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🏙 街で読む経済 第178回 ~「アプリはお持ちですか?」の数秒間~

📱 「あります」

朝のコンビニ。

出勤前で、
少し急いでいる。

商品をレジに置く。

すると、
店員さんから、
「アプリはお持ちですか?」
と聞かれる。

あります。
ありますとも。

スマホを取り出す。
ロックを解除する。

……あれ?
どこだ?


👆 さっきまであったはずなのに

ホーム画面を探す。
ない。

次のページ。
ない。

フォルダを開く。
違う。

検索するほどでもない。

いや、
もう検索したほうが早いのか?

その間にも、
後ろには人が並んでいます。

誰も何も言っていない。

なのに、
なぜか背中に感じる。

無言の圧。

そして私は、
静かに敗北を認めます。
「……今日はいいです。」


⏱️ 数ポイントか、数十秒か

考えてみれば、
少し不思議です。

アプリを出せば、
ポイントが付く。

つまり、
金銭的には出したほうが得です。

それなのに、
私はときどき、
そのポイントを諦めます。

なぜなら、
朝のレジでは、

ポイントだけでなく、
時間にも価値があるからです。

数ポイントをもらうために、
スマホを探し続けるのか。

それとも、
諦めてレジを早く通過するのか。

私は、
ポイントを捨てて、
数十秒を買ったことになります。


💰 朝の30秒は、夜の30秒と違う

時計で測れば、
30秒はいつでも30秒です。

でも、
私たちが感じる価値は、
いつも同じとは限りません。

家でのんびりしている30秒。
出勤前の30秒。

後ろに誰もいないレジの30秒。
5人並んでいるレジの30秒。

同じ時間でも、
状況によって、
その重さは変わります。

しかも、
後ろに人が並んでいると、

「待たせている」
という心理的な負担まで加わります。

だから、
普段なら欲しいポイントも、

朝になると、
急に安く見えることがあります。


🏪 それでも、お店がアプリを勧める理由

では、
なぜお店は、
アプリや会員サービスを勧めるのでしょう。

アプリは、
単にポイントを付けるだけのものではありません。

クーポンを届ける。
キャンペーンを知らせる。
また来店してもらう。

会員サービスの仕組みによっては、
購買履歴などを、

商品やサービスの改善、
販売促進などに活用することもできます。

つまり、
お店にとってアプリは、

お客さんと次の買い物までつながる手段
でもあるのです。


⚖️ レジ前の小さなせめぎ合い

客は、
早くレジを通りたい。

店は、
できればアプリも使ってほしい。

客は、
ポイントが欲しい。

でも、
後ろの視線も気になる。

たった数十秒のことですが、
そこでは、

時間。
ポイント。

便利さ。
心理的な負担。

そして、
お店とのつながり。

いろいろな価値が、
小さなスマホの画面の上で
せめぎ合っています。

​【一言コラム:朝の30秒の値段】

​同じ「30秒」でも、家でくつろぐ時と、朝の混雑したレジ前とでは、私たちが感じる価値は大きく変わります。

ほんの数ポイントのためにスマホを探すか、諦めて時間を買うか。背中に並ぶ人の視線を感じながら「今日はいいです」と告げる時、私たちは無意識のうちに、ポイントよりも「時間」や「心理的な平穏」を高く評価するという経済的な選択をしているのです。


📝 最後に

ようやくレジを抜けて、
店の外へ出る。

そこで、
ふと思います。

アプリ、
どこにあったんだろう。

探してみる。

……あった。

普通にホーム画面にあった。

なぜ、
レジでは見つからなかったのでしょう。

次から、
すぐ出せる場所に置いておこう。

たぶん、
次も同じことをやります。

朝のレジでは、
ポイントより数秒のほうが高くなることがある。


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