈̒̿っ͇ͬ̒̃た͇̠ͥの̢́͘か͚̬̮͋̀̈́な͚̏も͙̩͆ͬ͗͜う̝̥̮ͮͩ̅̀̓無̛͖͆̎理̮̻͂̓͟͠だ̞ͥ̓ͪ͋ͫ̀お͚̌͊͢し͚͚̟̖̊͗̊̓̕た̞̻ͫ̏い̟͖̒̔̄̂助̶͕͚ͬ̀̀ͪͮ̎け̷̙̝̭̑͌̎͘お́͋誰̜̫̳̀̅͒̚̚か͓͖̻̞̇̍̈䜕̠̕が̢̰̣̎̍ͫ̊͝い̛̜͎̮ͧ̅͜け͚ͧ̀な͉͎̐́̀͟͡か̷̯̣̞̮̎̐̂͞っ͚̆た̢͓̺̲̅́͊̀͜の̟̜̱̔̀͛ち̢̳̘̇͘͢ゃ̰͐ん̵͕͕̺̎ͧ̎̚͘ず̱̕で̠̗ͩ͜き̻͆ͭた̲̲͗́̌の̷̩̰͈̟̟ͥ́に͓̜̬̬̇̉̆̕桃̜̥̊͠花͍̜̺ͥ̈ͬ͘も̹̺怍̬̜̟̩ͣ̇̎̃̉野̧̹͒̀̆さ̜͇ͫ̀̀̈́̒̚͠ん̡ͣ̀の̹̪͙̮͍́͊̂い̪͚̇ͣ̈̀͠じ͈̓̈め͖ͫ̍̿͋ͣに̵̟̬͒ͭ̀も̠̜̅ͩͬ̌̃̀乗̡͊̏͡れ̢̄̀た̟̘̜̑̋͜の̜͇̬ͩに͕͙͉̝͔̃͑̀͞あ͚͖̉̀̀͠͠そ̿̎͗れ̜̑͂̈́が̜̌̐͟だ̵̞̈́め̵̘̘̺́́̃̓だ͚̱̀͗͛́͊͘͝っ̢̛̗͈̩̀ͣ̈̚た̵͔̜̟̌̎ͅの̷̺͌̀眰̠͚̗̄̒̎̒͋͘が̙͊ͬ圓͖̈́́ͥ̋̎た̡͇͚̹̞ͣ̃̚͠っ̶͑̊た͔͍の̟͓͓ͧ͆̊ͫ̉͠あ̪̲̎ぁ̱̹̱͕̘̖く̺̈̎̇͞ら͉͔͛̕ら̛͕̅̈͢͠あ̯̗̲̀̀̑な̜̣̙̅̋ͮ̐͟͡た̎̓͊̎͆͡は̲̺ͪ今̙̟͚̔̊͟͝䜕̬̜̂ͮ̓̊を͕͊̏し̺̇̚͝͠お̻̈̕い͍̞̰ͬͬ͜る͏̜̌ん̘͖̭͔̒̉̇͐で̟͍̗ͫ̇̑ͣ̚ͅす͙͂̿́͢か̮̺̿̍ͭ̋

    ねぇ̛̜̞̟͙̆̈́̈謝るから̫͔̓蚱しおよ桃花ず怍野さんを虐めたこずも郚掻を嘘぀いお䌑んでるこずも担任に心配を無碍にしおるこずも党郚党郚党郚──────あれ

    ───────魔法は


    終章.「魔法を䜿えなくなった。死のうず思った。」


    魔法を䜿えなくなった。死のうず思った。

    窓を啄぀いばむ朝焌けが校舎こうしゃを染めおいる。がんやりず膚ふくらむ衝動を掻かき消すように、巊手の芪指を匷く抓぀ねった。
    がんやりず滲にじむ痛みが、私を蟛かろうじお珟実に繋ぎ止める。

    そう、死のうず思ったの。

    倏至げしを過ぎた教宀。朝陜が射さし蟌むそこはひどく綺麗で、たるで琥珀の奥底に閉じ蟌められたみたい。
    胞に抱いた臎呜的な願望さえも、矎しく描写しおくれそうな錯芚さっかくを芚える。

    だっお、魔法を䜿えない魔法少女なんお、意味がないんだもの。

    いっそ、この䞖界ごず琥珀糖こはくずうの死䜓になっおしたえばいい。
    しかし、そんな甘い感傷は、セヌラヌ服の襟えりから這い䞊がっおきた焊げ臭い珟実に容赊なく撥はね退けられた。

    なぜこうなったのか。

    幟倜いくやを巡る远逐぀いちくの果お、私は教宀の隅で息を朜めおいる。あたたの鬌が矀れを成し、䞀人の獲物を狩ろうずする。
    その䞍条理な遊戯ゆうぎは、果たしおい぀たで続くのか。

    実をいうず、目星は既に぀いおいる。

    䞃月二十䞀日、今日。
    かなりたずい。あの子たちが朝緎あされんから垰っおくる前に終わらせないずいけない。あの人が、私の最埌の垌望だから。だから、

    䞃月十䞃日。
    魔法を䜿えなくなった。あの日の焊りようずいったら。あぁ、早くしないず。

    䞃月五日。
    怍野咲良うえのさくらがいなくなった日。そう、転校じゃないかな 

    六月二十䞃日。
    私たち䞉人でパンケヌキを食べに行った日。蘭らんず さくらんがの。時間倧䞈倫ただ朝緎終わらないよね。

    六月十五日。
    確か合唱コンクヌルの打ち䞊げ。くらら じゃなくお怍野さんがむゞめられるきっかけになった日。本圓に 埌悔しおる 。でも、もう無駄か

    六月四日。
    柪みおが小林に告った日。結局フラれお泣き出したから慰なぐさめるのが倧倉で。芚えおる

    五月䞋旬。
    䜕日かは忘れたけど䜓育祭の打ち䞊げ。桃花が呌ばれなくお でも桃花ぞのむゞメはただマシな方だったから 。もうすぐ䞃時 どうしよう、急がないず。

    ゎヌルデンりィヌクの い぀だっけ 
    みんなでカラオケ行った日、確か葉月が桃花を金魚の糞ふんっお呌び出しお 。それがきっかけ、だったよね 

    ────あ、忘れおた。 倧事な日、五月十二日。

    この教宀に、䞀人の転校生おんこうせいが来たんだ。

    その子はずっおも䞍思議な子で、自分からは䜕ひず぀語らないくせに、時折ずきおり党おを芋透かしたような県めで私を玐解ひもずこうずしおくる。

    でも、それがなんだか心地良かったから。
    私は䜕床も䜕床も、心の䞭を芗かせた。

    あずね、その子は時間感芚も䞍思議なんだ。 私にずっおは地獄のようだったこの二ヶ月が、その子にずっおは、ほんの数分、䞀日にも満たない刹那せ぀ななんだっお。

    私が䞀生懞呜玡぀むいだ蚀葉の矀れを、
    その子は指先ひず぀で、あっずいう間にスクロヌルしおしたう。

    だからさ、ふず、考えおみたんだ。
    その子はもしかしたら、最初から気づいおいたのかもしれない。

    私が元から、魔法なんお䜿えないこずを。
    ただの痛々しい有象無象だっおこずを。

    魔法の消えたこの珟実で、私はもう、自分の蚀葉を持おない。
    だから、この蚘録をあなたに蚗すね。

    これを読み終えお、あなたが画面を閉じるその時、私の䞖界は本圓に終わる。

    最埌に教えお。
    私の心を芗いおいた画面の前のあなた。

    私が呪文を唱えたずき、あなたの県にはどう映った
    あなたの県に映る私は、どんな呪文を唱えおいた

    さぁ、お仕眮きの時間だっお。さようなら。
    どうか、この頁にシオリを忘れないでください。


    画像

    拝啓、芪愛なる貎方様ぞ

    貎方は今、䜕をしおいたすか。幞せですか。
    私は最近、期末テストで合蚈で450を超えたした。昔から勉匷だけは埗意だったので。でもそれでも、党郚が䞍安になっちゃっお、䜕も䞊手くいきたせん。あなたなら、こんなずきどうしたすか

    離ればなれになったのに、突然の手玙でごめんなさい。迷惑ですよね、すみたせん。
    でも、わたし今、本圓に倧倉で。孊校でいじめにあっおいお、䞊手く流せなくお。はじめお人に打ち明けるけど、もう無理なんです。だから、私を助けおほしい。手玙の返事だけでもなんでも良いので、どうかお願いいしたす
    最埌に、あなたの幞せをずっず願っおいたす 玫織より

    䞀、自身ガ魔法少女デアルコトヲ誰二モ蚀りベカラズ
    二、答匁ヲ求メラレタラ忌憚キタンナク語ルベシ
    䞉、䞋サレタ刀決ニハ必ズ埓りベシ
    以䞊ノ”オ玄束”を砎ッタ者ニハ”オ仕眮キ”が課サレル。
    呉々モ泚意スルペり二。


    このブログは    。

    P.S.
    このアカりントも奜きに芋おいいからね。
    私の党おが぀たっおるから。


     
     
    孊生による投皿。䞻に話完結型。 ※このアカりントの投皿はフィクションを含みたす

    あなたぞのおすすめ