
北海道の失われていく風景18・知床岬

斜里町

斜里町(しゃりちょう)は、オホーツク海に面した町で市街地は知床半島の付け根にあります。

知床半島は幅約25km、長さ約65kmの細長い半島で、羅臼町と斜里町を隔てています。中央には火山からなる知床連山が連なり、険しい山岳と原始林が広がっています。また、山々はオホーツク海に接し、荒波による断崖が続くなど、山と海が一体となった自然が特徴です。この地域は「知床国立公園」として保護され、世界自然遺産にも登録されています。
知床世界自然遺産は2005年(平成17年)7月17日、南アフリカ共和国ダーバンで行われた『第29回ユネスコ世界遺産委員会』で「自然遺産」登録が決まりました。

知床半島の観光客は斜里町を目指します。しかし、JR釧網線斜里駅で降りても半島の入口でしかありません。自然遺産は更に先で、バスでウトロ(宇登呂)に向かう必要があります。
斜里には道の駅が二か所、ウトロ地区と斜里駅(釧網線)前にあります。
二つの地区は歴史が全く違うため同じように捉えることができません。
「知床8景」と言われているのは、フンベの滝・オシンコシン展望台・カムイワッカ湯の滝・夕陽台(ウトロ)・知床五湖・知床峠・オロンコ岩・プュニ岬はすべてウトロ地区です。
そうして最大の観光地が知床岬です。
というのはシレトコの地名はアイヌ語の「シリエトク」(地の果て)からで
「地の果て」と言われるとやはり行ってみたくなります。
知床岬に行くには、ウトロ(宇登呂)港から遊覧船に乗って行くしか手立てがありません。
ここまで来ると、もう来ることもないだろうと遊覧船に乗るでしょう。
遊覧船は岬を一周するのですが、岬の先端は標高30~40mの平らな台地で周りは断崖です。

襟裳岬や積丹の神威岬のように荒々しく海に迫り出していると期待しますが穏やかな岬です。

知床観光船はウトロ崎にあります。
ウトロ崎に行くにはゴジラ岩を見て「オロンコ隧道」高さ約60mの巨岩を通ります。
この巨岩に先住民族「オロッコ族」が居住し、トナカイ牧畜や狩猟、漁労で生活していたといいます。
(アイヌ民族との闘いが残されておりオホーツク人が住んでいたといいます)
人気のゴジラの岩は知床らしい雰囲気です。

知床遊覧船沈没事故
2022年(令和4年)4月23日に事故が起きました。
知床半島西海岸沖で、知床遊覧船の観光船「KAZU I(カズ ワン)」が船内浸水により沈没しました。ウトロ港から知床岬に向かい、折り返して帰港する「知床岬コース」と呼ばれ所要時間は3時間程度の船旅でした。
知床のような美しい場所で、こうした悲劇が起きてしまったことは、多くの人にとって忘れられない出来事になりました。

この痛ましい事故の裏で、深刻な別の問題が進んでいました。それは、知床岬における携帯電話基地局の整備に伴うソーラーパネル工事です。
知床は、シマフクロウやオオワシ、オジロワシといった国際的にも希少な野生生物の繁殖地・越冬地であり、それらの種の存続に不可欠な地域として世界遺産に登録されています。
規模の大きさに驚いた斜里町が計画の見直しを国に要望。
地元で反対署名運動も起こりました。

事業の大前提だった『地元2町の合意』が変わってしまい、今後、斜里町で計画推進の合意形成ができなければ事業はできないとなりました。
世界自然遺産に登録されるまでに、どれだけの人たちの苦労と時間を費やしたことでしょう。更に、一度登録されたら一生のものではありせん。
再審査が行われる仕組みになっており、登録を打ち消されることもあります。
おしまい