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月物語 金色の紐

    月の地下国家のキラキラ紐

    月の地下国家のダストボックス。

    そこは、誰かが捨てたものや、壊れた機械や、よく分からないガラクタが山のように積まれている場所だった。

    ある日。

    キョン吉が観測所へ帰る途中、

    「あれ!あれだよ、あれあれ!!」

    と叫んだ。

    地面から、細い金色の紐が何本も飛び出していたのだ。

    「ロケットの配線かな?」

    キョン吉は引っ張った。

    びよーん。

    伸びた。

    「ロケットじゃないな。」

    びよーん。

    「釣り糸かな?」

    びよーん。

    「辛ラーメンを吊るす紐かな?」

    結局分からなかったので、全部拾って持って帰った。

    ⸻

    翌日。

    モッチャビが見つけた。

    「わぁ〜✨」

    キラキラしている。

    丸い。

    そしてなんだか美味しそう。

    「スパゲッティかな?」

    もぐ。

    「まずい。」

    ぺっ。

    しかし気に入ったので、腕に巻いてみた。

    びよーん。

    「のびる〜!!」

    ⸻

    その頃。

    帽子ギミックはいつものように仕分け作業をしていた。

    「キラキラ」

    箱へ入れる。

    「キラキラっぽい」

    別の箱へ入れる。

    「かなりキラキラ」

    さらに別の箱へ入れる。

    数日後には、

    キラキラ紐だけで千本以上集まっていた。

    「仕分け完了。」

    誰も頼んでいない。

    ⸻

    そんな中。

    花屋の配達帰りのペドロが現れた。

    「なにしてるの?」

    「キラキラ紐だよ〜!」

    モッチャビが腕を見せる。

    ペドロは目を丸くした。

    「かわいいねぇ。」

    一本借りてみた。

    結んでみる。

    編んでみる。

    なんだか金色のチェーンみたいになった。

    「ツナぴに似合いそう。」

    「また始まった。」

    キョン吉が呆れた。

    ⸻

    その夜。

    ボリとツナもやってきた。

    ツナは興味津々で金色の紐を追いかける。

    びよーん。

    ぱしっ。

    びよーん。

    ぱしっ。

    「ツナぴ、それおもちゃじゃないよ。」

    ペドロが言った。

    ツナは聞いていない。

    ボリは少し離れたところから眺めていた。

    慎重派である。

    しかし、

    キラキラ。

    キラキラ。

    ちらっ。

    キラキラ。

    気になる。

    そろり。

    ぱしっ。

    結局ボリも遊び始めた。

    ⸻

    数日後。

    地下国家中でキラキラ紐ブレスレットが流行した。

    手首に付けると、

    まるで金のチェーンみたいなのに、

    びよーんと伸びる。

    誰もが夢中になった。

    ⸻

    ただ一匹。

    さくらちゃんだけは違った。

    魚の研究をしていた彼女は、

    月の海の魚のお腹から同じ紐を見つけていた。

    「それ、古代月文明の伸縮性繊維よ。」

    皆がぽかんとする。

    「すごい素材なの?」

    ペドロが聞いた。

    「ええ。」

    「高価なの?」

    「たぶん。」

    「危険なの?」

    「いいえ。」

    「じゃあ何なの?」

    さくらちゃんは少し考えた。

    そして言った。

    「昔の人がアクセサリーを作るための糸ね。」

    ⸻

    静寂。

    ⸻

    モッチャビが腕を見た。

    ボリも見た。

    ツナも見た。

    ペドロも見た。

    キョン吉も見た。

    帽子ギミックも見た。

    ⸻

    「つまり。」

    モッチャビが言った。

    ⸻

    「アクセサリーじゃん。」

    ⸻

    「アクセサリーだね。」

    ⸻

    「アクセサリーだな。」

    ⸻

    「アクセサリーですね。」

    ⸻

    帽子ギミックが、

    『アクセサリー』
    『アクセサリーっぽい』
    『かなりアクセサリー』

    の箱を作り始めた。

    誰も止めなかった。

    月の地下国家では、その日からキラキラ紐ブレスレットが正式に流行したのである。

    そしてツナはというと、

    びよーん。

    ぱしっ。

    びよーん。

    ぱしっ。

    今日もアクセサリーをおもちゃだと思って遊んでいた。🐱✨🌙

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