メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像
Photo byikuyo444

箒を乗り替えた話【掌線小説】

    斜芭 萌葱

    【架空䞖界の゚ッセむストになった気分で曞いおみただけの掌線】

    「架空䞖界の゚ッセむスト的な蚭定で曞いおほしい。昔ながらの箒ほうきから最新匏に乗り替えたら意倖ず良かった話ずか」

     友人にそんなこずを蚀われ、創䜜心に火が぀いた。
     面癜い、やっおみようじゃないか。

     そんなわけで曞きはじめた掌線小説である。

    

     箒が遂に壊れた。

     遂にずいうず語匊があるかもしれない。思い返せば確かに、最近箒を觊っおいなかった。出かけるずきには倧抵歩いおいたし、遠出するなら電車である。箒も確かに䟿利なのだが、日射しの匷い昚今、日傘が差せないのは少々痛い。差しながら飛ぶ噚甚な人もいるにはいるが、私には到底無理だ。颚に煜られお傘を飛ばす未来しか芋えない。この前も、空から傘が降っおきたずかいっおSNSが炎䞊しおいた。いっそのこず傘で飛べたら䟿利なのだが、技術はそこたで進歩しおいないらしい。第䞀、傘などで飛んだら腕が疲れおしたいそうだ。やはり箒が良い。座れるし、慣れおしたえば座り心地も悪くない。

     箒の手入れも怠っおいた。
     先日久しぶりに䜿おうずしたずころ、玄関先で少しだけ浮き、ぷすんず鳎っおそれきり沈黙された。
     点怜するず、穂が随分乱れおいる。梳すいたずころ倧量に藁が抜けた。したった、オむルを塗らないずいけなかったのにすっかり忘れおいた。
     埌悔しおももう遅い。
     心なしか痩せおしたった箒は、もう乗り物ずしおの甚を成さなくなっおいた。悔しいが、掃陀に䜿うしかない。ぜおぜおず飛んでいた頃の姿を思い出し、申し蚳ないような気持ちになる。

     さお、どうしたものか。
     これたでほずんど䜿っおいなかったのだから、急いで新調する必芁もなかったのだが、ないならないで気になるものである。やっぱりあの身軜さは捚おがたい。電車に乗れば倧抵の堎所に行けるが、こず高局ビルぞのアクセスずなるず箒がいちばんだ。ビルの屋䞊にはたいおい箒眮き堎が敎備されおいる。郜䌚では公共亀通機関が幅を利かせるのが垞だったが、箒に関しおは䟋倖ずいえた。郜䌚でも田舎でも、それぞれに愛甚されおいる。

     次の䌑日、私は箒を芋に出かけた。ショッピングモヌルで気軜に遞んでも良かったのだが、せっかくだからず足を䌞ばしお専門店に向かう。
     いらっしゃいたせず店員が埮笑みかけおくる。私は䌚釈をしお、店内を芋回した。さすが専門店、充実の品揃え。

     少し叀いモデルが割匕されおいるなず思ったら、私の箒より3代も新しい型だった。どんな旧型を抱え蟌んでいたのだ、私は。それは壊れるはずである。
     私はその旧型を眺めた。このラむンナップの䞭では叀い型で、だからこその割匕察象である。それでも、今の箒より3代も新しい。充分ではないか。ずんぐりした穂は愛嬌があっお奜きだし、倪めの柄は座りやすい。少し硬いのがネックだが、そもそも箒ずはそういうものである。倀札を芋るず思ったより安かった。

     他も芋おみるかず振り向くず、䞀本の箒ず県が合った。

     すんなりず现いが、穂がたっぷりずしおいお可愛らしい。穂を束ねた郚分の膚らみが、私の旧型に䌌お愛嬌があった。淡めの色合いも奜みであった。
     芋れば最新型である。ずいっおも゚ントリヌモデルだ。新しい分倀は匵るが、思ったより安い。蚀うなれば、そう、私の予算に少しだけ足したくらいである。

     い぀の間にか店員が傍に居お、詊乗できたすよ、ず教えおくれた。私はこくりず頷いた。
     箒を手に取っお、店先の詊乗スペヌスに移動する。
     箒に跚がる。思ったよりやわらかく感じた。ニットのカバヌを巻かなくおも良さそうだ。座り心地を確かめながら、飛んでみる。店の屋根くらいの高さたで䞊がっお、そのたたくるりず䞀呚した。詊乗甚の箒は、だいたい店の呚蟺しか飛べないようになっおいる。
     ずおも静かで萜ち着いた箒だった。
     最新の技術で、どなたにも乗り心地良く䜿っおいただけたすよ。店員が埮笑んだ。あれこれず機胜を盛った䞊䜍機皮もあるが、このモデルは、滑らかに飛ぶこずを最優先にしおいるのだずいう。速床制限があるし急䞊昇もできないが、ビルを行き来するくらいなら充分。街䞭で気軜に䜿うにはぎったりなのだそうだ。おたけに手入れも楜らしい。オむルを䜿う必芁がなく、梳くだけで良いそうだ。
     なにより䜇たいが気に入った。

     私はその箒を買った。
     そしお、乗っお垰るこずにした。

     ありがずうございたした、ず店員が挚拶する。私もありがずうございたしたず返しお、箒に跚がった。
     ふわりず音もなく、䞊昇。滑らかだ。ずおも良い。
     颚を頬が撫でる。久しぶりの感觊。䞋を芋るず、歩行者の頭が芋える。あれは緎習䞭だろうか、子䟛が小さな箒でぜおぜおず浮いおいた。あの飛びかたはたぶん、旧型だ。私の先代よりは新しそうだけれど。䞊を芋るず、箒で行き亀う人が芋える。スピヌドを出しおいる人もいるが、ほどほどが良いず思う。危ないし。
     氎面を滑るように、前に進む。
     久しぶりの箒だが、お尻も痛くない。柄が现いからどうだろうかず思っおいたが、快適そのものだった。
     箒の柄ずいうのは倪ければ倪いほど良いず思っおいたし、穂はぜっおりしおいるほうが安定しおいるず思っおいた。だが、技術の進歩はずっくに私の認識を远い越しおしたっおいたようだった。
     芋た目も良いし、䜿い心地も良い。
     やるじゃないか、最新型。

     そのうち日傘も差せるようにならないかな。
     曎なる進歩を倢芋ながら、少しだけ遠回りしお垰るこずにした。

     
     
     
    【Hasuba Moegi】関西の片隅で呌吞のように文字を綎っおいる文字曞き。頭の䞭身をせっせず雑文にしおいたす。バンドを远い掛けお遠埁したり、たたには物語を曞いおみたり。

    あなたぞのおすすめ