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落とし物、届いてますか?

    ( #ショートショート  本文:726字)

     町立よろず落とし物保管所。そこには町で拾われたいろいろな落とし物が届けられ、保管されている。

     ガラガラ~。引き戸を開けて入った。
    「すみませーん。落とし物、届いてませんか」
     私が声をかけるとカウンターの下からにゅっと男が出てきて答える。
    「はい。落とし物、届いてますよ。あなたが落とす前から届いてます」
     調子のいい男は嫌いじゃない。届いていると言ってるので、届いてるんだろう。

    「扇子なんですけど、届いてますか。あれがないと困るんです」
     男は私をじろじろと上から下まで眺めて言った。
    「そのようですね。今のあなたは、とことんセンスがないようです」
     改めて他人に言われなくても、服装のセンスがないのは、自覚している。だが、面と向かって言われると、少し悲しい。

    「それで……扇子、届いてますか」
    「はい。ちょっと待ってくださいね。ハンディ・ファンじゃなくて、扇風機じゃなくて、エアコンじゃなくて……あ、ありました! これですか?」
     男が扇子を3本出してくる。
    「金の扇子と銀の扇子と普通の扇子がありますが、あなたの落とした扇子はどれですか?」
    (おまえは落とし物保管所の妖精か!)
    「普通の扇子です!」
    「正直者でよろしい。では、3本ともあげましょう」
     そんなにいらないが、落としたときのスペアに、ありがたくもらっておく。

    「ところで、その扇子、そんなに大事なものなんですか?」
    「大学の落研で、彼女からもらった扇子なんです。それがないと、あらゆる話にオチがつかなくて……」
    「なるほど。それでさっきから落ち着かなかったんですね」
     おもしろいことを言う男だ。これも扇子の力か。

     御礼を言って保管所を出る。外は酷暑。それでも、この扇子があれば最高に涼しい。私があおぐと寒いくらいだ。

    (了)

     いいなあ、その扇子。今年の夏はとにかく暑くて暑くて……。


    はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
    コッシーさんの企画に参加します。
    よろしくお願いします。
    #チャレがや #おとしもの #みくまゆ会

    では、今日はこのへんで。
    はれるや( ´ ▽ ` )ノ。

    #扇子 #センス #落研 #オチ #酷暑 #寒い

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