🏙 街で読む経済 第181回 ~お彼岸、墓地の入口の花屋さん~
💐 今日は、花が多い
お彼岸。
墓地へ向かう道を歩いていると、
入口近くの花屋さんが、
いつもより賑やかです。
店先には、
菊や色とりどりの花。
花を買って、
そのまま墓地へ向かう人も
次々とやって来ます。
「ああ、お彼岸だな」
カレンダーではなく、
花屋さんを見て
季節を感じる日です。

🪦 なぜ、ここに花屋さん?
考えてみれば、
墓地の入口に花屋さんがあるのは、
とても合理的です。
お墓参りへ行く人の中には、
花を持っていく人がいます。
つまり、
ここを通る人の一部は、
最初から
「花を必要としている人」
なのです。
商売では、
人通りが多い場所が
必ずしも最高の立地とは限りません。
大切なのは、
その商品を必要とする人が
そこを通るかどうか。
墓地の入口は、
お墓参り用の花にとって、
とても分かりやすい立地です。

🚶 「最後に買える」という価値
もう一つ、
入口の花屋さんには
便利なところがあります。
家から花を持ってこなくても、
墓地へ入る直前に買える。
途中で買い忘れても、
まだ間に合う。
これは、
花そのものとは別の価値です。
駅から遠い。
大きな商店街でもない。
それでも、
「必要になる場所のすぐ近くにある」
ことが強みになる。
立地の価値は、
単純な人通りの数だけでは
決まらないのです。

📈 お彼岸になると、需要が集まる
そして、
お彼岸になると状況が変わります。
普段より、
お墓参りへ来る人が増える。
すると、
花を買う人も増えます。
店側にとっては、
ある程度予想できる
季節の需要です。
だから、
いつもより多く花を用意する。
ただし、
花は長期間置いておける商品ではありません。
少なすぎれば、
せっかくのお客さんに売れない。
多すぎれば、
売れ残るかもしれない。
売れる日が分かっていても、
いくつ売れるかまでは分からない。
花屋さんは、
その間を予想して
店先に花を並べています。

【一言コラム:花屋さんと「ニュースベンダー問題」】
お彼岸のように特定の日へ需要が集中し、かつ日持ちしない商品の仕入れは、経営学において「ニュースベンダー(新聞売り子)問題」と呼ばれます。
多く仕入れすぎれば大量の「廃棄ロス(売れ残り)」が生じ、少なく仕入れすぎればせっかくの「販売機会の損失」につながります。墓地前の花屋さんは、過去の経験やその日の天候から、この「余るリスク」と「足りないリスク」のギリギリの境界線を常に見極めなければなりません。カレンダー通りに訪れる需要の裏には、鮮度と時間と戦うシビアな在庫管理の計算が隠されているのです。

📝 最後に
普段は静かな墓地の入口。
お彼岸になると、
花を抱えた人が
次々と通っていきます。
そのすぐそばには、
いつもよりたくさんの花を並べた
花屋さん。
人が多い場所だから、
そこに店があるのではありません。
花を必要とする人が通る場所だから、
そこに花屋さんがある。
良い立地とは、
単に人がたくさん通る場所ではなく、
「買いたい人」が通る場所なのかもしれません。
そして今日も、
店先に並ぶ花が、
カレンダーより鮮やかに
お彼岸を教えてくれています。

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