小説 じしん
#創作大賞2026 #オールカテゴリ部門
僕は価値のない人間だ。
僕は長所のない人間だ。
僕にはいいところがないわけではない。ただそれは世間にとっては侮蔑の対象になってしまう。優しいは悪だ。優しさは相手がそれを利用すればいとも簡単に弱さになってしまう。優しいはみんなが守ることで少し得をするルールだ。狂っている。そんなの誰が破ったらそれ以外がみんな損をするではないか。ああ、こんな思考になってしまったのは世間のせいだ。僕は世間に嫌われている。
学校が真面目になれと言ったから僕は学校で真面目だった。
友達が不真面目になれと言ったから僕は友達の前で不真面目だった。
学校で真面目疲れをした僕は家に帰るといつも寝ていた。
友達で不真面目疲れをした僕は土日はいつも神社に行って赦しを得てた。
親は本を読むように僕に何度も忠告した。僕は賢くないのに賢かった。
あの本を多読しているだけで誰かに説教を垂れるような読書家にはなれなかったのだ。
僕は小さいころいじめを受けていた。いじめは二年続いた。
狂わされたのに世間は興味さえ持たなかった。いつしかそんな話をしないでほしいとも言われた。僕は本を読んでいたから幼少期のそういう体験が様々な悪影響を及ぼすことを知っていたのに、知らない奴らからそんなことを言われた。僕は自殺は嫌いだった。自分が不幸な存在のまま消えていくにはまだだと思っていたからだ。
僕には大学があった。サボることは親が許さなかった。
大学は何でもないやつが何かアクセサリーをつけて肩で風を切るのが分からなかった。いや違う。分からないは相手を人間として見ていないからだ。
気持ちが悪かった親からもらった顔で何をそんなに威張ることができるのだろうか。もし整形をしてるのなら本当に意味が分からない。
おそらく彼らには彼女がいるのだろう。夢を諦めた人は対人関係で夢の穴を埋めようとするのが僕の持論だ。あなたを幸せにするために生まれてきただとか。あなたがいれば何もいらないとかは自分の将来を捨て相手に依拠する物だからだ。恋愛は権利だ。生まれた時点である程度決まっている。
なのに僕は運命だとかそんな言葉で権利を認めないのが許せない。ああ、こんなことが言いたかった訳ではない。
僕を弱い人やめんどくさいと言う人が言う。そんな人は考えてないだけだ。酒や煙草にかこつけて現実を見ないようにしてる。現実を見れば壊れてしまうからだ。僕から言わせるせれば君たちの方が弱いのではないか。僕は現実を見てる。解像度を下げる行為はしない。めんどくさいは思考の放棄だ。
僕は犯罪を犯そうと何度も考えた。ただ犯罪は意外と年数がたてば世間にもどされてしまう。死刑になるのは自殺のときと同じようにいやだ。
僕はこういうときに散歩をするのが好きだ。思考は全くまとまらないが、健康にいいらしい。適当に散歩をしていると空き家だろうか。いや空き家が沢山あった。僕は空き缶を見つけた。僕は空き缶を空き家に投げた。生きようと思った。