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どうか縛らないでください|アマノ文筆クラブ

    ( #ショートショート  本文:522字)

     男は、盗みを働いた女を捕まえた。

    「子どものおやつを盗み食いするなんてひどい奴だ。おとなしくお縄につきやがれ」
    「どうか縛らないでください。チューペットの飲み口を縛られると吸えなくなってしまいます」

    「じゃ早く飲んじまえ。いったん口をつけたら、もうお前のものだ。ただし、弁償はするんだぞ」
    「どうかしばらく待ってください。私はいつまでも吸引力の上がらない世界でただひとりの女として有名なんですから」

    「どこかで聞いたような言い訳だな。しかたない。しばらく待ってやる。弁償はちゃんとしろよ」
    「どうか素晴らしい人でいてください。あなたはいい男ですもの。私の弁償も肩代わりしてくれるんでしょ」

    「どうしてそうなるんだ。だがまあ、今回だけは見逃してやってもいいぞ。おまえの代わりに俺が弁償しておく」
    「どうか柴犬にならないでください。いえ、柴犬になって私に飼われてください」

    「どういう意味だ? なぜ俺がおまえの柴犬にならなくちゃいけないんだ?」
    「どうかしゃべらないでください。あなたは柴犬です。首輪をつけて私についてきなさい」

    「わん!」
     男は催眠術にかかり、柴犬として女に飼われた。

    「どうか縛らないでください」
     女は今夜も金縛りと戦いながら、催眠術を強化している。

    (了)

    怖いですね~。犯罪者ですね~。


    はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
    甘野充さんの企画に参加します。
    よろしくお願いします。
    #アマノ文筆クラブ #どうか縛らないでください

    #盗み食い #チューペット #弁償 #吸引力 #肩代わり #柴犬 #催眠術 #金縛り

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