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Photo bysoikick

愛の水面下

    ( #ショートショート  本文:610字)

     暑い太陽、青い空、広い海。どこまでも続く水平線。二人きりの時間。

    「こんな日が来るなんてな」
    「ほんとね。私たち、いろいろあったものね」
    「最初に会ったとき、お前、すごく怒っててさ」
    「だってあなた、遅刻したじゃない。えいっ!」
    「いてっ! やめろ、今それやるな!」

     ぱしゃ、と水しぶきが上がる。

    「でもさ、今はこうして一緒にいられる」
    「うん。これからも――おっと」
    「ちょ、沈むな沈むな!」
    「だって足が……くすぐった、ちょ、やだこれ!」
    「落ち着け、落ち着け……って、いてっ!」

     笑いと悲鳴が交じる。

    「ねえ、もし戻れたらさ」
    「戻れたら、な」
    「ちゃんと、言うから」
    「俺もだ。ずっと言えなかったこと――」

     言葉が途切れる。

    「なあ……」
    「うん……」
    「愛してる」
    「……私も。だから――」

     女の顔が少し沈む。

    「だから、えいっ!」
    「だから押すなって! いてっ、ちょ、もう無理、腕が――」

     笑い声は次第に短くなる。

    「なあ……ほんとに、さ……」
    「うん……」

     二人は顔を寄せる。唇が触れる寸前、同時に身体が沈みかけた。

     水面は穏やかだ。きらきらと光るだけで、何も知らない顔をしている。
     ――その下では、必死の立ち泳ぎ。絡みつく海草、つつく魚、刺してくるクラゲ。足は重く、腕はだるく、息は浅い。

    「おっと……」
    「もう……だめ……」
    「……誰か……」
    「誰か助けてくれー!」

     そのとき、二人のすぐ脇を、巨大な浮き輪をくわえた大型犬がのんびりと泳ぎ抜けていった。

    (了)

    よかったですね。これで助かった?


    はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
    甘野充さんの企画に参加します。
    よろしくお願いします。
    #アマノ文筆クラブ #愛の水面下

    TALESにて絶賛連載中。アマノ文筆クラブに参加した作品だよ。応援してね。

    では、今日はこのへんで。
    はれるや( ´ ▽ ` )ノ。

    #太陽 #空 #海 #水平線 #浮き輪 #大型犬

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