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①限界集落で1,000円からはじまった、価格の階段を上がって行くお話。


    #創作大賞2026 #エッセイ部門

    私のお店には、月に50人ほどしか訪れません。

    地方で商売をしていると、よく言われます。
    「まずは客数を増やさないとね」
    最初、お店を始めたころ、私もそう思っていました。
    でも現実はそう甘くない、月50人来てもらえたら奇跡。そりゃそうだ、ここは限界集落。
    朝は鳥のさえずり、夜は無音…。周りを見渡せば、山、森、木々。
    よくある集落と集落の通り道、道路脇にある、小さなお店に立ち寄る方は少なかったです。

     その小さなお店が、奇跡を起こします。お店をやっていくうちに、不思議と新規のお客様の数は少しずつ少しずつ増えていき、年間何と1200名の方が訪れるようになりました。

    今は、予約制ということもあり、50人ほどのお客様でも、お店が回っています。ネット販売はしていません。
    SNSもめんどくさがりの私のせいで、月に1度投稿すれば、良い方(*´з`)
    それでも、13年間、商売は何とか、ぐるぐると回ってきました。

    無我夢中でやって来たこの小さなお店。
    一番最初は、1,000円のアクセサリーを手作りしていました。
    今では、なんと60万円近くする、お財布が売れていきます。

     なぜ、こうなったのか。色んな方に聞かれますが、一つだけ胸を張って言えるのは、ただ、毎日お客様が喜ぶために、『諦めなかったこと。』だと思います。
    派手なテクニックではありません。
    とにかくこの限界地域で商売を続ける事は、地味で、時間のかかることでした。だから、『諦めない。』が口癖。この言葉が、いつも心を奮い立たせていました。

    最初は、提供できるものが少なかったです。
    正直に言うと、お金がありませんでした。
    立派な内装もない。
    たくさんの商品もない。
    だから、コーヒーを出しました。
    そして、ただ雑談をして。
    売るためではなく、
    その人のことを知りたくて。
    何が好きなのか。
    どんな毎日を過ごしているのか。
    何に悩んでいるのか。
    お客様を知る時間がはたっぷりとありましたから(*'▽')。

    1,000円のアクセサリーは、
    利益のためではありませんでした。
    “世界観に触れてもらう入口”でした。
    次に、同じ時間を共有する価格。
    そして信頼の証としての価格
    その人の物語を形にする価格。

    価格には、それぞれ役割があります。
    単価は上げるものではなく、
    段階ごとに意味を持たせるものです。

    関係が育った分だけ、自然に上がります。
    地方では、客数は急に増えない。
    だからこそ、一人との関係をどう設計するか。
    それが、私の価格階段の考え方です。

    単価は「上げるもの」ではなく、「育てるもの」だと。
    だからこそ、一人との関係を、丁寧に積み重ねていこう
    それが、私達が行った価格の階段です。

    この7坪から始まった、限界集落の小さなお店のストーリーを、
    毎週水曜日に掲載します。
    名前は、ホチキスぱちん。

     
     
    新潟の山奥に、小さなお店があります。 まるでムーミン谷のような、限界集落。 今日も山の木々を眺めながら働いています。 毎日誰かが会いに来てくれる。 限界集落の小さな店の実話。 ホチキスぱちん。は 毎週水曜日にお届けします

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