
北海道の失われていく風景1

札幌郊外に「北海道開拓の村」という財団が運営している施設があります。昭和58年に開村した野外博物館で、全道にあった開拓時代の建物を移設して公開しています。
村のメーン道路には、夏は馬車鉄道、冬は馬そりで園内を行き来できます。この道路に植えられているのは「アカシヤの木」で、開村当時は背丈ほどの並木道でしたが大きな木に成長しました。
ところが、平成30年(2018)の台風で30数本が倒れてしまいました。
この絵は倒れる前(2014)の冬道を描いたものですが、今は整然と並ぶ木を見ることができません。
野外博物館
博物館には全道から移築した建物が52棟あります。
その中の一棟を描いた絵です。

明治35年に建てられた郵便局です。
場所は、日本海の久遠郡せたな町瀬棚区北島歌28でした。
この建物を雪の降る時に描きたいと思いました。
待ち構えて実際に描いてみると構造にびっくり。お寺の屋根が乗っかっているようなもので、大変手の込んだ贅沢な建物でした。
結局、何度も訪れてその構造の確認をしました。
赤いポストは手紙を入れる窓が回転式になっており雪や雨が入らないように工夫されています。
描いているうちに、この建物が実際にあった場所に行ってみたくなりました。島歌という名も実にユニークです。地図を見ると島歌川というのがあるので、そこから付けられた地名なのかと思いました。

日本海を国道229号で南下して行くと、寿都町~島牧村と過ぎて茂津多トンネル(1974メートル)を過ぎると「せたな町」に入ります。
この長いトンネルが道央との境目で、ここからが道南と言われるエリアになります。
せたな町は北檜山町、瀬棚町、大成町と3つの町が合併して、「せたな町」になりました。それぞれの町は個性的で独立しています。北海道の中では歴史も古く、町の探索にはことかきません。
北海道で近代郵便の取り扱いが始まるのは明治5年(1872)で、島歌には明治19年(1886)に郵便局が設置されたといいます。
北海道三県時代が終わり、北海道庁が建てられた年です。
せたな町瀬棚区北島歌に行ってみると現在も郵便局がありました。局の方に聞いてみると建物が移築されたことを知っていました。
しかし、回りを見渡すと民家はありませんでした。

奇岩の多い海岸線で、この島歌郵便局の前で描いた絵が下記です。

虻羅トンネルから藻岩岬のある須築トンネルまで7キロほどあるのですが、この間に民家は無く、今も郵便局があるのか不思議に思いました。
おしまい